感染症法*の令和3年2月改正に関する次の会話の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
教授A: 今日は最近の感染症法改正について少し検討してみましょう。
学生B: はい、新型コロナウイルスの感染症防止対策を強化するために、感染症法が改正されたことはニュースで知りました。
教授A: そうですね。改正のポイントは幾つかあったのですが、特に、入院措置に従わなかった者に対して新たに制裁を科することができるようになりました。もともと、入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置であることは知っていましたか。
学生B: はい、それは講学上は[ ア ]に当たると言われていますが、直接強制に当たるとする説もあって、講学上の位置づけについては争いがあるようです。
教授A: そのとおりです。この問題には決着がついていないようですので、これ以上は話題として取り上げないことにしましょう。では、改正のポイントについて説明してください。
学生B: 確か、当初の政府案では、懲役や100万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。
教授A: よく知っていますね。これらは、講学上の分類では[ ウ ]に当たりますね。その特徴はなんでしょうか。
学生B: はい、刑法総則が適用されるほか、制裁を科す手続に関しても刑事訴訟法が適用されます。
教授A: そのとおりですね。ただし、制裁として重すぎるのではないか、という批判もあったところです。
学生B: 結局、与野党間の協議で当初の政府案は修正されて、懲役や[ イ ]ではなく、[ エ ]を科すことになりました。この[ エ ]は講学上の分類では行政上の秩序罰に当たります。
教授A: そうですね、制裁を科すとしても、その方法には様々なものがあることに注意しましょう。
(注) * 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
【答え】: ア:6.即時強制、イ:1. 罰金、ウ:12.行政刑罰、エ:2.過料【解説】
【ア】教授A: そうですね。改正のポイントは幾つかあったのですが、特に、入院措置に従わなかった者に対して新たに制裁を科することができるようになりました。もともと、入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置であることは知っていましたか。
学生B: はい、それは講学上は[ ア ]に当たると言われていますが、直接強制に当たるとする説もあって、講学上の位置づけについては争いがあるようです。
ア・・・6.即時強制
「入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置である」というのは、国民の身体に実力行使しているので、「即時強制」または「直接強制」となります。
直接強制は、アの後に記載されているので、アには「即時強制」が入ります。
即時強制と直接強制の違いについては、個別指導で解説します!
イ・・・1. 罰金
「懲役」と「100万円以下のイ」と並列で並んでおり、一般的には、「懲役」も「イ」も同じ「行政刑罰」である可能性が高いです。
そして、金銭納付を命じる行政刑罰には「罰金」と「科料」がありますが、
「科料」は「1,000円以上1万円未満」の間でしか定めることができません(刑法17条)。
「100万円」ととなると、「罰金」しかないの、イには「罰金」が入ります。
【ウ】学生B: 確か、当初の政府案では、懲役や100万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。
教授A: よく知っていますね。これらは、講学上の分類では[ ウ ]に当たりますね。その特徴はなんでしょうか。
ウ・・・12.行政刑罰
これは、選択肢イでも解説した通り、「懲役」も「罰金」も「行政刑罰」に分類されます。
よって、ウには「行政刑罰」が入ります。
【エ】教授A: そのとおりですね。ただし、制裁として重すぎるのではないか、という批判もあったところです。
学生B: 結局、与野党間の協議で当初の政府案は修正されて、懲役や[ イ ]ではなく、[ エ ]を科すことになりました。この[ エ ]は講学上の分類では行政上の秩序罰に当たります。
エ・・・2.過料
「行政上の秩序罰」と言えば「過料」です。
よって、エには「過料」が入ります。
ちなみに「過料」は「行政刑罰」ではありません。
令和3年(2021年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政手続法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 基礎知識 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |