平成30年度(2018年度)過去問

平成30年・2018|問43|行政法の判例

次の文章は、地方公共団体の施策の変更に関する最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]~[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

・・・[ア]の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることはもとより当然であって、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。しかし、右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと[イ]し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との聞に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であっても、右のように密接な交渉を持つに至った当事者間の関係を規律すべき[ウ]の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる[イ]に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその[イ]に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された[イ]関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の[エ]責任を生ぜしめるものといわなければならない。そして、前記[ア]の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではないから、地方公共団体の施策決定の基盤をなす政治情勢の変化をもってただちに前記のやむをえない客観的事情にあたるものとし、前記のような相手方の[イ]を保護しないことが許されるものと解すべきではない。

(最三小判昭和56年1月27日民集35巻1号35頁)

1.信義衡平 2.私的自治 3.公平 4.信頼 5.確約 6.契約 7.財産 8.債務不履行 9.不法行為 10.団体自治 11.平等 12.刑事 13.住民自治 14.比例 15.権利濫用禁止 16.過失 17.期待 18.継続 19.監督 20.措置

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【答え】:「ア:13」 「イ:4」 「ウ:1」 「エ:9」

【解説】

・・・[ア:住民自治]の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることはもとより当然であって、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。しかし、右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと[イ:信頼]し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との聞に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であっても、右のように密接な交渉を持つに至った当事者間の関係を規律すべき[ウ:信義衡平]の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる[イ:信頼]に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその[イ:信頼]に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された[イ:信頼]関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の[エ:不法行為]責任を生ぜしめるものといわなければならない。そして、前記[ア:住民自治]の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではないから、地方公共団体の施策決定の基盤をなす政治情勢の変化をもってただちに前記のやむをえない客観的事情にあたるものとし、前記のような相手方の[イ:信頼]を保護しないことが許されるものと解すべきではない。

(最三小判昭和56年1月27日民集35巻1号35頁)

本問は、「最判昭56.1.27:宜野座工場誘致事件」の内容です。

ア.
[ア]の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則
[ア:住民自治]の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではない

ア・・・住民自治
憲法92条には「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と規定します。
「地方自治の本旨」には、下記2つの要素があります。
  1. 地方政治が、その地方の住民によって行われるべきとする「住民自治」
  2. 地方政治が、国から独立した機関によって行われるべきとする「団体自治」

そして、「住民の意思に基づいて行動する場合」という部分から、「住民自治」が妥当と判断します。

イ.
施策の変更にあたってはかかる[イ]に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその[イ]に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された[イ]関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の[エ]責任を生ぜしめるものといわなければならない。
イ・・・信頼
『当事者間に形成された[イ]関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び』
という部分からも「イに信頼」が入ることは推測できます。ただ、本問の判例自体、ある程度頭に入れておくべき判例なので
その判例の内容から、答えを導いても大丈夫です。
ウ.
密接な交渉を持つに至った当事者間の関係を規律すべき[ウ]の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる[イ:信頼]に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。
ウ・・・信義衡平
信義衡平の原則」とは、「信義誠実の原則」とほぼ同じ意味です。「信義誠実の原則」とは、当事者が相手の信頼にそむかず誠意をもって行動しなければならないという原則です。
そして、「信義衡平」というと、上記に加えて、「適切にバランスを図る」ことを求めます。
つまり、今回の判例の事案でいうと、「行政計画を変更する必要性」と「交渉相手の信頼を保護する必要性」とのバランスを考えた上で、行政は行動しなければならないことを意味します。
エ.
積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、・・・当事者間に形成された[イ:信頼]関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の[エ]責任を生ぜしめるものといわなければならない。
エ・・・不法行為
相手方が損害を被っており、それが違法な行為によって生じているので、「不法行為責任」と判断できます。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問41|憲法の判例(堀木訴訟)

公務員の政治的自由に関する次の文章の空欄[ア]~[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

〔国家公務員法〕102条1項は、公務員の職務の遂行の政治的[ア]性を保持することによって行政の[ア]的運営を確保し、これに対する国民の信頼を維持することを目的とするものと解される。
他方、国民は、憲法上、表現の自由(21条1項)としての政治活動の自由を保障されており、この精神的自由は立憲民主政の政治過程にとって不可欠の基本的人権であって、民主主義社会を基礎付ける重要な権利であることに鑑みると、上記の目的に基づく法令による公務員に対する政治的行為の禁止は、国民としての政治活動の自由に対する必要やむを得ない限度にその範囲が画されるべきものである。
このような〔国家公務員法〕102条1項の文言、趣旨、目的や規制される政治活動の自由の重要性に加え、同項の規定が刑罰法規の構成要件となることを考慮すると、同項にいう「政治的行為」とは、公務員の職務の遂行の政治的[ア]性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして[イ]的に認められるものを指し、同項はそのような行為の類型の具体的な定めを人事院規則に委任したものと解するのが相当である。・・・(中略)・・・。
・・・本件配布行為は、[ウ]的地位になく、その職務の内容や権限に[エ]の余地のない公務員によって、職務と全く無関係に、公務員により組織される団体の活動としての性格もなく行われたものであり、公務員による行為と認識し得る態様で行われたものでもないから、公務員の職務の遂行の政治的[ア]性を損なうおそれが[イ]的に認められるものとはいえない。そうすると、本件配布行為は本件罰則規定の構成要件に該当しないというべきである。
(最二小判平成24年12月7日刑集66巻12号1337頁)

1.従属 2.平等 3.合法 4.穏健 5.裁量 6.実質 7.潜在 8.顕在 9.抽象 10.一般 11.権力 12.現業 13.経営者 14.指導者 15.管理職 16.違法 17.濫用 18.逸脱 19.中立 20.強制

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【答え】:「ア:19」 「イ:6」 「ウ:15」 「エ:5」

【解説】

国家公務員法第102条(政治的行為の制限)
職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。

〔国家公務員法〕102条1項、公務員の職務の遂行の政治的[ア:中立]性を保持することによって行政の[ア:中立]的運営を確保し、これに対する国民の信頼を維持することを目的とするものと解される。
他方、国民は、憲法上、表現の自由(21条1項)としての政治活動の自由を保障されており、この精神的自由は立憲民主政の政治過程にとって不可欠の基本的人権であって、民主主義社会を基礎付ける重要な権利であることに鑑みると、上記の目的に基づく法令による公務員に対する政治的行為の禁止は、国民としての政治活動の自由に対する必要やむを得ない限度にその範囲が画されるべきものである。
このような〔国家公務員法〕102条1項の文言、趣旨、目的や規制される政治活動の自由の重要性に加え、同項の規定が刑罰法規の構成要件となることを考慮すると、同項にいう「政治的行為」とは、公務員の職務の遂行の政治的[ア:中立]性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして[イ:実質]的に認められるものを指し、同項はそのような行為の類型の具体的な定めを人事院規則に委任したものと解するのが相当である。・・・(中略)・・・。
・・・本件配布行為は、[ウ:管理職]的地位になく、その職務の内容や権限に[エ:裁量]の余地のない公務員によって、職務と全く無関係に、公務員により組織される団体の活動としての性格もなく行われたものであり、公務員による行為と認識し得る態様で行われたものでもないから、公務員の職務の遂行の政治的[ア:中立]性を損なうおそれが[イ:実質]的に認められるものとはいえない。そうすると、本件配布行為は本件罰則規定の構成要件に該当しないというべきである。

本問の事案は、「最判平24.12.7:堀越事件」のページで解説しています。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問39|会社法:社外取締役

社外取締役に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 社外取締役は、当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人を兼任することができない。
  2. 監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役の過半数は、社外取締役でなければならない。
  3. 公開会社であり、かつ、大会社である監査役会設置会社であって、発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、1名以上の社外取締役を選任しなければならない。
  4. 株式会社が特別取締役を選定する場合には、当該株式会社は、特別取締役による議決の定めがある旨、選定された特別取締役の氏名および当該株式会社の取締役のうち社外取締役であるものについては社外取締役である旨を登記しなければならない。
  5. 株式会社は、社外取締役の当該株式会社に対する責任について、社外取締役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、当該社外取締役が負う責任の限度額をあらかじめ定める旨の契約を締結することができる旨を定款で定めることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:誤りはなし

【解説】

1.社外取締役は、当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人を兼任することができない。

1・・・正しい
社外取締役とは、
①「株式会社の取締役」であって、
「当該株式会社又はその子会社」の「業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人」でなく
かつ、
③過去に「当該株式会社又はその子会社」の「業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人」となったことがないものをいいます(会社法2条1項15号のイ)。

したがって、社外取締役は、当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人を兼任することができません。

分かりづらいので、個別指導で分かりやすく解説します!

2.監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役の過半数は、社外取締役でなければならない。

2・・・正しい
監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、3人以上で、その過半数は、社外取締役でなければなりません(会社331条6項)。

3.公開会社であり、かつ、大会社である監査役会設置会社であって、発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、1名以上の社外取締役を選任しなければならない。
3・・・正しい
公開会社であり、かつ、大会社である監査役会設置会社であって、発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、1名以上の社外取締役を置く義務があります(会社法327条の2)。
したがって、「1名以上の社外取締役を選任しなければならない」は正しいです。
令和3年の改正会社法の内容です!

「発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの」については個別指導で解説します!

4.株式会社が特別取締役を選定する場合には、当該株式会社は、特別取締役による議決の定めがある旨、選定された特別取締役の氏名および当該株式会社の取締役のうち社外取締役であるものについては社外取締役である旨を登記しなければならない。

4・・・正しい
特別取締役による議決の定めがあるときは、次のことを登記しなければなりません(会社法911条3項21号)。

  1. 特別取締役による議決の定めがある旨
  2. 特別取締役の氏名
  3. 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
5.株式会社は、社外取締役の当該株式会社に対する責任について、社外取締役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、当該社外取締役が負う責任の限度額をあらかじめ定める旨の契約を締結することができる旨を定款で定めることができる。
5・・・正しい
株式会社は、「社外取締役、会計参与、社外監査役又は会計監査人(社外取締役等)」の任務懈怠責任について、当該社外取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときの損害賠償の限度額を、社外取締役等と契約締結することができる旨を定款で定めることができます(会社法427条1項)。分かりやすく言えば、定款で定めれば、万一、社外取締役が、任務を怠って誰かに損害を与えても、社外取締役自身が取るべき賠償額の上限を、事前に決めておくことができるということです。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問40|会社法:剰余金の配当

剰余金の配当に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 株式会社は、剰余金の配当請求権および残余財産分配請求権の全部を株主に与えない旨の定款の定めを設けることができる。
  2. 株式会社は、分配可能額の全部につき、株主に対して、剰余金の配当を支払わなければならない。
  3. 株式会社より分配可能額を超える金銭の交付を受けた株主がその事実につき善意である場合には、当該株主は、当該株式会社に対し、交付を受けた金銭を支払う義務を負わない。
  4. 株式会社は、当該株式会社の株主および当該株式会社に対し、剰余金の配当をすることができる。
  5. 株式会社は、配当財産として、金銭以外に当該株式会社の株式、社債または新株予約権を株主に交付することはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.株式会社は、剰余金の配当請求権および残余財産分配請求権の全部を株主に与えない旨の定款の定めを設けることができる。

1・・・誤り
株主は、その有する株式につき下記3つの権利を有する(会社法105条1項)。

  1. 剰余金の配当を受ける権利
  2. 残余財産の分配を受ける権利
  3. 株主総会における議決権

そして、株主に上記第1号(剰余金の配当を受ける権利)及び第2号(残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めは、無効となります(会社法105条2項)。

2.株式会社は、分配可能額の全部につき、株主に対して、剰余金の配当を支払わなければならない。
2・・・誤り
本肢のような「分配可能額の全部につき、株主に対して、剰余金の配当を支払わなければならない」というルールはありません。株式会社は、剰余金の配当について、分配可能額を超えて行ってはいけません会社法461条1項8号)
3.株式会社より分配可能額を超える金銭の交付を受けた株主がその事実につき善意である場合には、当該株主は、当該株式会社に対し、交付を受けた金銭を支払う義務を負わない。
3・・・誤り
選択肢2の解説にある、分配可能額を超えて剰余金の配当を行った場合(違反した場合)、
「剰余金の交付を受けた株主」並びに「剰余金の配当を行った業務執行者等」は、当該株式会社に対し、連帯して、当該剰余金を会社に返還する義務を負います(会社法462条1項)。
上記株主については、善意であっても、無過失であっても関係なく、会社に返還する義務を負います。
ただし、「業務執行者等」は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、上記返還義務を負いません(免責される)(会社法462条2項)。

詳細解説は個別指導で行います!

4.株式会社は、当該株式会社の株主および当該株式会社に対し、剰余金の配当をすることができる。
4・・・誤り
株式会社は、その株主に対し、剰余金の配当をすることができます(会社法453条)。
※株式会社自身が株主の場合、株式会社自身に剰余金の配当はできません。
言い換えると、保有する自己株式に対しては剰余金の配当を行うことはできない、ということです。
よって、「株式会社は、当該株式会社に対し、剰余金の配当をすることができる」という記述は誤りです。
5.株式会社は、配当財産として、金銭以外に当該株式会社の株式、社債または新株予約権を株主に交付することはできない。
5・・・正しい
株式会社は、剰余金の配当をするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければなりません(会社法454条1項)。
  1. 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額
  2. 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
  3. 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日

そして、本肢のポイントは、上記第1号の「当該株式会社の株式等を除く」の部分です。
「当該株式会社の株式等を除く」とは、「その会社の株式、社債、新株予約権を除く」ということです。
したがって、剰余金の配当をする場合、
「その会社の株式」、「社債」、「新株予約権」で配当することはできない
ということです。
現金で配当することは、もちろん可能です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問38|会社法:譲渡制限株式

譲渡制限株式に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 株式会社は、定款において、その発行する全部の株式の内容として、または種類株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨を定めることができる。
  2. 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を当該株式会社以外の他人に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認するか否かを決定することを請求することができる。
  3. 譲渡制限株式を取得した者は、当該株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認するか否かの決定をすることを請求することができるが、この請求は、利害関係人の利益を害するおそれがない一定の場合を除き、その取得した譲渡制限株式の株主として株主名簿に記載もしくは記録された者またはその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
  4. 株式会社が譲渡制限株式の譲渡の承認をするには、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会の特別決議によらなければならない。
  5. 株式会社は、相続その他の一般承継によって当該株式会社の発行した譲渡制限株式を取得した者に対し、当該譲渡制限株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.株式会社は、定款において、その発行する全部の株式の内容として、または種類株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨を定めることができる。

1・・・正しい
株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができます(会社法107条1項)。

  1. 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること
  2. 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
  3. 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

また、譲渡制限株式は、酒類株式の内容としても定めることができるので、正しいです。

この問題はすべての選択肢が関連しているので、関連付けて頭に入れることが合格への道です!一つ一つを単独で覚えていくのではなく、しっかり流れを押さえて、頭に入れることが重要です!

そのため、この点を個別指導で解説します!

2.譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を当該株式会社以外の他人に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認するか否かを決定することを請求することができる。
2・・・正しい
譲渡制限株式を他人に譲り渡そうとするときは、株主は会社に対し当該譲渡を承認するか否かの決定をすることを請求することができます(会社法136条)。
3.譲渡制限株式を取得した者は、当該株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認するか否かの決定をすることを請求することができるが、この請求は、利害関係人の利益を害するおそれがない一定の場合を除き、その取得した譲渡制限株式の株主として株主名簿に記載もしくは記録された者またはその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
3・・・正しい
譲渡制限株式を取得した株式取得者は、会社に対し、当該株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができます(会社法137条1項)。
上記「株式取得者からの承認の請求」は株主名簿上の株主又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければなりません(会社法137条2項)。

この問題は、関連ポイントも一緒に勉強しないとヒッカケ問題で間違えてしまいます。

なので、個別指導では、関連ポイントも一緒に解説します!

4.株式会社が譲渡制限株式の譲渡の承認をするには、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会の特別決議によらなければならない。
4・・・誤り
株式会社が、譲渡制限株式の譲渡の承認をするか否かの決定をする場合、
定款に定めがあれば、その内容に従い、
定款に定めがなければ、株主総会の普通決議(取締役会設置会社にあっては、取締役会決議)によらなければなりません(会社法139条1項)。
よって、「特別決議」が誤りです。
きちんと特別決議か普通決議かは覚えておきましょう!
5.株式会社は、相続その他の一般承継によって当該株式会社の発行した譲渡制限株式を取得した者に対し、当該譲渡制限株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。
5・・・正しい
株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができます(会社法174条)。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問37|発起人等の責任

株式会社の設立における発起人等の責任等に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負い、この義務は、総株主の同意によっても、免除することはできない。

イ.発起人は、出資の履行において金銭の払込みを仮装した場合には、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額を支払う義務を負い、この義務は、総株主の同意によっても、免除することはできない。

ウ.発起人、設立時取締役または設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負い、この責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

エ.発起人、設立時取締役または設立時監査役がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役または設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

オ.株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

ア.株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負い、この義務は、総株主の同意によっても、免除することはできない。

ア・・・誤り
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負います会社法52条)。
ただし、総株主の同意があれば、上記義務は免除できます(会社法55条)。
よって、本肢は誤りです。

このあたりは整理しないと、覚えきれないと思います。

私自身も、整理して頭に入れました。

整理の仕方については、個別指導でお伝えします!

イ.発起人は、出資の履行において金銭の払込みを仮装した場合には、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額を支払う義務を負い、この義務は、総株主の同意によっても、免除することはできない。

イ・・・誤り

本肢の「払込の仮装」について、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、全額を支払う義務を負います(会社法52条の2)。
ただし、総株主の同意があれば、上記義務は免除できます(会社法55条)。
よって、本肢は誤りです。

この選択肢も整理できていないと、ひかっけ問題でひっかかりそうな問題です。

しっかり整理をしましょう!

整理の仕方は個別指導で解説します!

ウ.発起人、設立時取締役または設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負い、この責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
ウ・・・正しい
発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったとき(任務懈怠)は、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います(会社法53条)。
ただし、総株主の同意があれば、上記義務は免除できます(会社法55条)。
よって、総株主の同意がなければ、免除することができないので正しいです。
エ.発起人、設立時取締役または設立時監査役がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役または設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
エ・・・正しい
発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います会社法53条2項)。
よって、本肢は正しいです。
オ.株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。
オ・・・正しい
株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担しなければなりません(会社法56条)。
よって、正しいです。

この問題はひかっけポイントもあるので、その点は注意が必要です!

ヒッカケポイントは、個別指導で解説します!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問36|商法:商行為

商人または商行為に関する次のア~オの記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.商行為の委任による代理権は、本人の死亡によって消滅する。

イ.商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

ウ.数人の者がその一人または全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。

エ.保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるときは、その債務は当該債務者および保証人が連帯して負担する。

オ.自己の営業の範囲内で、無報酬で寄託を受けた商人は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

ア.商行為の委任による代理権は、本人の死亡によって消滅する。

ア・・・誤り
商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しません商法506条
イ.商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

イ・・・正しい
商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができます(商法512条)。

報酬契約がなくても、商人は相当な報酬を請求できるので注意しましょう!

ウ.数人の者がその一人または全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。
ウ・・・正しい
数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担します(商法511条1項)。この点については、理解した方が分かりやすいので、個別指導
で具体例を出して解説します!しっかり理解しないと、合格するのは難しいので、しっかり理解しましょう!
エ.保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるときは、その債務は当該債務者および保証人が連帯して負担する。
エ・・・正しい
保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担します(商法511条2項)。
オ.自己の営業の範囲内で、無報酬で寄託を受けた商人は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
オ・・・誤り
商人がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けなくとも善良な管理者の注意をしなければなりません(商法595条)。本問は「自己の財産に対するのと同一の注意をもって」が誤りです!

この問題はイメージを理解した方がよいので、個別指導でイメージを解説いたします!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問32|民法:使用貸借・賃貸借

物の貸借に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、それが、使用貸借の場合にも賃貸借の場合にも当てはまるものの組合せはどれか。

ア.借主は、契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用および収益をしなければならない。

イ.借主は、目的物の使用および収益に必要な修繕費を負担しなければならない。

ウ.借主は、目的物を返還するときに、これに附属させた物を収去することはできない。

エ.貸借契約は、借主の死亡によって、その効力を失う。

オ.契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償および借主が支出した費用の償還は、貸主が借主から目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

ア.借主は、契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用および収益をしなければならない。

ア・・・両方当てはまる
使用貸借借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければなりません(民法594条)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法616条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまります。
イ.借主は、目的物の使用および収益に必要な修繕費を負担しなければならない。
イ・・・使用貸借に当てはまるが、賃貸借に当てはまらない
使用貸借の場合
借主は、借用物の通常の必要費を負担します(民法595条)。

一方、賃貸借の場合、
賃貸人が、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います民法606条1項本文)。
よって、本肢の内容は、使用貸借には当てはまるが、賃貸借には当てはまりません。

ウ.借主は、目的物を返還するときに、これに附属させた物を収去することはできない。
ウ・・・両方当てはまらない
使用貸借の場合
借主は、借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負います。
そして、借用物の返還の際借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができます民法599条2項)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法622条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまりません。
エ.貸借契約は、借主の死亡によって、その効力を失う。
エ・・・使用貸借に当てはまるが、賃貸借に当てはまらない
使用貸借は、借主の死亡によって終了します(民法597条3項)。
一方、賃貸借の場合、借主が死亡したら、賃貸借契約は相続されます(大判大13.3.13)。
よって、本肢の内容は、使用貸借には当てはまるが、賃貸借には当てはまりません。
オ.契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償および借主が支出した費用の償還は、貸主が借主から目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
オ・・・両方当てはまる
使用貸借の場合、
契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(民法600条1項)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法622条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまります。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問30|民法:抵当権

抵当権の効力に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 抵当権の効力は抵当不動産の従物にも及ぶが、抵当不動産とは別個に従物について対抗要件を具備しなければ、その旨を第三者に対して対抗することができない。
  2. 借地上の建物に抵当権が設定された場合において、その建物の抵当権の効力は、特段の合意がない限り借地権には及ばない。
  3. 買戻特約付売買の買主が目的不動産について買主の債権者のために抵当権を設定し、その旨の登記がなされたところ、その後、売主が買戻権を行使した場合、買主が売主に対して有する買戻代金債権につき、上記抵当権者は物上代位権を行使することができる。
  4. 抵当不動産が転貸された場合、抵当権者は、原則として、転貸料債権(転貸賃料請求権)に対して物上代位権を行使することができる。
  5. 抵当権者が、被担保債権について利息および遅延損害金を請求する権利を有するときは、抵当権者は、原則として、それらの全額について優先弁済権を行使することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.抵当権の効力は抵当不動産の従物にも及ぶが、抵当不動産とは別個に従物について対抗要件を具備しなければ、その旨を第三者に対して対抗することができない。
1・・・妥当ではない
判例によると
石灯籠および取り外しのできる庭石等は本件根抵当権の目的たる宅地の従物であり、
・・・
抵当権は右従物にも及び、この場合、右根抵当権は本件宅地に対する根抵当権設定登記をもって、その構成部分たる右物件についてはもちろん、抵当権の効力から除外する等特段の事情のないかぎり、民法370条により従物たる右物件についても対抗力を有するものと解するのが相当である」としている(最判昭44.3.28)。上記を言い換えると抵当権の設定登記があれば、原則として、抵当権を設定した不動産(宅地)だけでなく、
その不動産の従物(石灯籠・庭石)にも、抵当権の効力が及び、第三者に対して対抗することができるということです。

したがって、妥当ではありません。

2.借地上の建物に抵当権が設定された場合において、その建物の抵当権の効力は、特段の合意がない限り借地権には及ばない。
2・・・妥当ではない
判例によると
借地上に建てた建物に抵当権がある場合、原則として、借地権にも、建物の抵当権の効力が及ぶ」としています(最判昭40.5.4)。よって、本肢は妥当ではありません。
3.買戻特約付売買の買主が目的不動産について買主の債権者のために抵当権を設定し、その旨の登記がなされたところ、その後、売主が買戻権を行使した場合、買主が売主に対して有する買戻代金債権につき、上記抵当権者は物上代位権を行使することができる。
3・・・妥当
売主A、買主B、買主の債権者Cとします。AがBに売却し、その後、AがBから買い戻すといった流れです。判例は、「買戻し特約付き売買の買主Bから目的不動産につき抵当権の設定を受けた者Cは、抵当権に基づく物上代位権の行使として、買戻し権の行使により買主が取得した買戻し債権(買い戻す際に、AがBに支払う代金)を差し押さえることができる」としている(最判平11.11.30)。

よって、本肢は妥当です。

この問題は理解すべき部分が多いので個別指導で解説します!

4.抵当不動産が転貸された場合、抵当権者は、原則として、転貸料債権(転貸賃料請求権)に対して物上代位権を行使することができる。
4・・・妥当でない
判例によると「抵当権のついた不動産が転貸(又貸し)された場合、
抵当権者は、原則として、転貸料について、物上代位権を行使できない
としています(最決平12.4.14)。よって、本肢は妥当ではありません。

この問題は理解していただきたいので個別指導で解説します!

5.抵当権者が、被担保債権について利息および遅延損害金を請求する権利を有するときは、抵当権者は、原則として、それらの全額について優先弁済権を行使することができる。
5・・・妥当でない
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができます(民法375条1項)。よって、本肢は「それらの全額について優先弁済権を行使することができる」となっているので誤りです。正しくは「2年分」です。

これも、整理すべき点があるので、個別指導で解説します!
また、満期となった最後の2年分についても併せて解説します!

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問29|民法:対抗関係

Aが登記簿上の所有名義人である甲土地をBが買い受ける旨の契約(以下「本件売買契約」という。)をA・B間で締結した場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.甲土地は実際にはCの所有に属していたが、CがAに無断で甲土地の所有名義人をAとしていた場合において、Aがその事情を知らないBとの間で本件売買契約を締結したときであっても、BはCに対して甲土地の引渡しを求めることができない。

イ.甲土地はAの所有に属していたところ、Aの父であるDが、Aに無断でAの代理人と称して本件売買契約を締結し、その後Dが死亡してAがDを単独で相続したときは、Aは、Dの法律行為の追認を拒絶することができ、また、損害賠償の責任を免れる。

ウ.甲土地が相続によりAおよびEの共有に属していたところ、AがEに無断でAの単独所有名義の登記をしてBとの間で本件売買契約を締結し、Bが所有権移転登記をした場合において、Bがその事情を知らず、かつ、過失がないときは、Bは甲土地の全部について所有権を取得する。

エ.甲土地はAの所有に属していたところ、本件売買契約が締結され、B名義での所有権移転の仮登記がされた場合において、Aが甲土地をその事情を知らないFに売却し所有権移転登記をしたときは、Bは本登記をしない限りFに対して所有権の取得を対抗することができない。

オ.甲土地はAの所有に属していたところ、GがAに無断で甲土地上に建物を築造し、その建物の所有権保存登記をした場合において、本件売買契約により甲土地の所有者となったBは、Gが当該建物の所有権を他に譲渡していたとしても、登記名義がGにある限り、Gに対して当該建物の収去および土地の明渡しを求めることができる。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

Aが登記簿上の所有名義人である甲土地をBが買い受ける旨の契約をA・B間で締結した。
ア.甲土地は実際にはCの所有に属していたが、CがAに無断で甲土地の所有名義人をAとしていた場合において、Aがその事情を知らないBとの間で本件売買契約を締結したときであっても、BはCに対して甲土地の引渡しを求めることができない。
ア・・・妥当ではない
判例によると
不動産の所有者Cが他人名義Aを使用して不実の登記を経由した場合、民法94条2項(通謀虚偽表示)が類推適用される」としています(最判昭45.7.24)。つまり、本肢の場合、AC間で通謀虚偽表示が行われ、AがBに売却しているので、Bが第三者です。「通謀虚偽表示」によると、当事者は、善意の第三者には、通謀虚偽表示による無効を主張できません(対抗することができない)(民法94条2項)。もし、第三者Bが善意の場合、当事者Cに対して甲土地の引き渡しを求めることができるので、
本肢は妥当ではありません。本肢は理解すべき点があるので個別指導で解説します!
Aが登記簿上の所有名義人である甲土地をBが買い受ける旨の契約をA・B間で締結した。
イ.甲土地はAの所有に属していたところ、Aの父であるDが、Aに無断でAの代理人と称して本件売買契約を締結し、その後Dが死亡してAがDを単独で相続したときは、Aは、Dの法律行為の追認を拒絶することができ、また、損害賠償の責任を免れる。
イ・・・妥当ではない
「A:本人」「D:無権代理人」として、A所有の甲土地が売却され、
その後、無権代理人Dが死亡して、本人Aが単独相続しています。この場合、
本人Aは、無権代理行為について追認拒絶をすることができる
「無権代理人の損害賠償債務」は相続するので、当該損害賠償債務は免れることができません最判昭48.7.3)。よって、「損害賠償の責任を免れる」が妥当ではありません。

個別指導では、「問題文の理解の仕方」や「関連ポイント」まで解説します!

Aが登記簿上の所有名義人である甲土地をBが買い受ける旨の契約をA・B間で締結した。
ウ.甲土地が相続によりAおよびEの共有に属していたところ、AがEに無断でAの単独所有名義の登記をしてBとの間で本件売買契約を締結し、Bが所有権移転登記をした場合において、Bがその事情を知らず、かつ、過失がないときは、Bは甲土地の全部について所有権を取得する。
ウ・・・妥当ではない
甲土地についてAとEが共同相続したにも関わらず、Aが勝手に甲土地についてAの単独所有名義の登記をした。その後、Aが第三者Bに売却した場合、どうなるか?

判例によると、
他の共同相続人Eは第三者Bに対し自己の持分を登記なくして対抗できる」としています(最判昭38.2.22)。

つまり、「第三者Bがその事情を知らず、かつ、過失がないときは、Bは甲土地の全部について所有権を取得する」は妥当ではありません。

詳細解説については、個別指導で解説します!

Aが登記簿上の所有名義人である甲土地をBが買い受ける旨の契約をA・B間で締結した。
エ.甲土地はAの所有に属していたところ、本件売買契約が締結され、B名義での所有権移転の仮登記がされた場合において、Aが甲土地をその事情を知らないFに売却し所有権移転登記をしたときは、Bは本登記をしない限りFに対して所有権の取得を対抗することができない。
エ・・・妥当
判例によると、仮登記では、対抗力は認められないとしています(最判昭38.10.8)。

A→B(仮登記)


つまり、B名義での所有権移転の仮登記がされた場合、Aが甲土地をFに売却し所有権移転登記をしたときは、Bは本登記をしない限りFに対して所有権の取得を対抗することができません。

よって、本肢は妥当です。

Aが登記簿上の所有名義人である甲土地をBが買い受ける旨の契約をA・B間で締結した。
オ.甲土地はAの所有に属していたところ、GがAに無断で甲土地上に建物を築造し、その建物の所有権保存登記をした場合において、本件売買契約により甲土地の所有者となったBは、Gが当該建物の所有権を他に譲渡していたとしても、登記名義がGにある限り、Gに対して当該建物の収去および土地の明渡しを求めることができる。
オ・・・妥当
判例によると
「甲土地上の建物を取得し、自らの意思に基づいてその旨の登記を経由した者(G)は、たとい右建物をXに譲渡したとしても、引き続きGに登記名義を保有する限り、AまたはBに対し、建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない。」としています(最判平6.2.8)。よって、本肢「Bは、登記名義がGにある限り、Gに対して当該建物の収去および土地の明渡しを求めることができる」は妥当です。この問題はしっかり状況理解が必要なので個別指導で解説します!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略