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令和7年・2025|問34|民法

不当利得に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 盗品である動産甲を、盗品とは知らずに、甲と同種の物の販売業者から購入して引渡しを受けた買主が、所有者に甲を返還すべき場合、その買主は、所有者に対して、返還するまでの間における甲の使用利益相当額を支払わなければならない。
  2. 他人物である動産乙の売買契約に基づいてその引渡しを受けた買主が、その後乙を所有者に返還して売買契約を解除した場合、その買主は売主に対して、返還するまでの間における乙の使用利益相当額を支払う義務を負わない。
  3. 違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。
  4. 不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登話手続が未了であった場合、その贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求めることができる。
  5. Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約において、AがBに対して有する貸金債権につき、BがCから騙取した金銭をもって弁済を行った場合、Cは、弁済として受領した金銭が騙取金である旨をAが知っていたか否かを問わず、Aに対してその返還を求めることができる。

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【答え】:4
【解説】
1.盗品である動産甲を、盗品とは知らずに、甲と同種の物の販売業者から購入して引渡しを受けた買主が、所有者に甲を返還すべき場合、その買主は、所有者に対して、返還するまでの間における甲の使用利益相当額を支払わなければならない。

1.妥当でない

盗品を盗品と知らずに同種物の販売業者から購入した買主は善意占有者にあたります。善意占有者は、占有物から生じる果実(使用利益を含む)を取得する権利があり(民法189条1項)、所有者に対して使用利益相当額を支払う義務を負いません。「返還するまでの間の使用利益相当額を支払わなければならない」という記述が誤りです。

※「善意占有者」とは、自分に占有権限があると信じて占有している者のことです。善意占有者は果実を取得できますが、損傷・滅失した場合の賠償責任は現存利益の限度にとどまります(民法191条)。

2.他人物である動産乙の売買契約に基づいてその引渡しを受けた買主が、その後乙を所有者に返還して売買契約を解除した場合、その買主は売主に対して、返還するまでの間における乙の使用利益相当額を支払う義務を負わない。

2.妥当でない

売買契約が解除された場合、買主は原状回復義務として目的物を返還しますが、その間に目的物を使用していた場合は使用利益相当額も返還しなければなりません(民法545条1項・3項)。「使用利益相当額を支払う義務を負わない」という記述が誤りです。契約解除による原状回復は、物の返還だけでなく使用利益の返還も含む点を押さえておきましょう。

※「他人物売買」とは、売主が所有していない他人の財産を目的物として締結した売買契約です。有効な契約として成立しますが、売主は所有権を取得して買主に移転する義務を負います(民法561条)。

3.違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。

3.妥当でない

違法な賭博は公序良俗に反し無効ですが(民法90条)、賭金を支払った者は不法原因給付(民法708条)にあたるため、その返還を請求することができません。民法708条は「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」と定めており、「いつでも返還を求めることができる」という記述は誤りです。不法に関与した者を法が保護しないという趣旨です。

※「不法原因給付」とは、公序良俗違反など不法な原因のために行った給付のことです。民法708条により、給付者は返還請求できませんが、ただし書により不法原因が相手方のみにある場合は返還請求できます。

4.不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登話手続が未了であった場合、その贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求めることができる。

4.妥当である

不倫関係の維持を目的とした贈与は公序良俗に反し無効ですが(民法90条)、所有権移転登記が未了の場合は、不法原因給付(民法708条)として給付が完成したとはいえません。不動産の場合、引渡しがあっても登記が完了していない段階では給付が完結していないと解されるため、贈与者Aは民法708条による返還請求の制限を受けず、契約無効を理由として丙建物の返還を求めることができます。引渡し済みでも登記未了という点が妥当であるとなる決め手です。

※「不法原因給付と不動産」:不動産では、引渡しに加えて所有権移転登記が完了してはじめて給付が完成したと解される場合があります。登記未了の段階では完全な給付とはいえず、民法708条の適用が制限されることがあります。

5.Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約において、AがBに対して有する貸金債権につき、BがCから騙取した金銭をもって弁済を行った場合、Cは、弁済として受領した金銭が騙取金である旨をAが知っていたか否かを問わず、Aに対してその返還を求めることができる。

5.妥当でない

騙取金による弁済があった場合、被害者Cが弁済受領者Aに返還を求めることができるかは、Aの善意・悪意によって異なります。Aが悪意または重過失であった場合にはCからAへの不当利得返還請求が認められますが、Aが善意・無重過失であった場合は認められません。「Aが知っていたか否かを問わず」という記述が誤りです。善意のAまで保護しないとすると取引の安全が害されるためです。

※「騙取金による弁済」とは、第三者から詐取した金銭を自己の債務弁済に充てることをいいます。判例は、債権者が悪意または重過失のある場合に限り、被害者からの不当利得返還請求を認めています。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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