2011年過去問

平成23年・2011|問38|会社法・株式取得

株式取得に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。
  2. 譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。
  3. 承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。
  4. 株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。
  5. 合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。

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【答え】:1

 

【解説】
1.株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。
1・・・妥当ではない
合併および会社分割などの一般承継の場合、株式の売買による取得とは異なり、「会社の承認を要する旨の定め」をすることができません。よって、妥当ではありません。
2.譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。
2・・・妥当
譲渡制限株式の譲渡について、株主からの承認の請求等があった場合、譲渡を承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません。ただし、定款に別段の定めがある場合は、定款の定めに従います(会社法139条1項)。よって、本肢は妥当です。
3.承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。
3・・・妥当
判例によると、承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である、としています。
よって、本肢は妥当です。
4.株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。
4・・・妥当
株式会社が特定の株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の特別決議によって、次に掲げる事項を定めなければなりません(会社法156条1項、309条2項2号)。よって、本肢は妥当です。
5.合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。
5・・・妥当
子会社は、原則、その親会社である株式会社の株式を取得してはなりません会社法135条)。
ただし、例外として、合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合は、例外的に親会社の株式を取得できます(同条2項2号)。
この場合、子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分(売却等)しなければなりません(同条3項)。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問37|会社法・株式会社の設立

株式会社の設立手続における創立総会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 設立時取締役は、募集株式の払込期日または払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならない。
  2. 創立総会においては、株主総会で認められている書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない。
  3. 創立総会における普通決議は、株主総会における普通決議と同じく、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する。
  4. 発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
  5. 創立総会での決議により定款が変更された場合には、当該決議に反対した設立時株主は、会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。
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【答え】:4【解説】
1.設立時取締役は、募集株式の払込期日または払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならない。
1・・・誤り 募集設立の場合には、発起人は、払込みの期日又は払込み期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければなりません(会社法65条)。よって、創立総会を招集するのは「設立時取締役」ではなく、「発起人」です。また、「設立登記の前までに」ではなく、「遅滞なく」です。
2.創立総会においては、株主総会で認められている書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない。
2・・・誤り 創立総会において、書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、一定の時までに当該議決権行使書面を発起人に提出して行います(会社法75条)。 また、電磁的方法による議決権の行使も認めています同法76条)。よって、本肢は「書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない」となっているので誤りです。
3.創立総会における普通決議は、株主総会における普通決議と同じく、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する。
3・・・誤り 創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行います(会社法73条)。したがって、「議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する」は誤りです。 この点は、理解できていない人・勘違いしている人が多いので、個別指導で詳しく解説します。
4.発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
4・・・正しい出資額の不足により発起人又は設立時取締役の負う義務」及び「任務懈怠による発起人、設立時取締役又は設立時監査役の負う責任」は、総株主の同意がなければ、免除することができません(会社法55条)。本肢は、任務懈怠の内容であり、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできないので正しいです。任務懈怠による損害賠償責任を免除するには、「総株主の同意」が必要です。
5.創立総会での決議により定款が変更された場合には、当該決議に反対した設立時株主は、会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。
5・・・誤り 創立総会において、定款の変更の決議をした場合には、当該創立総会においてその変更に反対した設立時株主は、当該決議後2週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができます会社法97条)。本肢は「会社成立後」が誤りです。正しくは「当該決議後2週間以内に限り」です。詳細解説は「行書塾」で解説します。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問36|商法・商行為

商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。本件取引の相手方の誤認についてCに過失がなかった場合、A・B・C間の法律関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 契約はAとCの間で成立し、Aが本件取引によって生じた債務について責任を負うが、CはBに対しても履行の請求をすることができる。
  2. 契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、AはBと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負う。
  3. 契約はAとCの間で成立するが、BはAと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負う。
  4. 契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、Aは本件取引によって生じた債務について半分の割合で責任を負う。
  5. Cは、本件取引における契約の相手方がAであるかBであるかを選択することができるが、一方を選択した場合は他方との契約関係の存在を主張できない。

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【答え】:2

【解説】

商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。1.契約はAとCの間で成立し、Aが本件取引によって生じた債務について責任を負うが、CはBに対しても履行の請求をすることができる。

1・・・誤り
自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人Bに許諾した商人Aは、当該商人Aが当該営業を行うものと誤認して当該他人Bと取引をした者Cに対し、当該他人Bと連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負います(商法14条)。
契約自体はBC間で成立するが、名義を貸したA(名板貸人)も連帯債務を負う、というルールです。

つまり、本肢は「契約はAとCの間で成立し」が誤りで、正しく「契約はBとCの間で成立し」です。

商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。2.契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、AはBと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負う。

2・・・正しい
選択肢1の解説通り、本肢は正しいです。契約自体は、BC間で成立し、名義貸しをしたA(名板貸人)は、契約当事者Bと連帯して債務を負います

商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。3.契約はAとCの間で成立するが、BはAと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負う。

3・・・誤り
選択肢1の解説の通り、本肢は「契約はAとCの間で成立し」が誤りで、正しく「契約はBとCの間で成立し」です。

商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。4.契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、Aは本件取引によって生じた債務について半分の割合で責任を負う。

4・・・誤り
選択肢1の解説の通り、「Aは本件取引によって生じた債務について半分の割合で責任を負う」が誤りです。正しくは、名板貸人Aは、Bと連帯して債務を負います(連帯債務)

商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。5.Cは、本件取引における契約の相手方がAであるかBであるかを選択することができるが、一方を選択した場合は他方との契約関係の存在を主張できない。

5・・・誤り
選択肢1の解説の通り、契約はBC間で成立します。
契約相手を選択することはできません
よって誤りです。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問33|民法・委任契約・事務管理

Aの隣人であるBは、Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物(以下、「甲」という。)の屋根が損傷したため修繕を行った。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
  1. Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行ったが、強風に煽られて屋根から落下してしまい、受傷した。この場合に、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができない。
  2. Bは、Aから不在中における甲の管理を頼まれていたために修繕を行ったが、屋根から下りる際にBの不注意により足を滑らせて転倒し受傷した。この場合に、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができる。
  3. Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行ったが、それがAにとって有益であるときは、Bは、Aに対して報酬を請求することができる。
  4. Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせた。このようなBの行為は、Aのための事務管理にあたるから、これによりCは、Aに対して工事代金の支払いを直接に請求することができる。
  5. Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせたが、実はAがCによる修繕を望んでいないことが後になって判明した。このような場合、甲にとって必要不可欠な修繕であっても、Bは、Aに対してその費用の支払いを請求することができない。
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【答え】:1 【解説】
Aの隣人であるBは、Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物(甲)の屋根が損傷したため修繕を行った。 1.Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行ったが、強風に煽られて屋根から落下してしまい、受傷した。この場合に、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができない。
1・・・妥当 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(管理者)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(事務管理)をしなければなりません(民法697条)。 そして、本肢は「Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行った」とあるので、Bが行った行為については、「事務管理」に当たります。 そして、事務管理の場合、「損害賠償請求できる旨の規定はない」ので、本肢は妥当です。 本肢は、事務管理から対比ポイントなど学ぶ点が多いので、その点を個別指導で解説します!
Aの隣人であるBは、Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物(甲)の屋根が損傷したため修繕を行った。 2.Bは、Aから不在中における甲の管理を頼まれていたために修繕を行ったが、屋根から下りる際にBの不注意により足を滑らせて転倒し受傷した。この場合に、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができる。
2・・・妥当ではない 本肢は、「Aから不在中における甲の管理を頼まれていた」ので「準委任契約」に当たります。 「準委任契約」では、「委任契約」の規定が準用されます(民法656条)。 そして、委任契約では、 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができます(民法650条3項)。 この規定が準委任契約にも準用されるので、 本肢の場合、Bの過失により受傷しているため、その損害賠償を請求することはできません。 よって、妥当ではありません。 「委任契約」と「準委任契約」の違いは個別指導で解説します!
Aの隣人であるBは、Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物(甲)の屋根が損傷したため修繕を行った。 3.Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行ったが、それがAにとって有益であるときは、Bは、Aに対して報酬を請求することができる。
3・・・妥当ではない 本肢は「Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行った」とあるので、Bが行った行為については、「事務管理」に当たります。 そして、管理者Bは、本人Aのために有益な費用を支出したときは、本人Aに対し、その償還を請求することができます(民法702条)。 上記は「費用」について請求できる旨の規定であり、「報酬」については、請求できません。 よって、妥当ではありません。
Aの隣人であるBは、Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物(甲)の屋根が損傷したため修繕を行った。 4.Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせた。このようなBの行為は、Aのための事務管理にあたるから、これによりCは、Aに対して工事代金の支払いを直接に請求することができる。
4・・・妥当ではない 本肢は「Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせた」とあるので、Bが行った行為については、「事務管理」に当たります。 そして、事務管理者Bが本人Aの名でした法律行為の効果は、当然には本人Aに及ぶものではありません(最判昭36.11.30)。 よって、Cは、Aに対して工事代金の支払いを直接に請求することができないので、妥当ではりません。
Aの隣人であるBは、Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物(甲)の屋根が損傷したため修繕を行った。 5.Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせたが、実はAがCによる修繕を望んでいないことが後になって判明した。このような場合、甲にとって必要不可欠な修繕であっても、Bは、Aに対してその費用の支払いを請求することができない。
5・・・妥当ではない 本肢は「Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせた」とあるので、Bが行った行為については、「事務管理」に当たります。 そして、管理者Bが本人Aの意思に反して事務管理をしたときは、本人Aが現に利益を受けている限度においてのみ、本人に対し、その費用の償還を請求することができます(民法702条3項)。 よって、本肢は妥当ではありません。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問32|民法・契約解除

契約類型に応じた契約解除の相違に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。
  1. 贈与契約において、受贈者が、受贈の見返りとして贈与者を扶養する義務を負担していたにもかかわらず、この扶養する義務の履行を怠る場合には、贈与者は、贈与契約を解除することができる。
  2. 売買契約において買主から売主に解約手付が交付された場合に、売主が売買の目的物である土地の移転登記手続等の自己の履行に着手したときは、売主は、まだ履行に着手していない買主に対しても、手付倍返しによる解除を主張することはできない。
  3. 賃貸借契約において、賃借人の賃借物に対する使用方法が著しく信頼関係を破壊するものである場合には、賃貸人は、催告を要せずにただちに契約を解除することができる。
  4. 委任契約において、その契約が受任者の利益のためにもなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときはもちろん、また、そのような事情がないときでも、委任者が解除権自体を放棄したとは解されないときは、委任者は、自己の利益のためになお解除権を行使することができる。
  5. 建物の工事請負契約において、工事全体が未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に契約を解除する場合には、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、既施工部分については契約を解除することができず、未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎない。
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【答え】:2 【解説】
1.贈与契約において、受贈者が、受贈の見返りとして贈与者を扶養する義務を負担していたにもかかわらず、この扶養する義務の履行を怠る場合には、贈与者は、贈与契約を解除することができる。
1・・・妥当 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用します(民法553条)。 よって、催告による解除のルール(民法541条)も適用されます。 したがって、負担付贈与契約において、当該負担を履行しない場合、催告をしたのち、解除をすることができます。 よって、本肢は妥当です。 本肢の考え方については、個別指導で解説します!
2.売買契約において買主から売主に解約手付が交付された場合に、売主が売買の目的物である土地の移転登記手続等の自己の履行に着手したときは、売主は、まだ履行に着手していない買主に対しても、手付倍返しによる解除を主張することはできない。
2・・・妥当ではない 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができます(民法557条1項本文)。 つまり、売主は、相手方(買主)が履行に着手するまでは、手付を買主に倍返しすることで契約解除ができます。 よって、本肢は妥当ではありません。 手付の倍返しの意味については、個別指導で解説します!
3.賃貸借契約において、賃借人の賃借物に対する使用方法が著しく信頼関係を破壊するものである場合には、賃貸人は、催告を要せずにただちに契約を解除することができる。
3・・・妥当 判例によると、 「賃貸借は当時者相互の信頼関係を基礎とする継続的契約であるから、賃貸借の継続中に、当事者の一方に、その義務に違反し信頼関係を裏切って、賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為があった場合には、相手方は、民法第541条所定の催告を要せず、賃貸借を将来に向って解除することができる」としています(最判昭27.4.25)。 よって、本肢の場合、上記状況に当てはまるので賃貸人は、催告を要せずにただちに契約を解除することができます。 本肢は妥当です。
4.委任契約において、その契約が受任者の利益のためにもなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときはもちろん、また、そのような事情がないときでも、委任者が解除権自体を放棄したとは解されないときは、委任者は、自己の利益のためになお解除権を行使することができる。
4・・・妥当 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます(民法651条1項) つまり、委任された側も委任した側も、「いつでも」「理由に関係なく」解除することができます。 よって、本肢は妥当です。 本肢に関連する判例については個別指導で解説します!
5.建物の工事請負契約において、工事全体が未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に契約を解除する場合には、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、既施工部分については契約を解除することができず、未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎない。
5・・・妥当 判例によると、 「建物等の工事未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に請負契約を解除する場合において、工事内容が可分であり、かつ、当事者が既施工部分の給付について利益を有するときは、特段の事情のない限り、右部分についての契約を解除することはできない」としています(最判昭56.2.17)。 よって、 工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、 既施工部分については契約を解除することができないが、 未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎません。 どういうことを言っているかは、個別指導で解説します!

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問30|民法・法定地上権

法定地上権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
  1. Aは、自己所有の土地(更地)に抵当権を設定した後に、その土地上に建物を建築したが、抵当権の被担保債権について弁済をすることができなかった。この場合において、抵当権者が抵当権を実行して土地を競売すると、この建物のために法定地上権は成立せず建物は収去されなければならなくなることから、抵当権者は、土地とその上の建物を一括して競売しなければならない。
  2. AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Bは、その土地上に甲抵当権を設定したが、Aから建物を取得した後に、さらにその土地に乙抵当権を設定した。その後、Bは、甲抵当権の被担保債権について弁済したので甲抵当権は消滅したが、乙抵当権の被担保債権については弁済できなかったので、乙抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
  3. AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Aは、その建物上に甲抵当権を設定したが、Bから土地を取得した後に、さらにその建物に乙抵当権を設定した。その後、Aは、甲抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、甲抵当権が実行され、その建物は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
  4. Aが自己所有の土地と建物に共同抵当権を設定した後、建物が滅失したため、新たに建物を再築した場合において、Aが抵当権の被担保債権について弁済することができなかったので、土地についての抵当権が実行され、その土地は買受人Bが取得した。この場合、再築の時点での土地の抵当権が再築建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事由のない限り、再築建物のために法定地上権は成立しない。
  5. AとBが建物を共同で所有し、Aがその建物の敷地を単独で所有している場合において、Aがその土地上に抵当権を設定したが、抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、その抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
>解答と解説はこちら
【答え】:4 【解説】
1.Aは、自己所有の土地(更地)に抵当権を設定した後に、その土地上に建物を建築したが、抵当権の被担保債権について弁済をすることができなかった。この場合において、抵当権者が抵当権を実行して土地を競売すると、この建物のために法定地上権は成立せず建物は収去されなければならなくなることから、抵当権者は、土地とその上の建物を一括して競売しなければならない。
1・・・妥当ではない 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる民法389条:一括競売)。 そして、この一括競売は、「必ずしなければならない(義務)」ではなく、任意です。 よって、本肢は妥当ではありません。 一括競売の理解については個別指導で解説します!
2.AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Bは、その土地上に甲抵当権を設定したが、Aから建物を取得した後に、さらにその土地に乙抵当権を設定した。その後、Bは、甲抵当権の被担保債権について弁済したので甲抵当権は消滅したが、乙抵当権の被担保債権については弁済できなかったので、乙抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
2・・・妥当ではない 判例によると、 「土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後,甲抵当権が設定契約の解除により消滅し,その後,乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において,当該土地と建物が,甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても,乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは,法定地上権が成立する」としています(最判平19.7.6) 本肢は、「法定地上権は成立しない」となっているので誤りです。 本肢は問題文を理解しないと、上記判例を理解できません。 そのため、個別指導で問題文を時系列で解説します!
3.AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Aは、その建物上に甲抵当権を設定したが、Bから土地を取得した後に、さらにその建物に乙抵当権を設定した。その後、Aは、甲抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、甲抵当権が実行され、その建物は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
3・・・妥当ではない 判例によると 「建物に抵当権が設定された当時、土地・建物が所有者を異にしていたとしても、土地・建物が同一所有者に帰属した後に設定された建物に対する後順位抵当権が存在する限り、法定地上権が成立する」としています(大判昭14.7.26)。 よって、本肢の場合、「法定地上権は成立しない」となっているので誤りです。 本肢も選択肢2同様、問題文を理解しないと、上記判例を理解できません。 そのため、個別指導で理由を含めて解説します!
4.Aが自己所有の土地と建物に共同抵当権を設定した後、建物が滅失したため、新たに建物を再築した場合において、Aが抵当権の被担保債権について弁済することができなかったので、土地についての抵当権が実行され、その土地は買受人Bが取得した。この場合、再築の時点での土地の抵当権が再築建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事由のない限り、再築建物のために法定地上権は成立しない。
4・・・妥当 判例によると、 「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない」としています(最判平9.2.14)。 よって、本肢は妥当です。 本肢も、問題文の状況理解ができないといけないので、個別指導で判例のような結論となる理由を含めて解説します!
5.AとBが建物を共同で所有し、Aがその建物の敷地を単独で所有している場合において、Aがその土地上に抵当権を設定したが、抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、その抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
5・・・妥当ではない 判例によると、 「建物の共有者の一人がその敷地を所有する場合において、右土地に設定された抵当権が実行され、第三者がこれを競落したときは、右土地につき、建物共有者全員のために、法定地上権が成立するものと解すべきである」としています(最判昭46.12.21)。 本肢は、「法定地上権は成立しない」となっているので誤りです。 本肢も、なぜそのような判例になるのかを理解した方が良いので、個別指導でその点も含めて解説します!

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問31|民法・連帯債務・連帯保証権

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。

連帯債務および連帯保証に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.連帯債務において、連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合には、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者は相殺を援用することができる。これに対し、連帯保証において、主たる債務者が債権者に対して債権を有する場合には、連帯保証人は、主たる債務者が債権者に対して有する債権による相殺をもって、相殺適状にあった全額について債権者に対抗することができる。

イ.連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対して債務を免除した場合には、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者は債務を免れる。これに対し、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対して債務を免除した場合には、主たる債務者はその債務の全額について免れることはない。

ウ.連帯債務において、連帯債務者の1人のために消滅時効が完成した場合には、他の連帯債務者はこれを援用して時効が完成した債務の全額について自己の債務を免れることができる。これに対し、連帯保証において、連帯保証人のために時効が完成した場合には、主たる債務者はこれを援用して債務を免れることはできない。

エ.連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対してした債務の履行の請求は、他の債務者にも効力を生じる。これに対し、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対してした債務の履行の請求は、主たる債務者に対して効力が生じることはなく、主たる債務の時効は中断しない。

オ.連帯債務において、連帯債務者の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償することができる。これに対し、連帯保証において、連帯保証人の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯保証人は、他の連帯保証人に対し、求償することはできない。

  1. ア・イ
  2. イ・エ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:-

【解説】

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問29|民法・占有

A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。この場合に関する次のア~エの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものをすべて挙げた組合せはどれか。
ア.CがAのカメラを即時取得するのは、Bの占有に公信力が認められるからであり、その結果、Bがカメラの所有者であったとして扱われるので、Cの所有権はBから承継取得したものである。 イ.Cは、カメラの占有を平穏、公然、善意、無過失で始めたときにカメラの所有権を即時取得するが、その要件としての平穏、公然、善意は推定されるのに対して、無過失は推定されないので、Cは無過失の占有であることを自ら立証しなければならない。 ウ.Bは、Cにカメラを売却し、以後Cのために占有する旨の意思表示をし、引き続きカメラを所持していた場合、Cは、一応即時取得によりカメラの所有権を取得するが、現実の引渡しを受けるまでは、その所有権の取得は確定的ではなく、後に現実の引渡しを受けることによって確定的に所有権を取得する。 エ.Bは、Cにカメラを売却する前にカメラをDに寄託していたが、その後、BがCにカメラを売却するに際し、Dに対して以後Cのためにカメラを占有することを命じ、Cがこれを承諾したときは、たとえDがこれを承諾しなくても、Cは即時取得によりカメラの所有権を取得する。
  1. ア・イ
  2. ア・イ・ウ
  3. ア・ウ・エ
  4. イ・ウ・エ
  5. ウ・エ
>解答と解説はこちら
【答え】:2 【解説】
A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。 ア.CがAのカメラを即時取得するのは、Bの占有に公信力が認められるからであり、その結果、Bがカメラの所有者であったとして扱われるので、Cの所有権はBから承継取得したものである。
ア・・・妥当ではない 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得します(民法192条:即時取得)。 そして、即時取得は、「原始取得」であり「承継取得」ではありません。 よって、本肢は妥当ではありません。 「原始取得」と「承継取得」については、個別指導で解説します!
A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。 イ.Cは、カメラの占有を平穏、公然、善意、無過失で始めたときにカメラの所有権を即時取得するが、その要件としての平穏、公然、善意は推定されるのに対して、無過失は推定されないので、Cは無過失の占有であることを自ら立証しなければならない。
イ・・・妥当ではない 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定します(民法186条1項)。 つまり、占有者は「善意・平穏・公然」について反証がなければ、 「善意・平穏・公然」として扱います。 つまり、占有者は積極的に「善意・平穏・公然」であることを立証する必要はありません。 よって、本肢は妥当ではありません。
A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。 ウ.Bは、Cにカメラを売却し、以後Cのために占有する旨の意思表示をし、引き続きカメラを所持していた場合、Cは、一応即時取得によりカメラの所有権を取得するが、現実の引渡しを受けるまでは、その所有権の取得は確定的ではなく、後に現実の引渡しを受けることによって確定的に所有権を取得する。
ウ・・・妥当ではない 判例によると、 「占有取得の方法が外観上の占有状態に変更を来たさない占有改定にとどまるときは、民法第192条(即時取得)の適用はない」としています(最判昭35.2.11)。 本肢は「Cは、一応即時取得によりカメラの所有権を取得する」が誤りです。 占有改定については、個別指導で解説します!
A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。 エ.Bは、Cにカメラを売却する前にカメラをDに寄託していたが、その後、BがCにカメラを売却するに際し、Dに対して以後Cのためにカメラを占有することを命じ、Cがこれを承諾したときは、たとえDがこれを承諾しなくても、Cは即時取得によりカメラの所有権を取得する。
エ・・・妥当 判例によると、 「寄託者が倉庫業者に対して発行した荷渡指図書に基づき倉庫業者が寄託者台帳上の寄託者名義を変更して右寄託の目的物の譲受人が指図による占有移転を受けた場合には、民法192条(即時取得)の適用がある。」としています(最判昭57.9.7)。 つまり、Cは占有を開始したことになるため、即時取得によりカメラの所有権を取得します。 「指図による占有移転」を含めてきちんと基礎知識が必要なので、個別指導で解説します!

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問26|行政法

次のア~エの記述のうち、道路をめぐる裁判に関する最高裁判所の判決の要旨として、正しいものの組合せはどれか。

ア.里道は住民に個別的具体的な利益をもたらすものではなく、その用途廃止により住民の生活に支障が生じるとしても、住民に里道の用途廃止処分の取り消しを求めるについての原告適格が認められる余地はない。

イ.道路が権原なく占有された場合には、当該道路の道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。

ウ.建築基準法42条2項によるいわゆる二項道路の指定が一括指定の方法でされた場合、これによって直ちに個別の土地について具体的な私権制限が生じるものでないから、当該指定は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。

エ.国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合、その移設にかかった費用は、損失補償の範囲には含まれない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:4【解説】
ア.里道は住民に個別的具体的な利益をもたらすものではなく、その用途廃止により住民の生活に支障が生じるとしても、住民に里道の用途廃止処分の取り消しを求めるについての原告適格が認められる余地はない。
ア・・・誤り
判例によると、
「里道の近くに居住し、その通行による利便を享受することができる者であつても、当該里道の用途廃止により各方面への交通が妨げられるなどその生活に著しい支障が生ずるような特段の事情があるといえないときは、右用途廃止処分の取消しを求めるにつき原告適格を有しない。 」
と判示しています。つまり、里道の近くに居住し、その通行による利便を享受することができる者であっても、原則、原告適格を有しない

例外的に、当該里道の用途廃止により各方面への交通が妨げられるなどその生活に著しい支障が生ずるような特段の事情があるときは、原告適格を有するということです。

よって、本肢の場合、「その用途廃止により住民の生活に支障が生じる」となっているので、例外に当たり、原告適格が認められる余地はあります

したがって、誤りです。

イ.道路が権原なく占有された場合には、当該道路の道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。
イ・・・正しい
判例によると、
「道路法39条1項は、道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収することができる旨を定めており、この規定に基づく占用料は、都道府県道に係るものにあっては道路管理者である都道府県の収入となる。このように、道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収して収入とすることができるのであるから、

道路が権原なく占有された場合には、道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得するものというべきである」
と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

ウ.建築基準法42条2項によるいわゆる二項道路の指定が一括指定の方法でされた場合、これによって直ちに個別の土地について具体的な私権制限が生じるものでないから、当該指定は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
ウ・・・誤り
判例によると、
「特定行政庁(知事等)による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。したがって、本件告示のような一括指定の方法による2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。」
と判示しています。

よって、本肢は誤りです。

エ.国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合、その移設にかかった費用は、損失補償の範囲には含まれない。
エ・・・正しい
国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合において判例によると、
「道路法70条1項の定める補償の対象は、道路工事の施行による土地の形状の変更を直接の原因として生じた隣接地の用益又は管理上の障害を除去するためにやむを得ない必要があってした前記工作物の移転等に起因する損失に限られると解するのが相当である。

したがって、警察法規が一定の危険物の保管場所等につき保安物件との間に一定の離隔距離を保持すべきことなどを内容とする技術上の基準を定めている場合において、道路工事の施行の結果、警察違反の状態を生じ、危険物保有者が右技術上の基準に適合するように工作物の移転等を余儀なくされ、これによって損失を被ったとしても、それは道路工事の施行によって警察規制に基づく損失がたまたま現実化するに至ったものにすぎず、このような損失は、道路法70条1項の定める補償の対象には属しないものというべきである。」
と判示しています。

つまり、本肢の状況では、ガソリンタンクの移設費用は損失補償の範囲に含まれません

よって、正しいです。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問28|民法・時効

民法改正に伴い、選択肢3と4が使えなくなりましたので、その解説は省略します。

時効等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. A所有の甲土地につき、20年間占有を継続してきたBが取得時効を援用した場合、取得時効の成立を否定するためには、Aの側において、他主占有事情の立証では足りず、Bの占有が賃貸借など他主占有権原に基づいて開始された旨を立証しなければならない。
  2. A所有の乙土地につき、Bが5年間占有した後にCがこれを相続して、さらに10年間占有を継続した時点において、CがBの占有と併合して取得時効を援用した場合、C自身が占有開始時に悪意であったときは、Bが占有開始時に善意であり、かつ無過失であったとしても時効取得は認められない。
  3. Aから丙土地を購入したBが、その引渡しを受けてから10年以上が経過した後に隠れた瑕疵を発見し、Aに対して瑕疵担保責任に基づく損害賠償を請求した場合、Aは消滅時効を援用してこれを拒むことができる。
  4. Aから甲建物を購入したBが、同建物の隠れた瑕疵を理由としてAに対して損害賠償を請求する場合には、瑕疵を発見してから1年以内にAに対して瑕疵の内容を具体的に明示しなくても、その存在を通知すれば、同請求権は時効により消滅することはない。
  5. 乙建物について先順位抵当権者Aの被担保債権につき消滅時効が完成した場合、かかる債権の消滅により後順位抵当権者Bは順位上昇の利益を享受することができるため、Bもその時効を援用することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:改正民法による妥当な選択肢なし【解説】
1.A所有の甲土地につき、20年間占有を継続してきたBが取得時効を援用した場合、取得時効の成立を否定するためには、Aの側において、他主占有事情の立証では足りず、Bの占有が賃貸借など他主占有権原に基づいて開始された旨を立証しなければならない。

1・・・妥当ではない

占有者は、所有の意思をもって善意で、平穏に、かつ、公然占有をするものと推定します(民法186条)。

そして、判例によると、
「民法186条1項の所有の意思の推定は、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかつたなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情が証明されるときは、覆される」としています(最判昭58.3.24)。

よって、
立証責任は「取得時効を否定する側」つまり、本問のA側にあるということです。

したがって、妥当ではありません。

本肢は判例理解だけでなく、前提知識も必要となるので、個別指導で丁寧に解説します!

2.A所有の乙土地につき、Bが5年間占有した後にCがこれを相続して、さらに10年間占有を継続した時点において、CがBの占有と併合して取得時効を援用した場合、C自身が占有開始時に悪意であったときは、Bが占有開始時に善意であり、かつ無過失であったとしても時効取得は認められない。

2・・・妥当ではない

10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得します(民法162条2項)。

判例によると、
「不動産の占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張された場合には、民法162条2項にいう占有者の善意・無過失は、その主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点において判定すれば足りる」としています(最判昭53.3.6)。

つまり、前の占有者Bが善意無過失なので、Aが、Bの占有期間を含めて10年占有すれば時効取得できます。

よって、Bが5年占有しているので、Cが5年占有すれば、Cが悪意でも時効取得できます。

よって、本肢は誤りです。

本肢は色々理解しないといけないので、個別指導で解説します!

3.Aから丙土地を購入したBが、その引渡しを受けてから10年以上が経過した後に隠れた瑕疵を発見し、Aに対して瑕疵担保責任に基づく損害賠償を請求した場合、Aは消滅時効を援用してこれを拒むことができる。

3・・・-

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。

4.Aから甲建物を購入したBが、同建物の隠れた瑕疵を理由としてAに対して損害賠償を請求する場合には、瑕疵を発見してから1年以内にAに対して瑕疵の内容を具体的に明示しなくても、その存在を通知すれば、同請求権は時効により消滅することはない。

4・・・-

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。

5.乙建物について先順位抵当権者Aの被担保債権につき消滅時効が完成した場合、かかる債権の消滅により後順位抵当権者Bは順位上昇の利益を享受することができるため、Bもその時効を援用することができる。

5・・・妥当ではない

判例によると、
後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない」としています(最判平11.10.21)。

よって、本肢は「後順位抵当権者Bもその時効を援用することができる」となっているので誤りです。

理由については、個別指導で解説します!

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略