持分会社の社員の責任
会社は法人なので、会社の債務は、会社自身の債務であって、社員(個人)の債務ではありません。
しかし、持分会社の社員(無限責任社員および有限責任社員)は、会社債権者に対して、直接責任を負います。ただし、この責任の範囲が、無限責任社員と有限責任社員とで異なります。
無限責任社員 | すべて責任を負う |
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有限責任社員 | 出資した分を限度に責任を負う。出資した金額以上の責任は負わない |
どのような場合に責任を負うか?
持分会社の社員は、下記2つのいずれかに該当する場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負います(580条1項)。
- 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
- 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合
(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合は、責任を免れることができる)
上記の通り、持分会社の社員は、会社の債務の保証人といった立場にあります。
社員の加入と退社
加入
持分会社は、新たに社員を加入させることができます(604条1項)。
ここでいう「社員」とは従業員ではなく、「出資者」を意味します。
株式会社でいえば株主と同じ立場の人です。
社員に関する情報は登記事項なので、社員が加入する場合、変更登記が必要です。
そして、変更登記をすることで、効力が生じます(604条2項)。
条文では、「持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずる(604条2項)」と規定しているが、内容は上記の通りです。
もっとも、合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となろうとする者が定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは、その者は、当該払込み又は給付を完了した時に、合同会社の社員となります(604条3項)。
※持分会社の成立後に加入した社員は、その加入前に生じた持分会社の債務についても、これを弁済する責任を負います(605条)。
退社
退社とは、会社が存立している間に、社員がその地位を失うことです。分かりやすく言えば、「会社のオーナー」を辞めるイメージです。よって、後でも解説する通り、出資したお金をあとで取り戻せます。
そして、退社には、任意退社と法定退社の2種類があります。
任意退社
任意退社とは、社員自らの意思によって退社することです。
「①持分会社の存続期間を定款で定めなかった場合」又は「②ある社員の終身の間持分会社が存続することを定款で定めた場合」には、各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができます(606条1項)。
この場合においては、各社員は、6か月前までに持分会社に退社の予告をしなければなりません。
しかし、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができます(606条3項)。
法定退社
社員は、下記事由によって、自動的に退社します(607条)。
- 定款で定めた事由の発生
- 総社員の同意
- 死亡
- 合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
- 破産手続開始の決定
- 解散
- 後見開始の審判を受けた
- 除名
退社に伴う持分の払戻し
退社した社員は、その出資の種類を問わず、金銭によりその持分の払戻しを受けることができます(611条1項3項)。