単独株主権と少数株主権

株主は株式会社の実質的な所有者(オーナー)なので、会社に対して様々な権利を持っています。それらの権利を、権利の行使の要件に着目して分類すると、単独株主権と少数株主権の2つに分けることができます。

単独株主権とは、1株の株主でも行使できる権利で

少数株主権とは、総株主の議決権の一定割合以上、または、発行済み株式総数の一定割合以上の株式を有する者だけが行使できる権利です。この場合、複数の株主が共同して一定割合以上を持っていれば、権利行使できます。

単独株主権

  1. 剰余金配当請求権105条1項1号)
  2. 残余財産分配請求権105条1項2号)
  3. 株主総会における議決権105条1項3号、308条1項)
  4. 株式買取請求権116条
  5. 設立無効の訴えの提起権828条2項)
  6. 株主総会の決議の取消しの訴え831条
  7. 株主代表訴訟提起権847条
  8. 株主総会の議題提案権・議案提出権304条

少数株主権

権利の内容 必要株式数 分類 6か月前から保有が必要か
株主総会の招集請求権
297条
総株主の議決権の100分の3以上 公開会社 必要
非公開会社 不要
株主総会の議題提案権
303条2項3項)
①総株主の議決権の100分の1以上
または
②300個以上
公開会社 必要
非公開会社かつ取締役会設置会社 不要
株主総会の議案通知請求権
305条1項)
①総株主の議決権の100分の1以上
または
②300個以上
公開会社 必要
非公開会社かつ取締役会設置会社 不要
役員解任請求権
854条1項2項)
①総株主の議決権の10分の3以上
または
②発行済株式の10分の3以上
公開会社 必要
非公開会社 不要
株主総会の招集手続に関する検査役の選任権
306条
①総株主の議決権の100分の1以上
または
②発行済株式の10分の3以上
公開会社 必要
非公開会社 不要
会社の解散請求権
833条
①総株主の議決権の10分の1以上
または
②発行済株式の10分の1以上
不要

剰余金配当請求権

剰余金とは、会社が積み上げてきた利益の合計です。毎年、利益を出している会社であれば、剰余金は増えていきます。一方、赤字決算が続くと利益剰余金は減少します。

そして、会社に残っている剰余金について「分けてください!」と請求する権利が剰余金配当請求権で、株主は単独で、会社に対して請求することができます。

利益配当請求権や配当請求という言い方もします。

残余財産分配請求権

企業が解散する際に、負債を返済しても、なお財産が残る場合、株主はその持ち株数に応じて残った財産の分配を受けることができる権利です

精算分配金という言い方もします。

例えば、100株発行している会社の財産が1億円あり、借金が6000万円あって、解散した場合、4000万円が残余財産です。そして、50株を持っている株主Aは、発行済株式の半分を持っているので、単独で、残余財産2000万円について、会社に対して請求することができます。

解散とは?

例えば、事業を引き継ぐ人がいなくて、会社をなくす場合、解散をします。

債務超過で会社をつぶすことは「破産」なので、破産とは違います。

そして、解散すると、その後、債権・債務の整理をします。資産のすべてを売却し、得られた資金で債権者に支払えるだけの弁済をし、残った財産(残余財産)は株主に分配します。

株主総会における議決権

株主は、株主総会で提案された議案に対して、賛成か反対かを表明する権利を持ちます。この権利が議決権です。

1単元株につき、1票の議決権を有しています。単元株未満の株主に対しては、それらの権利は認められていません。

単元株とは?

売買できるひとまとまりの株を言います。例えば、1000株が単元株の場合、1000株単位にで売買することができ、900株の売買はできないということです。

そして、900株しか持っていない株主は、議決権を行使できない(議案に対する賛成反対の投票ができない)ということです。

株式買取請求権

株主が、会社に対して、自分が持っている株式の買取りを求めることができる権利を言います。

設立無効の訴えの提起権

株主会社の設立の無効事由・無効原因がある場合に、株主は、単独で訴えを提起できます。

株主総会の決議の取消しの訴え

下記いずれかに該当する場合、株主は単独で決議取消の訴えを提起できます。

  1. 株主総会等の招集手続又は決議方法が、法令違反もしくは定款違反、または著しく不公正なとき。
  2. 株主総会等の決議内容定款違反するとき。
  3. 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。

株主代表訴訟提起権

株主が、会社を代表して取締役・監査役等の役員等に対して法的責任を追及するために、訴えを提起できる権利を株主代表訴訟提起権と言います。

通常、株式会社は、取締役会や監査役等が、取締役等の役員を監督します。しかし、監査役も会社内部の人間であるため、なれ合いがあり、監査を怠る可能性も考えられます。このような場合、株主が会社に代わって取締役の責任を追及することができるように株主代表訴訟という制度があります。

例えば、取締役に任務懈怠があって(任務を怠って)、会社に損害を与えた場合、株主代表訴訟により、任務懈怠のあった取締役を訴えることも可能です。

>>株主代表訴訟の流れはこちら

株主総会の招集請求権

原則として、

取締役会設置会社においては、取締役会が株主総会の招集を決定し、代表取締役が業務執行として招集を行い、

非取締役会設置会社においては、取締役(二人以上の場合は過半数で決定する)が株主総会の招集を決定し、取締役が招集を行います(298条)。

しかし、役員の選解任、剰余金の配当など会社にとって、あまりやりたくない事柄について、取締役が株主総会を招集しようとしない場合があります。

そのような場合は、例外として、総株主の議決権の100分の3(3%)を有する株主も裁判所の許可を得て自ら株主総会を招集することができます(297条4項)。

※公開会社の場合、6か月前から引き続き株式を有している必要があります。つまり、公開社について、株式を1か月で一気に買い増しをして、100分の3以上を取得したとしても、株主総会の招集を請求できません。

株主総会の議題提案権・議案提出権

まず、株主総会の「議題」と「議案」の違いですが、

「議題」は、株主総会の目的事項(大きなテーマ)です。例えば、「取締役選任の件」です。一方、

「議案」は、議題の中の具体的決議事項(細かい内容)です。例えば、「A氏を取締役に選任する」といった内容です。

そして、①総株主の議決権の100分の1、または、②300個以上の議決権を持つ株主は、株主総会の目的(議題)を提案する権利(議題提案権)を持ちます。

※公開会社の場合、6か月前から引き続き株式を有している必要があります。

また、株主単独でよいは、株主総会において、株主総会の目的である事項(議題)につき議案を提出することができます。つまり、「議題の中身(議案)」を提出できます。

株主総会の議案通知請求権

議案通知請求権とは、議題につき株主が提出しようとする議案の要領招集通知に記載または記録することを請求する権利(議案通知請求権)です。

総会当日に提出される議案をあらかじめ招集通知等に記載しておくことで、当該議案に対して株主達は一体的な議決権行使を行うことが可能になります。

何も知らないまま、総会当日に議案が提案されても、株主達の足並みがそろわず、否決に至ってしまう可能性があるのです。

そのため、事前にお知らせしてもらう制度(権利)があるわけです。

そして、①総株主の議決権の100分の1、または、②300個以上の議決権を持つ株主は、議題につき株主が提出しようとする議案の要領招集通知に記載または記録することを請求する権利(議案通知請求権)を持ちます。

役員解任請求権

役員の職務の執行に関し、不正の行為や法令違反・定款違反といった重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき

①総株主の議決権の10分の3以上、または、②発行済株式の10分の3以上を有する株主は、当該株主総会の日から30日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができます。

株主総会の招集手続に関する検査役の選任権

総株主の議決権の100分の1以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができます。

これは、株主総会の招集手続きや決議の方法についての不正を防いだり、不正があった場合の証拠保全のために行われます。

会社の解散請求権

やむを得ない事由があるときは、総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主又は発行済株式の10分の1以上の数の株式を有する株主は、訴えをもって株式会社の解散を請求することができる。

やむを得ない事由とは、例えば、株式会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該株式会社に回復することができない損害が生じ、又は生ずるおそれがあるときです。

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