2021年過去問

令和3年・2021|問36|商法

商人でない個人の行為に関する次のア~オの記述のうち、商法の規定および判例に照らし、これを営業として行わない場合には商行為とならないものの組合せはどれか。

ア.利益を得て売却する意思で、時計を買い入れる行為

イ.利益を得て売却する意思で、買い入れた木材を加工し、製作した机を売却する行為

ウ.報酬を受ける意思で、結婚式のビデオ撮影を引き受ける行為

エ.賃貸して利益を得る意思で、レンタル用のDVDを買い入れる行為

オ.利益を得て転売する意思で、取得予定の時計を売却する行為

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. ウ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

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【答え】:3

【解説】
ア.利益を得て売却する意思で、時計を買い入れる行為

ア・・・常に商行為となる

次に掲げる行為が、商行為です(商法501条:絶対的商行為)。

  1. 利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為
  2. 他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為・・・選択肢オ
  3. 取引所においてする取引
  4. 手形その他の商業証券に関する行為

よって、「利益を得て売却する意思で、時計を買い入れる行為」は上記1号に当たるので、常に商行為です。

 

イ.利益を得て売却する意思で、買い入れた木材を加工し、製作した机を売却する行為

イ・・・常に商行為となる

選択肢アの商法501条1号の通り

「利益を得て売却する意思で、買い入れた木材を加工し、製作した机を売却する行為」は、常に商行為です。

 

ウ.報酬を受ける意思で、結婚式のビデオ撮影を引き受ける行為

ウ・・・営業として行わない場合には商行為とならない

次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為となります。ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、商行為ではないです(商法502条:営業的商行為)。

  1. 賃貸する意思をもってする動産若しくは不動産の有償取得若しくは賃借又はその取得し若しくは賃借したものの賃貸を目的とする行為・・・選択肢エ
  2. 他人のためにする製造又は加工に関する行為
  3. 電気又はガスの供給に関する行為
  4. 運送に関する行為
  5. 作業又は労務の請負
  6. 出版、印刷又は撮影に関する行為
  7. 客の来集を目的とする場屋における取引
  8. 両替その他の銀行取引
  9. 保険
  10. 寄託の引受け
  11. 仲立ち又は取次ぎに関する行為
  12. 商行為の代理の引受け
  13. 信託の引受け

「報酬をもらうつもりで、結婚式のビデオ撮影を引き受ける行為」は、商法502条6号の行為(営業的商行為)に該当するので、営業として行わない場合は、商行為になりません。

 

エ.賃貸して利益を得る意思で、レンタル用のDVDを買い入れる行為

エ・・・営業として行わない場合には商行為とならない

選択肢ウの商法502条1号の通り、「賃貸して利益を得る意思で、レンタル用のDVDを買い入れる行為」は、営業として行わない場合は、商行為になりません。

 

オ.利益を得て転売する意思で、取得予定の時計を売却する行為

オ・・・商行為となる

選択肢アの商法501条2号の通り

「利益を得て転売する意思で、取得予定の時計を売却する行為」は、常に商行為です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問35|民法

Aが死亡し、Aの妻B、A・B間の子CおよびDを共同相続人として相続が開始した。相続財産にはAが亡くなるまでAとBが居住していた甲建物がある。この場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。なお、次の各記述はそれぞれが独立した設例であり相互に関連しない。

ア.Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。

イ.Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。

ウ.Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。

エ.家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。

オ.遺産分割の結果、Dが甲建物の所有者と定まった場合において、Bが配偶者居住権を取得したときには、Bは、単独で同権利を登記することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:4

【解説】
ア.Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。

ア・・・誤り

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができません(民法899条の2第1項)。

つまり、Bは、遺言の内容の通り、甲建物ついての相続登記がないと、甲建物の全部が自分のものだとEに主張できません。

 

イ.Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。

イ・・・誤り

配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、一定期間、その居住していた建物(居住建物)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(居住建物取得者)に対し、居住建物について無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を有します(民法1037条1項本文)。

そのため、本問の場合、Bは配偶者短期居住権を有しているため、甲建物に一定の期間無料で住み続けることができます。よって、「CとD」は、Bに対して、甲建物の明渡しや不当利得返還請求はできません。

 

ウ.Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。

ウ・・・正しい

被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、①遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき、②配偶者居住権が遺贈の目的とされたときは、その居住していた建物(居住建物)の全部について無償で使用及び収益をする権利(配偶者居住権)を取得します(民法1028条1項本文)。

ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、配偶者居住権を取得しません(民法1028条1項ただし書き)。

よって、本問は正しいです。

「甲建物(居住建物)が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合」なので、Bは配偶者居住権を取得しません。

 

エ.家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。

エ・・・正しい

遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、下記①または②に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができます(民法1029条)。

①共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。

配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。

つまり、②の通り、甲建物の所有者になる人の不利益(デメリット)を考慮してもなお、配偶者Bの生活を維持するため特に必要と認める場合、家庭裁判所の審判で配偶者居住権を取得できます。

よって、正しいです。

 

オ.遺産分割の結果、Dが甲建物の所有者と定まった場合において、Bが配偶者居住権を取得したときには、Bは、単独で同権利を登記することができる。

オ・・・誤り

居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います(民法1031条1項)。

つまり、配偶者居住権の設定登記は「登記義務者であるD」と「登記権利者であるB」との共同申請で行います。Bは、単独で配偶者居住権を登記することができないので、誤りです。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問34|民法

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。
  2. 損害賠償の額を定めるにあたり、被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、身体的特徴が疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を斟酌(しんしゃく)することはできない。
  3. 過失相殺において、被害者たる未成年の過失を斟酌する場合には、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足りる。
  4. 不法行為の被侵害利益としての名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価であり、名誉毀損とは、この客観的な社会的評価を低下させる行為をいう。
  5. 不法行為における故意・過失を認定するにあたり、医療過誤事件では診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される。

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【答え】:5
【解説】
1.訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照ら
して全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。

1・・・妥当

判例(最判昭50.10.24)によると

『訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性(確実性)を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。 』

と判示しています。よって、本問は妥当です。

 

2.損害賠償の額を定めるにあたり、被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴
を有していたとしても、身体的特徴が疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を斟酌(しんしゃく)することはできない。

2・・・妥当

判例(最判平8.10.29)によると

不法行為により傷害を被った被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有しており(首が長かった)、これが、加害行為(交通事故)と競合して傷害を発生させ、又は損害の拡大に寄与したとしても、右身体的特徴が疾患(頸椎ねんざ:けいついねんざ)に当たらないときは、特段の事情がない限り、これを損害賠償の額を定めるに当たりしんしゃく(考慮)することはできない。

と判示しています。よって、本問は妥当です。

 

3.過失相殺において、被害者たる未成年の過失を斟酌する場合には、未成年者に事理を弁識する
に足る知能が具わっていれば足りる。

3・・・妥当

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができます(民法722条2項)。

そして、判例(最大判昭39.6.24)によると

民法第722条第2項により被害者の過失を斟酌(しんしゃく:考慮)するには、被害者たる未成年者が、事理を弁識するに足る知能を具えていれば足り行為の責任を弁識するに足る知能を具えていることを要しないものと解すべきである。

と判示しています。よって、本問は妥当です。

本問は理解が必要なので、個別指導で解説します!

 

4.不法行為の被侵害利益としての名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値につい
て社会から受ける客観的評価であり、名誉毀損とは、この客観的な社会的評価を低下させる行為をいう。

4・・・妥当

他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます(民法723条)。

判例(最判昭45.12.18)によると

民法723条にいう名誉とは、人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価、すなわち社会的名誉を指すものであつて、人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価、すなわち名誉感情は含まないものと解すべきである。

と判示しています。よって、本肢は妥当です。

 

5.不法行為における故意・過失を認定するにあたり、医療過誤事件では診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される。

5・・・妥当ではない

判例(最判平8.1.23)によると

『人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照らし、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのであるが、

具体的な個々の案件において、債務不履行又は不法行為をもって問われる医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である。

そして、この臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものである

と判示しています。

よって、本問は「臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される」が妥当ではありません。

正しくは「臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断されるものではない」です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問32|民法

債権者代位権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。
  2. 債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。
  3. 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。
  4. 債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。
  5. 債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。

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【答え】:5
【解説】
1.債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権につ
いては、債務者に代位して行使することはできない。

1・・・誤り

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(被代位権利)を行使することができます。ただし、「①債務者の一身に専属する権利」及び「②差押えを禁じられた権利」は、債権者代位権を行使できません(民法423条1項)。

本問は「債務者の取消権」は、上記①②に該当しないので、債権者代位権を行使できます。

詳細解説個別指導で解説します!

 

2.債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権
の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。

2・・・誤り

債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができません。ただし、保存行為は、被代位権利を行使できます(民法423条2項)。

よって、債権者は、債務者に対する債権の期限が到来していないと、原則として、被代位権利を使えないので、誤りです。

詳細解説個別指導で解説します!

 

3.債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするもの
であっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。

3・・・誤り

債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができます。この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権利は、これによって消滅します(民法423条の3)。

よって、本問は、「債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない」となっているので誤りです。正しくは「債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできる」です。

民法423条の3にある通り、債権者は、被代位権利を使って、自分に対して動産の引渡しをするように請求できます。

 

4.債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合
には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。

4・・・誤り

債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることができます。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行することができます(民法423条の5)。

よって、本問は、「債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない」となっているので誤りです。正しくは「債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできる」です。

詳細解説個別指導で解説します!

 

5.債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、
債務者に対して履行をすることを妨げられない。

5・・・正しい

債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることができます。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行することができます(民法423条の5)。

つまり、債権者が、被代位権利を使った場合、債務者の相手方(債務者の債務者:第三債務者)は、債務者に対して「履行をすることを妨げられない(履行することができる)」ので正しいです。

 

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問33|民法

Aが甲建物(以下「甲」という。)をBに売却する旨の売買契約に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはいくつあるか。

ア.甲の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができない。

イ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、Bは、Aに対して、履行の追完または代金の減額を請求することができるが、これにより債務不履行を理由とする損害賠償の請求は妨げられない。

ウ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、履行の追完が合理的に期待できるときであっても、Bは、その選択に従い、Aに対して、履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

エ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、その不適合がBの過失によって生じたときであっても、対価的均衡を図るために、BがAに対して代金の減額を請求することは妨げられない。

オ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、BがAに対して損害賠償を請求するためには、Bがその不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

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【答え】:4

【解説】
ア.甲の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができない。

ア・・・誤り

当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができます(民法536条1項)。

よって、甲の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができるので、誤りです。

 

イ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、Bは、Aに対して、履行の追完または代金の減額を請求することができるが、これにより債務不履行を理由とする損害賠償の請求は妨げられない。

イ・・・正しい

契約不適合により「追完請求」や「代金減額請求」があった場合でも、「債務不履行に基づく損害賠償の請求」や「解除権の行使」を別途行うことはできます(民法564条)。

よって、本問は正しいです。

 

ウ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、履行の追完が合理的に期待できるときであっても、Bは、その選択に従い、Aに対して、履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

ウ・・・誤り

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます(民法563条1項)。

例外として、下記4つのいずれかに該当する場合は、催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができます(民法563条2項)。

  1. 履行の追完が不能であるとき。
  2. 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
  3. 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
  4. 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

よって、「履行の追完が合理的に期待できるとき」は、上記例外に該当しないので、原則通り、履行の追完の催告をした上で、履行の追完がないとき代金の減額を請求することができます。

本問は「Bは、その選択に従い、Aに対して、履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる」が誤りです。

 

エ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、その不適合がBの過失によって生じたときであっても、対価的均衡を図るために、BがAに対して代金の減額を請求することは妨げられない。

エ・・・誤り

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます(民法563条1項)。

しかし、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるもの(買主の責任)であるときは、買主は、代金の減額の請求をすることができません(民法563条3項)。

よって、本問は「対価的均衡を図るために、BがAに対して代金の減額を請求をすることは妨げられない」は誤りです。

不適合がBの過失によって生じたときは、BはAに対して代金の減額を請求することはできません。

 

オ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、BがAに対して損害賠償を請求するためには、Bがその不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない。

オ・・・誤り

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができなくなります。(民法566条本文)

上記1年は「通知期間」で「行使期間」ではありません。よって、本問は「Bがその不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない」となっているので誤りです。

この点は理解が必要なので、個別指導で解説します!

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問31|民法

AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。この契約に関する次のア~オのうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。この場合、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。

イ.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、遅延損害金のほか弁護士費用その他取立てに要した費用等を債務不履行による損害の賠償として請求することができる。

ウ.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

エ.Aの母の葬儀費用にあてられるため、残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていたところ、令和3年10月1日にAの母が死亡した。BがAの母の死亡の事実を知らないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

オ.残代金の支払期限について特段の定めがなかったところ、令和3年10月1日にAがBに対して残代金の支払いを請求した。Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら

【答え】:3

【解説】
ア.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。この場合、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。

ア・・・妥当

債務不履行に基づく損害賠償については、債権者は、損害の証明をする必要はありません(民法419条2項)。

よって、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができます。

 

イ.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、遅延損害金のほか弁護士費用その他取立てに要した費用等を債務不履行による損害の賠償として請求することができる。

イ・・・妥当ではない

判例(最判昭48.10.11)によると

債権者は、金銭を目的とする債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求できない

と判示しています。

よって、本問は「請求することができる」が妥当ではなく、正しくは「請求することはできない」です。

 

ウ.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

ウ・・・妥当

金銭の給付を目的とする債務不履行に基づく損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができません(民法419条3項)。

つまり、大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなったとしても、債権者Aは、債務者Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができます。

 

エ.Aの母の葬儀費用にあてられるため、残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていたところ、令和3年10月1日にAの母が死亡した。BがAの母の死亡の事実を知らないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

エ・・・妥当ではない

債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時いずれか早い時から遅滞の責任を負います(民法412条2項)。

そして、『残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていた』ということは、債務に不確定期限がついていたということです。

不確定期限の場合、履行遅滞になるのは「期限になった後で履行の請求を受けた時点」「期限になったことを知った時点」のうち早い時点からです。

本問は、Bはどちらも満たしていないので、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金は請求できません。

 

オ.残代金の支払期限について特段の定めがなかったところ、令和3年10月1日にAがBに対して残代金の支払いを請求した。Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

オ・・・妥当

債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負います(民法412条3項)。

よって、Bは10月1日にAから請求を受けているので、Aは、Bに対して、「500万円」と「経過した2ヵ月分の遅延損害金」を請求できます。

 

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問30|民法

留置権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有すべきであるが、善良な管理者の注意とは、自己の財産に対するのと同一の注意より軽減されたものである。
  2. 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物について使用・賃貸・担保供与をなすことができず、留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を使用した場合、留置権は直ちに消滅する。
  3. 建物賃借人が賃料不払いにより賃貸借契約を解除された後に当該建物につき有益費を支出した場合、賃貸人による建物明渡請求に対して、賃借人は、有益費償還請求権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。
  4. Aが自己所有建物をBに売却し登記をB名義にしたものの代金未払のためAが占有を継続していたところ、Bは、同建物をCに転売し、登記は、C名義となった。Cが所有権に基づき同建物の明渡しを求めた場合、Aは、Bに対する売買代金債権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。
  5. Dが自己所有建物をEに売却し引渡した後、Fにも同建物を売却しFが所有権移転登記を得た。FがEに対して当該建物の明渡しを求めた場合、Eは、Dに対する履行不能を理由とする損害賠償請求権を被担保債権として当該建物を留置することができる。

>解答と解説はこちら

【答え】:3
【解説】
1.留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有すべきであるが、善良な管理者の注意
とは、自己の財産に対するのと同一の注意より軽減されたものである。

1・・・妥当ではない

留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければなりません(民法298条1項)。

そして、注意義務の重さは、「善良な管理者の注意(善管注意義務)」の方が重く、

「自己の財産と同一の注意義務」の方が軽いです。

よって、本問は「軽減」が妥当ではなく、正しくは「加重」です。

 

2.留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物について使用・賃貸・担保供与をなすことが
できず、留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を使用した場合、留置権は直ちに消滅する。

2・・・妥当ではない

留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができません(民法298条2項本文)。

もし、留置権者が上記規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができます(民法298条3項)。

よって、本問は「留置権は直ちに消滅する」が妥当ではないです。正しくは「留置権の消滅を請求できる」です。

 

3.建物賃借人が賃料不払いにより賃貸借契約を解除された後に当該建物につき有益費を支出した
場合、賃貸人による建物明渡請求に対して、賃借人は、有益費償還請求権を被担保債権として当該建物を留置することは
できない。

3・・・妥当

判例(最判昭46.7.16)によると

『 建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、権原のないことを知りながら右建物を不法に占有する間に有益費を支出しても、その者は、民法295条2項の類推適用により、右費用の償還請求権に基づいて右建物に留置権を行使することはできない。』

と判示しています。

よって、本肢は妥当です。

 

4.Aが自己所有建物をBに売却し登記をB名義にしたものの代金未払のためAが占有を継続していた
ところ、Bは、同建物をCに転売し、登記は、C名義となった。Cが所有権に基づき同建物の明渡しを求めた場合、Aは、Bに対する売買代金債権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。

4・・・妥当ではない

判例(最判昭47.11.16)によると

甲(A)所有の物を買受けた乙(B)が、売買代金を支払わないままこれを丙(C)に譲渡した場合には、甲(A)は、丙(C)からの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。

と判示しています。

よって、本問は「できない」が誤りで、正しくは「できる」です。

 

5.Dが自己所有建物をEに売却し引渡した後、Fにも同建物を売却しFが所有権移転登記を得た。F
がEに対して当該建物の明渡しを求めた場合、Eは、Dに対する履行不能を理由とする損害賠償請求権を被担保債権として当該建物を留置することができる。

5・・・妥当ではない

判例(最判昭43.11.21)によると

 不動産の二重売買において、第二の買主(F)のため所有権移転登記がされた場合、第一の買主(E)は、第二の買主(F)の右不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約不履行に基づく損害賠償債権をもつて、留置権を主張することは許されない。

と判示しています。

よって、本問は「できる」が妥当ではなく、正しくは「できない」です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問29|民法

物権的請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. A所有の甲土地上に権原なくB所有の登記済みの乙建物が存在し、Bが乙建物をCに譲渡した後も建物登記をB名義のままとしていた場合において、その登記がBの意思に基づいてされていたときは、Bは、Aに対して乙建物の収去および甲土地の明渡しの義務を免れない。
  2. D所有の丙土地上に権原なくE所有の未登記の丁建物が存在し、Eが丁建物を未登記のままFに譲渡した場合、Eは、Dに対して丁建物の収去および丙土地の明渡しの義務を負わない。
  3. 工場抵当法により工場に属する建物とともに抵当権の目的とされた動産が、抵当権者に無断で同建物から搬出された場合には、第三者が即時取得しない限り、抵当権者は、目的動産をもとの備付場所である工場に戻すことを請求することができる。
  4. 抵当権設定登記後に設定者が抵当不動産を他人に賃貸した場合において、その賃借権の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、賃借人の占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、賃借人に対して、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができ
    る。
  5. 動産売買につき売買代金を担保するために所有権留保がされた場合において、当該動産が第三者の土地上に存在してその土地所有権を侵害しているときは、留保所有権者は、被担保債権の弁済期到来の前後を問わず、所有者として当該動産を撤去する義務を免れない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.A所有の甲土地上に権原なくB所有の登記済みの乙建物が存在し、Bが乙建物をCに譲渡した後も
建物登記をB名義のままとしていた場合において、その登記がBの意思に基づいてされていたときは、Bは、Aに対して乙建物の収去および甲土地の明渡しの義務を免れない。

1・・・妥当

判例(最判平6.2.8)によると

甲(A)所有地上の建物を取得し、自らの意思に基づいてその旨の登記を経由した乙(B)は、たとい右建物を丙(C)に譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保有する限り、甲(A)に対し、建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない。

と判示しています。

よって、「Bは、Aに対して乙建物の収去および甲土地の明渡しの義務を免れない」ので妥当です!

詳細解説個別指導で解説します!

 

2.D所有の丙土地上に権原なくE所有の未登記の丁建物が存在し、Eが丁建物を未登記のままFに譲
渡した場合、Eは、Dに対して丁建物の収去および丙土地の明渡しの義務を負わない。

2・・・妥当

判例(最判昭35.6.17)によると

『土地の所有権にもとづく物上請求権の訴訟においては、現実に家屋を所有することによつて現実にその土地を占拠して土地の所有権を侵害しているもの(もし、Fが土地を占有しているのであれば、F)を被告としなければならないのである。』

と判示しています。

つまり、Eは、未登記の丁建物をFに譲渡した場合、Eは、Dに対して、丁建物の収去・丙土地の明け渡しの義務はあるとは、言い切れません。

 

3.工場抵当法により工場に属する建物とともに抵当権の目的とされた動産が、抵当権者に無断で
同建物から搬出された場合には、第三者が即時取得しない限り、抵当権者は、目的動産をもとの備付場所である工場に戻すことを請求することができる。

3・・・妥当

判例(最判昭57.3.12)によると

『工場抵当法二条の規定により工場に属する土地又は建物とともに抵当権の目的とされた動産が、備え付けられた工場から抵当権者の同意を得ないで搬出された場合には、第三者において即時取得をしない限りは、抵当権者は、搬出された目的動産をもとの備付場所である工場に戻すことを請求することができる。』

と判示しています。

よって、本肢は妥当です。

詳細解説個別指導で解説します!

 

4.抵当権設定登記後に設定者が抵当不動産を他人に賃貸した場合において、その賃借権の設定に
抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、賃借人の占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、賃借人に対して、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる。

4・・・妥当

判例(最判平17.3.10)によると

抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者であっても,抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けたものであり,その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ,その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,当該占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができる

と判示しています。

つまり、賃借人の占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、賃借人に対して、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができるので、妥当です。

 

5.動産売買につき売買代金を担保するために所有権留保がされた場合において、当該動産が第三
者の土地上に存在してその土地所有権を侵害しているときは、留保所有権者は、被担保債権の弁済期到来の前後を問わず、所有者として当該動産を撤去する義務を免れない。

5・・・妥当ではない

判例(最判平21.3.10)によると

動産の購入代金を立替払した者が,立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,買主との契約上,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有,使用する権原を有せず,その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け,これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは,所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,上記弁済期が到来するまでは,特段の事情がない限り,撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,上記弁済期が経過した後は,留保された所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはない

と判示しています。

つまり、本問は「弁済期到来の前後を問わず」が妥当ではないです。

正しくは「弁済期が経過した後は」です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問27|民法

意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 意思表示の相手方が、正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなされ、相手方が通知の受領を拒絶した場合には意思表示の到達が擬制される。これに対して、意思表示を通知する内容証明郵便が不在配達されたが、受取人が不在配達通知に対応しないまま留置期間が経過して差出人に還付され、通知が受領されなかった場合には、意思表示が到達したものと認められることはない。
  2. 契約の取消しの意思表示をしようとする者が、相手方の所在を知ることができない場合、公示の方法によって行うことができる。この場合、当該取消しの意思表示は、最後に官報に掲載した日またはその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に相手方に到達したものとみなされるが、表意者に相手方の所在を知らないことについて過失があった場合には到達の効力は生じない。
  3. 契約の申込みの意思表示に対して承諾の意思表示が郵送でなされた場合、当該意思表示が相手方に到達しなければ意思表示が完成せず契約が成立しないとすると取引の迅速性が損なわれることになるから、当該承諾の意思表示が発信された時点で契約が成立する。
  4. 意思表示は、表意者が通知を発した後に制限行為能力者となった場合でもその影響を受けないが、契約の申込者が契約の申込み後に制限行為能力者となった場合において、契約の相手方がその事実を知りつつ承諾の通知を発したときには、当該制限行為能力者は契約を取り消すことができる。
  5. 意思表示の相手方が、その意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき、または制限行為能力者であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。

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【答え】:2
【解説】
1.意思表示の相手方が、正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通
知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなされ、相手方が通知の受領を拒絶した場合には意思表示の到達が擬制される。これに対して、意思表示を通知する内容証明郵便が不在配達されたが、受取人が不在配達通知に対応しないまま留置期間が経過して差出人に還付され、通知が受領されなかった場合には、意思表示が到達したものと認められることはない。

1・・・妥当ではない

【前半部分】

相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなします(民法97条2項)。

よって、前半部分は妥当です。

【後半部分】

判例(最判平10.6.11)によると

遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、その内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく右内容証明郵便を受領することができたなど判示の事情の下においては、右遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点受取人に到達したものと認められる

と判示しています。

よって、後半部分の「認められることはない」が妥当ではありません。正しくは「認められることがある」です。

 

2.契約の取消しの意思表示をしようとする者が、相手方の所在を知ることができない場合、公示
の方法によって行うことができる。この場合、当該取消しの意思表示は、最後に官報に掲載した日またはその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に相手方に到達したものとみなされるが、表意者に相手方の所在を知らないことについて過失があった場合には到達の効力は生じない。

2・・・妥当

意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができます(民法98条1項)。

公示による意思表示は、「最後に官報に掲載した日」又は「その掲載に代わる掲示を始めた日」から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなします

ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じません(民法98条3項)。

よって、本問は妥当です。

 

3.契約の申込みの意思表示に対して承諾の意思表示が郵送でなされた場合、当該意思表示が相手
方に到達しなければ意思表示が完成せず契約が成立しないとすると取引の迅速性が損なわれることになるから、当該承諾の意思表示が発信された時点で契約が成立する。

3・・・妥当ではない

意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生じます(民法97条1項)。

よって、承諾の意思表示」も、到達した時点で有効になって契約が成立します。

 

4.意思表示は、表意者が通知を発した後に制限行為能力者となった場合でもその影響を受けない
が、契約の申込者が契約の申込み後に制限行為能力者となった場合において、契約の相手方がその事実を知りつつ承諾の通知を発したときには、当該制限行為能力者は契約を取り消すことができる。

4・・・妥当ではない

【前半部分】

意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられません(民法97条3項)

つまり、通知した後に制限行為能力者になっても、通知は有効なので、前半部分は妥当です。

【後半部分】

しかし、申込者が申込みの通知を発した後に「死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合」において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しません(民法526条)。

そのため、契約の申込者が契約の申込み後に制限行為能力者となった場合において、契約の相手方がその事実を知りつつ承諾の通知を発したとき、契約は成立しないので、取消しもできません。

 

5.意思表示の相手方が、その意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき、または制限行
為能力者であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。

5・・・妥当ではない

意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができません(民法98条の2本文)。

よって、本問は「制限行為能力者」が妥当ではなく、正しくは「未成年者若しくは成年被後見人」です。

詳細解説は、個別指導で行います!しっかり上記内容は理解をしておきましょう!

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問28|民法

Aが従来の住所または居所を去って行方不明となった場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているも
のはどれか。

  1. Aは自己の財産につき管理人を置いていたが、権限について定めていなかった場合であっても、管理人は、保存行為および、その財産の性質を変えない範囲内において利用または改良を行うことができる。
  2. Aが自己の財産につき管理人を置かなかったときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
  3. Aが自己の財産につき管理人を置いた場合において、Aの生死が明らかでないときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、管理人を改任することができる。
  4. Aの生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所はAについて失踪の宣告をすることができ、これにより、Aは、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。
  5. Aについて失踪の宣告が行われた場合、Aは死亡したものとみなされるが、Aが生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅するものではない。

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【答え】:4
【解説】
1.Aは自己の財産につき管理人を置いていたが、権限について定めていなかった場合であっても
、管理人は、保存行為および、その財産の性質を変えない範囲内において利用または改良を行うことができる。

1・・・正しい

権限の定めのない代理人は、「①保存行為」及び「②代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」のみをする権限を有します(民法103条)。

そして、財産の管理人は、上記103条に規定する①②の権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができます(民法28条前段)

つまり、管理人は、①②の行為は家庭裁判所の許可を得ずに行うことができます

 

2.Aが自己の財産につき管理人を置かなかったときは、利害関係人または検察官の請求により、
家庭裁判所は、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。

2・・・正しい

「従来の住所又は居所を去った者(不在者)」が「その財産の管理人を置かなかったとき」は、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができます(民法25条1項前段)。

よって、本問は正しいです。

 

3.Aが自己の財産につき管理人を置いた場合において、Aの生死が明らかでないときは、利害関係
人または検察官の請求により、家庭裁判所は、管理人を改任することができる。

3・・・正しい

不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができます(民法26条)。

よって、正しいです。

 

4.Aの生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所はAについて失踪
の宣告をすることができ、これにより、Aは、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。

4・・・誤り

不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができます(民法30条1項)。

そして、上記規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間(7年間)が満了した時に、死亡したものとみなします(民法31条)。

よって、本問は「失踪の宣告を受けた時」が誤りで、正しくは「7年間が満了した時」です。

関連ポイントについては、個別指導で解説します!

 

5.Aについて失踪の宣告が行われた場合、Aは死亡したものとみなされるが、Aが生存していると
きの権利能力自体は、これによって消滅するものではない。

5・・・正しい

失踪宣告を受けた人は、死亡したとみなされます(民法31条)。

ただし、失踪宣告を受けた人(A)が、実際には生存している場合、Aに権利能力はあるので、Aは契約などの法律行為をすることができます

 

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略