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令和7年・2025|問30|民法

Aは、Bとの間でA所有の建設機械甲(以下「甲」という)をBに売却する旨の本件売買契約を締結し、甲をBに引き渡したが、弁済期が徒過したにもかかわらずBから代金の支払を受けていない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. AはBに対して、催告した上で代金不払を理由として本件売買契約を解除する旨の通知を行った場合、その後Bは甲をCに売却して引き渡したとしても、Aは、Cに対して甲の返還を求めることができる。
  2. DがBから甲の修理を請け負い、修理を終えて甲をBに返還したが報酬の支払を受けていない場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Dに先立って優先弁済を受けることができる。
  3. BがEのために甲に質権を設定した場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Eに先立って優先弁済を受けることができる。
  4. BがFのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡した場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使することができ、Fはこれに対して異議を述べることはできない。
  5. 本件売買契約において所有権留保特約が設けられていた場合、BがGのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡したとしても、Aは、Bに対して留保所有権に基づいて甲の引渡しを求めることができ、Gはこれに対して異議を述べることはできない。

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【答え】:5
【解説】
1.AはBに対して、催告した上で代金不払を理由として本件売買契約を解除する旨の通知を行った場合、その後Bは甲をCに売却して引き渡したとしても、Aは、Cに対して甲の返還を求めることができる。

1.妥当でない

売買契約が解除されてAに所有権が復帰した場合でも、動産の物権変動は引渡しがなければ第三者に対抗できません(民法178条)。BはすでにCに甲を引き渡しており、AはCから甲の返還を求めることができません。解除による所有権の復帰は当事者間では有効ですが、引渡しを受けて占有しているCに対してはAの所有権を対抗できない点が重要です。

2.DがBから甲の修理を請け負い、修理を終えて甲をBに返還したが報酬の支払を受けていない場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Dに先立って優先弁済を受けることができる。

2.妥当でない

動産の先取特権が競合する場合の優先順位は、第1順位が「保存の先取特権」、第2順位が「動産売買の先取特権」となっています(民法330条1項)。Dが修理(保存・維持)によって取得した先取特権は第1順位、Aの動産売買先取特権は第2順位であるため、DがAに先立って優先弁済を受けます。「Aがに先立って優先弁済を受けることができる」という記述は順位が逆です。

※「動産の保存先取特権」とは、他人の動産の保存・修理に要した費用について認められる先取特権です(民法320条)。財産価値を維持した者を保護するため第1順位に置かれています。

3.BがEのために甲に質権を設定した場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Eに先立って優先弁済を受けることができる。

3.妥当でない

動産の先取特権と動産質権が競合する場合、質権者は第1順位の先取特権者と同一の権利を有します(民法334条)。AのBに対する動産売買先取特権は第2順位であるため、第1順位と同等の地位を持つEの質権に対してAは優先しません。「Eに先立って優先弁済を受けることができる」という記述は誤りです。

※「動産質権」とは、動産を債権の担保として債権者に引き渡す担保権です(民法344条)。質権は占有を移転することが成立要件であり、占有継続が対抗要件となります。

4.BがFのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡した場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使することができ、Fはこれに対して異議を述べることはできない。

4.妥当でない

動産の先取特権は、債務者がその目的動産を第三取得者に引き渡した後は行使できません(民法333条)。占有改定は民法上の引渡し方法の一つ(民法183条)であり、BがFのために甲を譲渡担保に供して占有改定による引渡しをした場合、この占有改定が民法333条の「引渡し」に該当し、Aの先取特権は消滅します(最判昭和62年11月10日)。よってAは先取特権を行使することができません。

※「占有改定」とは、譲渡人がそのまま目的物を占有し続けることを合意することで、観念上の引渡しを行う方法です(民法183条)。物理的に物を移動させずに引渡しの効果を生じさせます。
※「譲渡担保」とは、担保の目的で財産権を債権者に移転し、被担保債権が弁済されたときに返還する担保方法です。民法上の明文規定はありませんが判例・実務上広く認められています。

5.本件売買契約において所有権留保特約が設けられていた場合、BがGのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡したとしても、Aは、Bに対して留保所有権に基づいて甲の引渡しを求めることができ、Gはこれに対して異議を述べることはできない。

5.妥当である

所有権留保特約がある場合、代金完済まで甲の所有権はAに留保されます。Bが甲を譲渡担保に供して占有改定による引渡しをしても、Aは所有権者として甲の引渡しをBに対して求めることができます(最判昭和49年7月18日)。Gは占有改定という不完全な引渡ししか受けていないため、AのGに対する留保所有権の主張を排除できません。肢4との違いは、先取特権(担保権)ではなく所有権そのものを留保している点にあります。

※「所有権留保」とは、売買代金が完済されるまで目的物の所有権を売主に留保する特約です。割賦販売などで広く利用され、代金未払いの場合に売主が所有権に基づいて目的物を取り戻せる手段となります。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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