合併とは、2つ以上の会社が、契約によって1つの会社に合体することを言います。
吸収合併
下図の場合、A社(吸収合併存続会社)が、B社の権利義務の一切を承継して、B社(吸収合併消滅会社)は解散・消滅します。
そして、B社の株主は、吸収合併後、A社の株式等または金銭が交付されます。株式を交付された者はA社の株主となります。
A社が交付できるのは、株式だけでなく、社債や新株予約権でもよいです。
新設合併
下図の場合、A社(新設合併消滅会社)とB社(新設合併消滅会社)が新設合併をして、C社(新設合併設立会社)が設立されます。この場合、A社およびB社の権利義務の一切を、C社が承継します。
そして、A社の株主とB社の株主には、C社の株式が交付され、C社の株主となります。
合併の手続き
下記流れで合併を行います。
- A社とB社との間で合併契約を締結する(748条、749条、753条)。
- 合併に関する書面等を本店に備え置かなければならない(782条、794条、803条)。
- 原則、A社およびB社の株主総会の特別決議により承認を得る(783条1項、795条1項、804条1項、309条3項2号)
※反対株主に対しては、原則として株式買取請求権が認められます。 - 会社債権者を保護するために、債権者に対して異議を述べる機会を与える必要がある(789条、799条、810条)
会社は、1か月以上の期間を定めて、異議を述べることができる旨を官報に公告し、かつ、合併を知っている債権者には、各別催告しなければならない。 - 吸収合併の場合、合併契約で定めた効力発生日に吸収合併の効力が発生する(750条1項)。
新設合併の場合、会社成立の日(設立登記の日)に効力が発生する(754条1項)
消滅会社は合併により解散します(471条4号、641条5号)。この場合、消滅会社の権利義務は存続会社・設立会社に承継されるため、清算手続きは行いません(475条1号、644条1項)。
合併無効の訴え
合併の効力を争うには、合併の効力が生じた日から6ヶ月以内に、合併無効の訴えを提起することによってのみ行うことができます(828条1項7号8号)
被告
吸収合併の無効の訴えにおいては、吸収合併後存続する会社が被告となり、
新設合併の無効の訴えにおいては、新設合併により設立する会社を被告として訴えます(834条7号8号)。
合併無効の判決は、将来に向かって無効となります(839条)。