令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

平成23年・2011|問1|基礎法学

わが国の法律に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. わが国の法律は基本的には属人主義をとっており、法律によって日本国民以外の者に権利を付与することはできない。
  2. 限時法とは、特定の事態に対応するために制定され、その事態が収束した場合には失効するものをいう。
  3. 法律が発効するためには、公布がされていることと施行期日が到来していることとの双方が要件となる。
  4. 国法は全国一律の規制を行うものであり、地域の特性に鑑み特別の地域に限って規制を行ったり、規制の特例措置をとったりすることは許されない。
  5. 日本国憲法は遡及処罰の禁止を定めており、法律の廃止に当たって廃止前の違法行為に対し罰則の適用を継続する旨の規定をおくことは許されない。

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【答え】:3【解説】
1.わが国の法律は基本的には属人主義をとっており、法律によって日本国民以外の者に権利を付与することはできない。
1・・・妥当ではない
日本は、原則、属地主義を取っており、例外的に属人主義となります。よって、本肢は妥当ではないです。正しくは、「わが国の法律は基本的には属地主義をとっており、法律によって日本国民以外の者に権利を付与することはできる」です。属地主義とは、どこの住民・国籍であっても、その土地の法令が、適用される、ということです。例えば、アメリカ人が日本で法律違反をした場合、日本の法律に基づいて罰金や過料を取ることができる、ということです。一方、属人主義とは、行為を行った土地や被害者の国籍にかかわらず、行為を行った者の国や地方公共団体の法令が適用される、という考え方です。例えば、アメリカ人が日本で法律違反をした場合、アメリカの法律に基づいて罰する、ということです。
2.限時法とは、特定の事態に対応するために制定され、その事態が収束した場合には失効するものをいう。
2・・・妥当ではない
限時法(げんじほう)とは、有効期間の定められている法令を言います。時限立法とも言います。本肢は「事態が収束した場合には失効」が誤りです。正しくは「期限が切れたら失効」です。例えば、アメリカで起きた同時多発テロ事件に基づいて、「テロ対策特別措置法」が制定されました。この法律は、2001年11月2日からの2年間の時限立法でした。
その後、この法律を延長しようとしたが、ねじれ国会が原因で延長が成立せず、2007年(平成19年)11月1日、期限切れで失効となりました。
3.法律が発効するためには、公布がされていることと施行期日が到来していることとの双方が要件となる。
3・・・妥当
「法律が発効する」とは、法律の効力が生じる、という意味ですが、
まず、法律が国会で成立すると、法律が成立したことを国民の皆さんに知らせます(=公布)。原則として、公布の日から起算して20日を経過した日から、法律の効力が生じます(=施行する)(通則法2条本文)。つまり、「公布と施行」の両方がなければ、法律は発効しません(有効にならない)。よって、本肢は正しいです。
4.国法は全国一律の規制を行うものであり、地域の特性に鑑み特別の地域に限って規制を行ったり、規制の特例措置をとったりすることは許されない。
4・・・妥当ではない
法律は全国一律の規制を行うのが原則です。しかし、例外もあります。地域の特性に鑑みて特別の地域に限って適用される特別法もあります憲法95条)。
例えば、広島市に限った法律である「広島平和記念都市建設法」です。
5.日本国憲法は遡及処罰の禁止を定めており、法律の廃止に当たって廃止前の違法行為に対し罰則の適用を継続する旨の規定をおくことは許されない。
5・・・妥当ではない
何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われません(憲法39条:遡及処罰の禁止)。つまり、新法律の成立前の違法行為に対して、新法律の罰則を適用することは許されません。これに対し、法律の廃止にあたって、廃止前の違法行為に対し、罰則規定の適用を継続する旨の規定は許されます
よって、「法律の廃止に当たって廃止前の違法行為に対し罰則の適用を継続する旨の規定をおくことは許されない」は妥当ではありません。具体的には「罰則の適用については、なお従前の例による」等といった形で規定されています。この場合、〇〇法で2年間の懲役を受け、その後、〇〇法が廃止となったとしても、その効力は失効せず、2年間の懲役刑は続くということです。関連ポイントは個別指導で解説いたします!

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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