令和8年度版、行政書士試験対策の個別指導はこちら
個別指導の値上げまで あと

令和7年・2025|問25|行政法

建築に関わる紛争に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 東京都建築安全条例に基づく安全認定を先行処分とする建築確認の取消訴訟において、当該安全認定について裁判所が審査できるのは、重大かつ明白な瑕疵があり無効か否かに限定される。
  2. 建築主事は、建築確認の申請書を受理してから一定期間内に申請者に確認済証を交付しなければならないところ、この期間経過後も交付をしないことが適法とされるのは、当該申請者がそれにつき任意に同意をしているものと明確に認められる場合に限られる。
  3. 建築確認は、建築工事の開始前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合することを公権的に判断する行為にすぎないため、建築確認に対する取消訴訟の係属中に、当該建築確認に係る建築工事が完了した場合、当該取消訴訟の訴えの利益は消滅する。
  4. 民間の指定確認検査機関が行った建築確認につき、その取消訴訟を提起した原告が、この訴えを、損害賠償を求める訴えに変更することの許可を申し立てる場合、変更後の訴えの被告は、当該指定確認検査機関である民間法人となる。
  5. 一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画について、これを看過した建築主事による建築確認が国家賠償法の適用上違法となる余地はなく、当該建築確認の申請者である建築主による国家賠償請求は認められない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】
1.東京都建築安全条例に基づく安全認定を先行処分とする建築確認の取消訴訟において、当該安全認定について裁判所が審査できるのは、重大かつ明白な瑕疵があり無効か否かに限定される。

1.妥当でない

先行処分である安全認定に違法がある場合、建築確認取消訴訟においてその違法を主張できるかという「違法性の承継」の問題です。判例(最判平成21年12月17日)は、安全認定と建築確認は同一目的を達成するための一連の手続であるとして、安全認定の違法性を建築確認取消訴訟において主張できるとしました。審査は「重大かつ明白な瑕疵による無効」に限定されるわけではなく、通常の取消事由としての違法性も含めて判断されます。

※「違法性の承継」とは、先行処分の違法を後行処分の取消訴訟で主張できるかという問題です。原則として承継されませんが、両処分が一連一体の関係にある場合は例外的に承継が認められます。

2.建築主事は、建築確認の申請書を受理してから一定期間内に申請者に確認済証を交付しなければならないところ、この期間経過後も交付をしないことが適法とされるのは、当該申請者がそれにつき任意に同意をしているものと明確に認められる場合に限られる。

2.妥当でない

建築基準法は建築主事に対して一定期間内に確認済証を交付する義務を課していますが、期間経過後も交付しないことが適法となる例外は「申請者が明確に同意した場合に限られる」わけではありません。判例は申請者の同意がある場合のほか、申請書の補正など手続上の合理的な理由がある場合なども考慮するとしており、「明確な同意に限定」という記述は例外を過度に狭く捉えています。

3.建築確認は、建築工事の開始前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合することを公権的に判断する行為にすぎないため、建築確認に対する取消訴訟の係属中に、当該建築確認に係る建築工事が完了した場合、当該取消訴訟の訴えの利益は消滅する。

3.妥当である

建築確認は建築工事開始前に計画の法適合性を判断する工事着手の前提条件となる処分にすぎません。そのため、建築確認の取消訴訟係属中に建築工事が完了してしまうと、建築確認を取り消してもそれ以上工事を阻止する実益がなくなるため、訴えの利益は消滅します(最判昭和59年10月26日)。工事完了前に仮の差止め等を求めることが重要となる場面です。

※「訴えの利益」とは、取消訴訟において処分を取り消すことで回復すべき法律上の利益のことです。訴えの利益が失われると、本案審理を行う実益がないため却下されます。

4.民間の指定確認検査機関が行った建築確認につき、その取消訴訟を提起した原告が、この訴えを、損害賠償を求める訴えに変更することの許可を申し立てる場合、変更後の訴えの被告は、当該指定確認検査機関である民間法人となる。

4.妥当でない

指定確認検査機関は民間法人ですが、建築確認という公権力の行使を行う機関として位置づけられています。取消訴訟から損害賠償請求訴訟への変更の場面では、国家賠償責任を負うのは指定確認検査機関を指定・監督する国または地方公共団体であり、民間法人である指定確認検査機関自体が被告となるわけではありません(国家賠償法1条)。「変更後の被告が民間法人たる指定確認検査機関」という記述が誤りです。

※「指定確認検査機関」とは、建築基準法に基づき国土交通大臣または都道府県知事が指定した民間機関で、建築確認・完了検査等の業務を行います(建築基準法77条の18)。

5.一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画について、これを看過した建築主事による建築確認が国家賠償法の適用上違法となる余地はなく、当該建築確認の申請者である建築主による国家賠償請求は認められない。

5.妥当でない

一級建築士による構造計算書の偽装があったとしても、建築主事がその偽装を見抜けなかったことに過失があれば、国家賠償法上の違法となる余地があります。建築主事には建築確認の審査義務があり、高度な偽装であっても審査の過程でどの程度の注意義務が求められるかは個別の事情に応じて判断されます。「違法となる余地はない」という絶対的な否定は誤りであり、国家賠償請求が認められる可能性は排除されません

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

【勉強の仕方等、お気軽にご相談ください!】
  • メールアドレス
  • お名前(姓・名)
  • 姓と名はスペースで区切ってください
  • 郵便番号
  • 例:123-4567
  • 住所(都道府県)
  • 住所(市町村以下)
  • ご相談はこちら

  
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。