直接請求とは、住民が、地方公共団体に直接、一定の行動を取るように請求することを言い、普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者が直接請求の権利を持っています。
つまり、外国人は直接請求できません。
上記の通り、直接請求は、住民が、代表者(議員)などを介さずに、地方公共団体の意思決定に直接参加することから直接民主制の一つである。
※議会政治(議会で地方公共団体の意思決定を行うこと)は、住民が選挙で選んだ代表者(議員)に意思決定を委託し、間接的に政治参加することから、間接民主制や代表民主制の一つです。
直接請求の種類
直接請求には、下記4つがあります。
- 条例制定・改廃請求
- 事務監査請求
- 議会解散請求
- 解職請求
あとで、細かく解説しますが、重要ポイントをまとめると下記の通りです。
条例制定・改廃請求
住民は、条例の制定、改正、廃止を請求することができます。
当該地方公共団体の議員・長の選挙権を有する者(外国人は除く)は、その総数の50分の1以上の連署により、代表者から長に対して、請求できます。
ただし、地方税の賦課徴収、分担金・使用料・手数料の徴収に関する条例については、制定・改廃請求できません。
条例制定・改廃請求があったときは、長は、直ちに請求の要旨を公表しなければなりません。
そして、この請求を受領した日から20日以内に議会を招集し、意見を付けて議会に付議(過半数の同意で議決)し、その結果を代表者に通知するとともに、公表しなければなりません。
事務監査請求
住民は、「地方公共団体の事務執行」ならびに「長および各委員会・委員の権限に属する事務執行」について、監査委員に対し、監査請求ができます。
当該地方公共団体の議員・長の選挙権を有する者(外国人は除く)は、その総数の50分の1以上の連署により、代表者から監査委員に対して、請求できます。
署名が有効の場合、監査委員はすぐに事務監査(特別監査に該当)を行います。
>>住民監査請求請求との違いはこちら
議会解散請求
住民は、都道府県議会や市町村議会を解散するよう請求できます。
当該地方公共団体の議員・長の選挙権を有する者(外国人は除く)は、その総数の3分の1以上の連署により、代表者から選挙管理委員会に対して、請求できます。
議会の解散請求があった場合、選挙管理委員会は、直ちに請求の要旨を公表し、選挙人の投票に(住民投票)に付さなければなりません。
解散の投票で、過半数の同意があった時は、議会は解散することになります。
解職請求
住民は、「議員」「地方公共団体の長」「役員」の解職を請求できます。
この点については、それぞれ内容が異なるので分けて考えます。
議員の解職請求
当該地方公共団体の議員・長の選挙権を有する者(外国人は除く)は、その総数の3分の1以上(※1)の連署により、請求できます。
請求先は、その後、選挙が行われるので選挙管理委員会に請求します。
そして、住民投票により、過半数の同意で決し、過半数の同意があれば、議員は解職されます。
※1 有権者総数が40万人以下の場合は、3分の1の連署でよいが、
有権者総数が40万人超の場合は、署名数の要件が緩和されます。どれだけ緩和されるかは行政書士の試験では出題される可能性は低いので覚えなくても大丈夫です。
長の解職請求
長の解職請求は、議員の解職請求と同じです。
当該地方公共団体の議員・長の選挙権を有する者(外国人は除く)は、その総数の3分の1以上(※1)の連署により、請求できます。
請求先は、その後、選挙が行われるので選挙管理委員会に請求します。
そして、住民投票により、過半数の同意で決し、過半数の同意があれば、議員は解職されます。
役員の解職請求
役員とは、①副知事・副市町村長、②指定都市の総合区長、③選挙管理委員、④監査委員、⑤公安委員会の委員を指します。
当該地方公共団体の議員・長の選挙権を有する者(外国人は除く)は、その総数の3分の1以上(※1)の連署により、請求できます。
請求先は、任命権者である長(知事や市町村長)です。
役員の解職請求があったら、長は、直ちに請求の要旨を公表し、解職請求を議会に付議し、議会議員の3分の2以上の出席、かつ、その4分の3以上の者の同意により議決します。
可決されれば、その役員は役員の職を失います。
そして、長は、可決・否決の結果を解職請求の代表者および関係人に通知し、公表します。