民法の無料テキスト

請負

請負とは?

請負契約は、請負人がある仕事を完成することを約束し、注文者(依頼者)がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約束する契約を言います(民法632条)。

請負契約は、有償で、双務契約であり、諾成契約です。

請負の報酬

報酬の支払時期

請負の報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければなりません(民法633条本文)。つまり、「仕事の完成」と「報酬の支払い」が同時履行の関係ではなく「目的物の引渡し」と「報酬の支払い」が道理履行の関係があります

注文者が受ける利益の割合に応じた報酬

注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき、または、②請負が仕事の完成前に解除されたとき

請負人が既に行った仕事の結果のうち可分な部分を注文者に引き渡すことによって注文者が利益を受けるときは、その部分は、仕事が完成したとみなし、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができます(民法634条)。

請負契約の解除

注文者による契約の解除

請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約解除ができます(民法641条)。

注文者についての破産手続の開始による解除

注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができます(民法642条本文)。

ただし、仕事を完成した後は、請負人は契約解除ができません(民法642条ただし書き)。

完成した目的物の所有権の帰属

請負の目的物が完成した場合の所有権については、

1.まず、当事者間で特約があれば、その特約に従います。

2.次に特約がない場合、「材料の全部又は主要部分の提供者」が誰かを考えます。
材料の全部又は主要部分の提供者」が注文者であれば、目的物の所有権は注文者に帰属します(大判昭7.5.9)。
材料の全部又は主要部分の提供者」が請負人であり、かつ請負代金の支払いがほとんど支払われていない場合、目的物の所有権は請負人に帰属します(大判大3.12.26)。

もし、「材料の全部又は主要部分の提供者」が請負人であっても、請負代金の大部分または全部を支払っている場合は、目的物の所有権は注文者に帰属します(大判昭18.7.20、最判昭44.9.12)。

請負人の担保責任の制限

請負契約によって完成したモノに欠陥(契約不適合)があった場合、注文者は、請負人に対して「契約不適合責任」を追及することができます。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(請負)
第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)
第633条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第634条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

(請負人の担保責任の制限)
第636条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第637条 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

(注文者による契約の解除)
第641条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

(注文者についての破産手続の開始による解除)
第642条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
2 前項に規定する場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
3 第一項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

寄託

寄託とは?

寄託は、受寄者(じゅきしゃ)が寄託者(きたくしゃ)の物を保管することを約束し、寄託者がこれを承諾することによって成立する契約です(民法657条)。

受寄者は、物を預かる人(保管する人)
寄託者は、物を預ける人です。

受寄者の義務

自己の財産と同一の注意義務(無償の場合)

無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負います(民法659条)。

自己の財産に対するのと同一の注意」と「善管注意義務」の違い個別指導で解説します。

善管注意義務(有償の場合)

報酬のある受寄者は、委託者に物を返還をするまで(保管中は)、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければなりません(民法400条)。

 

寄託物の返還義務

■寄託物の返還時期を定めた場合
  • 寄託者は、いつでもその返還を請求することができます(民法662条1項)。→ただし、受寄者が期限前の返還請求によって損害を受けたときは、寄託者に対し、損害賠償請求ができます(民法662条2項)。
  • 受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない(民法663条2項)。
■返還時期を定めなかった場合
  • 寄託者は、いつでもその返還を請求することができます(民法662条1項)。
  • 受寄者も、いつでもその返還をすることができます(民法663条1項)。
  • (寄託物の返還の時期)
    第六百六十三条 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
    2 返還の時期の定めがあるときは、

寄託者の義務

費用の前払い義務

保管費用を要するときは、寄託者は、受寄者の請求があったら、その費用を前払いしなければなりません(民法665条、649条)。

費用償還義務

受寄者が、前払いを受けていない費用について、保管するのに必要と認められる費用を支出したときは、受寄者は、寄託者に対し、その「費用」及び「支出の日以後におけるその利息」の償還を請求することができます(民法665条、650条1項)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(寄託)
第657条 寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等)
第657条の2 寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
2 無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。
3 受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。

(寄託物の使用及び第三者による保管)
第658条 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。
2 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。
3 再受寄者は、寄託者に対して、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う。

(無報酬の受寄者の注意義務)
第659条 無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。

(受寄者の通知義務等)
第660条 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
2 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない。
3 受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。

(寄託者による損害賠償)
第661条 寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。

(寄託者による返還請求等)
第662条 当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
2 前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。

(寄託物の返還の時期)
第663条 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
2 返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。

(寄託物の返還の場所)
第664条 寄託物の返還は、その保管をすべき場所でしなければならない。ただし、受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる。

(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第664条の2 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(委任の規定の準用)
第665条 第六百四十六条から第六百四十八条まで、第六百四十九条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、寄託について準用する。

委任

委任とは?

委任は、委任者が法律行為をすることを相手方に委託し、受任者がこれを承諾することによって、成立します(民法643条)。つまり、諾成契約です。

請負との違いについては個別指導で解説します。

受任者の義務

受任者は、委任者に対して下記義務を負います。

受任者の善管注意義務

受任者は、委任契約の内容に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います(民法644条)。

そして、受任者が復受任者を選任するためには、①委任者の許諾、又は②やむを得ない事由が必要です(民法644条の2)。

受任者の報告義務

  1. 委任者の請求があるときは、受任者は、いつでも委任事務の処理の状況を報告しなければなりません(民法645条)。
  2. 委任が終了した後は、受任者は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない(民法645条)。

つまり、「委任者から請求があった場合」と「委任が終了した場合」に、受任者は、委任者に対して事務に関する報告が必要です。

受任者の受取物の引渡義務

受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の委任者に引き渡さなければなりません。また、受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利委任者に移転しなければなりません(民法646条)。

具体例は個別指導で解説します。

受任者の金銭消費についての責任

受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければなりません。また、損害があるときは、損害賠償責任も負います(民法647条)。

委任者の責任

委任者は受任者に対して下記義務を負います。

委任者の報酬支払義務

委任契約で、報酬支払の特約がある場合、委任者は受任者に対して報酬を支払う義務が発生します(民法648条1項)。

もし、報酬支払の特約がなければ、委任者は報酬の支払い義務は生じません。

■受任者はいつ報酬を請求できるか?

原則、委任事務を履行した後でなければ、報酬を請求することができません。つまり、原則、後払いです(民法648条2項)。

ただし、報酬時期を特約したのであれば、それに従います。

■また、下記場合、委任者は、受任者に対して、既にした履行の割合に応じて報酬を支払わなければいけません(民法648条3項)。

  1. 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき
  2. 委任が履行の中途で終了したとき。

成果等に対する報酬

いわゆる「成果報酬」の特約をした場合、①その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければなりません(民法648条の2)。

②引渡しが不要な場合、成果が完成した時に報酬を支払わなければなりません。

費用の前払義務

委任事務を処理するについて費用(例えば、交通費等)を要するときは、委任者は、受任者の請求があったら、その費用を前払いしなければなりません(民法649条)。

費用の償還義務

受任者が、前払いを受けていない費用について、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、受任者は、委任者に対し、その「費用」及び「支出の日以後におけるその利息」の償還を請求することができます(民法650条1項)。

委任の終了

委任契約は下記事由によって終了します(民法651条、653条)。

死亡 破産手続開始決定 後見開始の審判 合意解除
委任者 終了 終了 終了しない 終了
受任者 終了 終了 終了 終了

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(委任)
第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)
第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

(復受任者の選任等)
第644条の2 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。

(受任者による報告)
第645条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

(受任者による受取物の引渡し等)
第646条 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

(受任者の金銭の消費についての責任)
第647条 受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

(受任者の報酬)
第648条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。

(成果等に対する報酬)
第648条の2 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
2 第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。

(受任者による費用の前払請求)
第649条 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

(受任者による費用等の償還請求等)
第650条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

(委任の解除)
第651条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

(委任の解除の効力)
第652条 第六百二十条の規定は、委任について準用する。

(委任の終了事由)
第653条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

(委任の終了後の処分)
第六百五十四条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

(委任の終了の対抗要件)
第655条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

賃貸借の終了

賃貸借の終了事由

賃貸借契約が終了する事由としては、①期間満了、②解約の申し入れ、③解除、④目的物の全部滅失があります。

「③解除」については、「賃貸人と賃借人の合意による解除」「無断転貸を理由とする解除」があります。

期間満了

賃貸人と賃借人が賃貸借の期間を定めたときは、その期間が満了することによって賃貸借契約が終了します(民法597条)。

解約申し入れ

当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、「賃貸人及び賃借人」は、いつでも解約の申入れをすることができます(民法617条)。

いつ、契約が終了するのかというと、下記賃貸借ごとに異なります。下記に定める期間を経過することによって賃貸借契約は終了します。

  1. 土地の賃貸借→契約の申し入れから1年経過後
  2. 建物の賃貸借→契約の申し入れから3か月経過後
  3. 動産の賃貸借→契約の申し入れから1日経過後

解除(合意解除・債務不履行による解除)

■合意解除

賃貸人と賃借人とが、「契約解除しましょう!」と合意することで解除することです。

■債務不履行による解除(催告による解除)

賃借人が賃料不払い等、債務を履行しない場合、賃貸人は、相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、賃貸人は、契約の解除をすることができます。

ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除できません。

細かいルールは個別指導で解説します。

目的物の全部滅失

賃借物の全部が滅失により使用及び収益をすることができなくなった場合、当然に(解除することなく)賃貸借は終了します(民法616条の2)。

賃貸借契約終了の効果

建物買取請求権

借地借家法の適用がある借地権の場合、借地権の存続期間満了し、契約更新がないときは、借地権者(土地賃借人)は、借地権設定者(地主)に対し、建物を時価で買い取るべきことを請求することができます(借地借家法13条1項)

この建物買取請求権は、特約で排除することができません(借地借家法16条)。

詳細解説については個別指導で解説します!

造作買取請求権

造作」とは、「賃貸人の同意を得て建物に付加された物で、賃借人の所有に属し、かつ、建物の使用・収益に客観的便益を付与するもの」をいいます。例えば、畳やエアコン等です。

建物賃貸人同意を得て建物に付加した畳、建具等の造作がある場合、建物賃借人建物賃貸借期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物賃貸人に対しその造作を時価で買い取るべきことを請求することができます(借地借家法33条1項前段)

この造作買取請求権は、特約で排除することができます(借地借家法16条)。

詳細解説については個別指導で解説します!

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(期間満了等による使用貸借の終了)
第597条 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。

(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)
第616条の2 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。

(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第617条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一 土地の賃貸借 一年
二 建物の賃貸借 三箇月
三 動産及び貸席の賃貸借 一日
2 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。

(催告による解除)
第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

(建物買取請求権)
借地借家法第13条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

(造作買取請求権)
借地借家法第33条 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。

貸人の地位の移転(賃貸人の変更)

賃貸人の変更とは?

例えば、アパートの所有者A(賃貸人)が、B(賃借人)にアパートの一室を貸していたとします。その後。Aがアパートを第三者Cに売却すると、アパートの所有者がAからCに変わります。

これによって、賃貸人がAからCに変更します。これが「賃貸人の変更」です。

賃借権の対抗要件

上記具体例の通り、賃貸人がAからCに変更になった場合、賃借人Bは新賃貸人Cに対して、「不動産の賃貸借」をどのような場合に対抗できるか?

民法では、賃借権を登記したときは、新賃貸人Cに対抗することができるとしています(民法605条)。

もっとも、建物の賃借権は、賃借権の登記がなくても、建物の引き渡しがあれば、新賃貸人に建物賃借権を対抗できます(借地借家法31条)。つまり、上記具体例では、賃借人Bは、「賃借権の登記」もしくは「建物の引渡し」によって、新賃貸人Cに対抗できます。

また、建物所有の土地の賃借権の場合、借地上の土地の建物を登記していれば、土地の賃借人は、土地の賃貸人(地主)に対抗できます(借地借家法10条1項)。

賃貸人の地位移転

上記具体例の通り、賃貸している不動産を譲渡することができます。これにより、賃貸人が変更となるのですが、どういった場合に「賃貸人の地位」が新しい賃貸人(所有者)に移転するかが問題です。

言い換えると、どういった場合に新賃貸人Cが、賃借人Bに賃貸人であることを主張できるかが問題です。

賃借人Bが賃貸借の対抗要件を備えている状況で、不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、新賃貸人Cに移転します(民法605条の2第1項)。

この場合、賃借人Bの承諾は不要です。

敷金返還債務、必要費・有益費償還債務の移転

上記のように「賃貸人の地位が移転(賃貸人が変更)」すると、敷金返還債務や必要費償還債務、有益費償還債務も、新賃貸人Cに移転します(民法605条の2第1項)。

具体例については個別指導で解説します!

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(不動産賃貸借の対抗力)
第605条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の2 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の3 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

転貸・賃借権の譲渡

転貸・賃借権の譲渡とは?

「転貸」とは、賃借人が賃貸人から借りている物を第三者に又貸しをすることです。

「賃借権の譲渡」とは、賃借権を第三者に譲ることです。

違いについては個別指導で解説します。

転貸・賃借権の要件と無断転貸

転貸や賃借権を譲渡するためには、「賃貸人の承諾」が必要です(民法612条1項)

もし、賃借人が無断で第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができます(民法612条2項)。

これは、賃貸人と賃借人の信頼関係を基礎として賃貸借契約が成立しているからであり、信頼関係を破壊するような行為(背信的行為)をしたら、契約解除できるということです。

言い換えれば、親族に転貸した場合等、信頼関係を壊す行為とは言えない場合(背信的行為と認められない場合)は契約解除できないとしています(最判昭289.25)。

賃借権譲渡の効果

賃借権の移転

賃貸人Aと賃借人Bが賃貸借契約を締結し(AB間での契約)、賃借人Bが第三者Dに賃借権を譲渡した場合、賃借人Bは賃貸借契約からは離脱し、AD間の契約となります。

敷金返還請求権は移転しない

賃借人Bが、新賃借人Dに賃借権を譲渡した場合、旧賃借人Bが賃貸人Aに預けた敷金は、旧賃借人BがAに対して返還請求できます。敷金返還請求権は新賃借人Dに移転しません

賃料の支払い関係

賃貸人Aとして、賃借人Bが第三者Dに対して賃借権を譲渡すると、AはDに対してのみ賃料を請求することができます

賃貸借契約から離脱したBに対しては賃料を請求できません。

転貸の効果

賃借料と転借料の支払い関係

賃貸人A→賃借人B→転借人Cという状況では、Aは、BにもCにも賃料を請求できます。

ただし「AB間の賃料」と「BC間の転借料」が異なるとき、Cは、賃料と転借料の低い方を賃貸人Aに支払えばよいです。

賃貸借と転貸の関係

賃貸借契約が解除となった場合、転貸借契約はどうなるのか?

これは、賃貸借契約の解除の理由(①合意解除、②債務不履行による解除)によって異なります。

①合意解除

賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができません(民法613条3項本文)。つまり、賃貸借契約が解除されても、当然に転貸借契約が解除とはなりません

②債務不履行による解除

解除の当時、賃貸人が、賃借人の債務不履行により(賃借人の賃料不払いによって)解除権を有していたときは、賃貸人が転借人に返還請求をした時に転貸借契約も終了となります(民法613条3項ただし書き)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

(転貸の効果)
第613条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。

賃貸借

賃貸借とは?

賃貸借とは、貸主はモノを貸して賃料をもらい、逆に、借主は賃料を払ってモノを借りるという貸主と借主の間での契約です。

少し難しい言い方をすれば、貸主が、借主に対して「モノの使用及び収益をさせること」を約束し、借主は、これに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約束することです(民法601条)。

賃貸借の存続期間

賃貸借の存続期間は、最長50年です。50年を超えることができません。もし、契約で50年より長い期間を定めたときは、50年となります(民法601条1項)。

そして、賃貸借の存続期間は、更新することができます。更新後の契約期間も、更新の時から50年を超えることができません(民法601条2項)。

賃貸人・賃借人の権利・義務

賃貸人の修繕義務・賃借人による費用償還請求

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います(民法606条1項本文)。

 

ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、賃貸人は修繕義務を負いません(民法606条1項ただし書)。

賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができません(民法606条2項)。たとえ、賃借人が反対したとしても、賃貸人は修繕することができます

必要費について

もし、修繕が必要にも関わらず賃貸人が修繕せず、賃借人が業者に頼んで修繕費用を支出した場合必要費(修繕費:目的物の使用に必要な費用)は直ちに賃貸人に請求することができます(民法608条1項)。

有益費について

賃借人が目的物の価値を増加させるための費用(有益費)を支出した場合、賃貸借終了の時に、目的物の価格の増加が現存している場合に限って、賃貸人は、「支出された費用」または「増価額」のいずれかを選択し、賃借人に支払う義務を負います(民法608条2項、196条2項)。

例えば、建物を借りて、エアコンを設置した場合、原則、「エアコンの設置費用」もしくは「エアコンの価値部分」のいずれかを賃借人に支払う義務を負います。(実務的には、特約で有益費について請求できない旨をつけている場合が多いです)

賃借人の通知義務

賃借物に修繕の必要性があるとき、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければなりません(民法615条)。

ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、通知は不要です。

原状回復義務・目的物の返還義務

賃借人は、契約が終了したときに、賃貸人に目的物を返還しなければなりません。

また、賃借人は、目的物を受け取った後に生じた損傷を回復させる義務を負います。ただし「通常損耗」と「経年劣化による損傷」は賃借人は負担しません(責任を免れる)。

また、損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由によるときにも賃借人は負担しません(責任を免れる)。

通常損耗」とは、通常の生活に必要に行為を行っていて生じた損傷です。
例えば、テレビの後部壁面の黒ずみや家具を設置したことで床、カーペットがへこんだり、跡が付いたりした場合、賃借人は負担せず、賃貸人負担となります。

経年劣化」とは、時間とともに品質が低下することを言います。
例えば、 雨風・湿気・温度変化・日照などによる品質の低下だけでなく、通常の方法で使い続けることによる摩滅、汚れ等の損耗も経年劣化として、賃借人は責任を負わず、賃貸人負担となります。

賃料の支払時期

賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければなりません(民法616条本文)。つまり、後払いです。(不動産賃貸では、通常、特約で前払いにしている場合が多いです。)

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(賃貸借)
第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

(賃貸借の存続期間)
第604条 賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。

(賃貸人による修繕等)
第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

(賃借人の意思に反する保存行為)
第607条 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

(賃借人による修繕)
第607条の2 賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。

(賃借人による費用の償還請求)
第608条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
第611条 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
2 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

(賃料の支払時期)
第614条 賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。

(賃借人の通知義務)
第615条 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

(賃借人による使用及び収益)
第616条 第五百九十四条第一項の規定は、賃貸借について準用する。

贈与

贈与とは?

贈与とは、贈与者(あげる方)が、受贈者(もらう方)に対して、無料でプレゼントをすることを言い、受贈者が受諾をすること(贈与契約)によって、贈与の効力が生じます(民法549条)。

書面によらない贈与

贈与契約は、口頭(書面によらない贈与)でも有効に成立するのですが、書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができます(民法550条本文)。

ただし、履行の終わった部分については、書面によらない贈与であっても解除できません(民法550条ただし書)。

※「履行が終わった」とは、例えば、受贈者に目的物を引渡しをしたり、受贈者に移転登記をしたりした場合です。

贈与の効力

贈与契約の目的物が「」である場合、贈与者は、贈与の目的物を特定した時の状態で引き渡す義務が生じます。

贈与契約の目的物が「権利」である場合、贈与者は、贈与の目的である権利を移転する義務が生じます(民法551条2項)。

ただし、贈与契約で、上記とは異なる状態での引渡しや移転を約束した場合、その約束に従います。そのためその約束に従わない「物や権利」を「引渡し・移転」した場合、契約不適合責任を負うこととなります。

定期贈与

「定期贈与」とは、一定の時期ごとに無償で財産を与えることを言います。例えば、「毎月2万円、おこずかいをあげる」というのは定期贈与です。

そして、定期贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失います(民法552条)。つまり、

負担付贈与

「負担付贈与」とは、無償でプレゼントする代わりに、受贈者が一定の負担を負う場合の贈与を言います。

例えば、「介護をしてくれたら、この土地を贈与する」という贈与契約は負担付贈与契約です。

負担付き贈与契約は、双務契約に関する規定(同時履行の抗弁権や危険負担)を準用します(民法553条)。

そして、負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任(契約不適合責任)を負います(民法551条2項)。

また、負担付贈与において、受贈者が負担を履行しない場合、贈与者は贈与契約を解除することができます(最判昭53.2.17)。

死因贈与

死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与を言い、例えば、贈与者と受贈者の間で、「贈与者が死亡したら、甲土地を受贈者に贈与する」という贈与契約です。

 

死因贈与については、遺贈と似ているので、遺贈に関する規定を準用します(民法554条)。

死因贈与と遺贈の違い

死因贈与はあくまで「贈与」なので、贈与者と受贈者の合意によって成立します。

一方、似たような制度で「遺贈」があります。遺贈は、「遺言」によって財産を与えることを言い、遺言者の単独行為によって行います。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(贈与)
第549条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

(書面によらない贈与の解除)
第550条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

(贈与者の引渡義務等)
第551条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。

(定期贈与)
第552条 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。

(負担付贈与)
第553条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

(死因贈与)
第554条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

契約解除

契約解除とは?

契約をすると、その契約に従って、義務を果たさないといけません。そして、契約解除することで、この義務から解放し、損害を被らないようにすることが目的です。

催告による解除

AB間の契約で、Aが解除する場合を考えます。

Bがその債務を履行しない場合、原則、AがBに対して「相当の期間を定めてその履行の催告」をし、その期間内にBが債務を履行しないときは、Aは、契約の解除をすることができます(民法541条本文)。

上記の通り、債務者の債務不履行は要件となっていません

ただし、例外として、上記相当期間を経過した時における債務不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき(Bの債務不履行が軽微のとき)は、Aは解除ができません(民法541条ただし書)。

つまり、債務不履行があると、債権者Aは原則として解除ができるのですが、債務者Bの不履行が軽微と主張立証されれば、解除できないということです。

催告によらない解除(無催告解除)

下記のいずれかに該当する場合には、債権者は、上記催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができます(民法542条)。

  1. 債務の全部の履行が不能であるとき。
  2. 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
  3. 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
  4. 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
  5. 1~4以外に、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

各具体例については個別指導で解説します。

解除権の行使の仕方

解除は、当事者の一方が解除の意思表をすることで行います(民法540条1項)。

もし、当事者の一方が数人いる場合には、契約の解除は、その全員からその全員に対して行う必要があります(民法544条1項)。

例えば、「債権者がA・B」、「債務者がCとD」の場合で、AとBから解除をする場合、AとBが共同して、CとDの双方に解除の意思表示をする必要があります。

逆も同じです。

解除の効果

当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、原状回復義務を負います(民法545条1項本文)。

ただし、第三者がいる場合、第三者の権利を害することはできません(民法545条1項ただし書)。

具体例は個別指導で解説します。

上記原状回復義務を履行する際、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければなりません(民法545条2項)。

上記原状回復義務を履行する際、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければなりません(民法545条3項)。

解除権の行使したとしても、損害があれば、損害賠償請求は行えます(民法545条4項)。つまり、契約解除も損害賠償請求も行えます。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(解除権の行使)
第540条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2 前項の意思表示は、撤回することができない。

(催告による解除)
第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

(催告によらない解除)
第542条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第543条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。

(解除権の不可分性)
第544条 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。
2 前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。

(解除の効果)
第545条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

相殺

相殺とは?

相殺とは、2人が互いに同種の債権・債務を持っている場合、その債権債務を消滅させること(帳消しにすること)です(民法505条1項)。

そして、相殺は一方的な意思表示によって行うことができます。

自働債権と受働債権

AがBに対して「金銭債権X」を有し、逆に、
BがAに対して「金銭債権Y」を有していた。

ここで、Aから相殺を主張する場合、相殺を主張する側Aの有する金銭債権Xを「自働債権」と呼び
相殺を主張される側Bの有する債権を「受働債権」と呼びます。

相殺ができる要件(相殺適状)

相殺を主張するためには、下記4つの要件を全て満たす必要があります。

  1. お互いが相手方に対して債権を持っている(505条1項本文)
    →例)AがBに対して債権を有し、逆にBもAに対して債権を有している
  2. お互いが有する債権が同種の目的である(505条1項本文)
    →例)AとB、それぞが相手方に有する債権がいずれも金銭債権である
  3. 両債権が弁済期にある(505条1項本文)
    →原則、お互いの債権が弁済期でないといけないが、自働債権(相殺を主張する者が有する債権)が弁済期であれば、受働債権は弁済期が到来していなくてもよい
  4. 債務の性質上相殺が許されている(505条1項ただし書)
    →例)「同時履行の抗弁権がついている場合」や、「受働債権が人の生命又は侵害の侵害による損害賠償債権である場合」等は、相殺が禁止されているため、相殺できません。

ここはしっかり理解した方が良いので、個別指導で具体例を出しながら解説いたします。

相殺禁止の特約をした場合

当事者が相殺を禁止する特約をした場合、第三者が相殺禁止特約を知り(悪意)、又は重大な過失によって知らなかったとき(重過失)に限り、その第三者に対抗することができます=第三者がいても相殺できる(民法505条2項)。

具体例については個別指導で解説します。

相殺ができない場合

下記のいずれかに該当する場合、上記要件を満たしていても相殺をすることができません。

  1. 受働債権が悪意による不法行為に基づく損害賠償請求権である場合(民法509条1号)
    →「悪意」とは、積極的な意思を持って行った不法行為を指します。
  2. 受働債権が、不法行為や債務不履行に基づく人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権である場合(民法509条2号)
  3. 受働債権が差押禁止の債権である場合(民法510条)
    →例)扶養請求権や賃金債権
  4. 受働債権が差押えられ、その後、反対債権を取得した場合(民法511条)

細かい具体例については個別指導で解説します。

相殺の方法

相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によって行います(民法506条1項前段)。

つまり、相手方の承諾なく、単独で相殺することができます。

また、相殺をする際、条件又は期限を付することができません(民法506条1項後段)。

相殺の効果

相殺の意思表示は、双方の債務が互いに相殺適状となった時にさかのぼってその効力を生じます(民法506条2項)。

つまり、相殺適状後の遅延損害金は発生しません。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

作成中・・・

参考条文

(相殺の要件等)
第505条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。

(相殺の方法及び効力)
第506条 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。
2 前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。

(履行地の異なる債務の相殺)
第507条 相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければならない。

(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
第508条 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。

(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第509条 次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)

(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)
第510条 債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第511条 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。
2 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。