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令和7年・2025|問22|行政法

条例の適法性に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. ため池の破損等の原因となる堤とうの使用行為は憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあることから、これを条例をもって禁止し、処罰の対象にしても憲法および法律に抵触するものとはいえない。
  2. 地方自治法の定める相当に具体的な内容の事項につき、同法に基づき限定された刑罰の範囲内において、条例をもって罰則を定めることは憲法31条に反するとはいえない。
  3. 暴走族による集会等を規制する暴走族追放条例は、その規制対象が本来的な意味における暴走族およびその類似集団による集会に限定されると解されることから、憲法21条1項、31条に反するとはいえない。
  4. 国民健康保険の保険料率を定める国民健康保険条例が、市長に対して、条例の定める基準に基づき保険料率を決定・公示することを委任したとしても、そのことが憲法84条の趣旨に違反するとはいえない。
  5. 集団行進および集団示威行為における交通秩序の維持を目的とする条例は、道路交通法と同一の行為を処罰することになるため、憲法31条に違反する。

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【答え】:5
【解説】
1.ため池の破損等の原因となる堤とうの使用行為は憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあることから、これを条例をもって禁止し、処罰の対象にしても憲法および法律に抵触するものとはいえない。

1.妥当である

ため池の堤とうを使用してため池を破損等させる行為は、そもそも憲法・民法が保障する財産権の行使の範囲外にあるとされています(最大判昭和38年6月26日)。ため池の安全を守ることは地域住民の生命・財産を守るためのものであり、そのような危険行為を条例で禁止・処罰しても財産権の侵害にはあたらず、憲法および法律に抵触しません。条例による財産権規制の合憲性を認めた重要判例です。

2.地方自治法の定める相当に具体的な内容の事項につき、同法に基づき限定された刑罰の範囲内において、条例をもって罰則を定めることは憲法31条に反するとはいえない。

2.妥当である

法律による罰則のみが許されるという厳格な解釈を採れば条例罰則は違憲となりますが、最高裁(最大判昭和37年5月30日)は、地方自治法の定める相当に具体的な事項について、同法が限定した刑罰の範囲内で条例が罰則を定めることは憲法31条に違反しないと判示しました。民主的に選出された議会で制定される条例も、法律に準じた民主的正統性を持つとされています。

※「憲法31条」は罪刑法定主義の根拠規定とされ、刑罰を科すには法律の定める手続によることを要求しています。条例罰則はその委任関係の明確性が問われます。

3.暴走族による集会等を規制する暴走族追放条例は、その規制対象が本来的な意味における暴走族およびその類似集団による集会に限定されると解されることから、憲法21条1項、31条に反するとはいえない。

3.妥当である

暴走族追放条例の文言は広く解釈すると集会の自由(憲法21条1項)や罪刑法定主義(憲法31条)に抵触する可能性がありますが、最高裁(最判平成19年9月18日)は、条例の規制対象を本来的な意味における暴走族およびその類似集団に限定して解釈すれば、憲法21条1項・31条に違反しないと判示しました。限定解釈によって合憲性を維持した事例として重要な判例です。

4.国民健康保険の保険料率を定める国民健康保険条例が、市長に対して、条例の定める基準に基づき保険料率を決定・公示することを委任したとしても、そのことが憲法84条の趣旨に違反するとはいえない。

4.妥当である

国民健康保険料は税ではありませんが、強制徴収される公的負担として租税類似の性格を持ちます。最高裁(最判平成18年3月1日)は、国民健康保険条例が市長に条例の基準に基づいた保険料率の決定・公示を委任しても、憲法84条の趣旨に違反しないと判示しました。条例に基準が定められた上での委任であれば、租税法律主義(憲法84条)の趣旨を満たすとされています。

※「憲法84条」(租税法律主義)は、新たな課税や租税の変更には法律または法律の定める条件が必要とする原則です。保険料など税以外の公的負担にも類推適用されることがあります。

5.集団行進および集団示威行為における交通秩序の維持を目的とする条例は、道路交通法と同一の行為を処罰することになるため、憲法31条に違反する。

5.妥当でない

集団行進等を規制する条例が道路交通法と同一行為を対象とする場合でも、両者の目的・規制の趣旨が異なる場合には条例が国法と矛盾抵触するとはいえず、憲法31条違反にもなりません(最大判昭和29年11月24日)。道路交通法が道路交通秩序全般を目的とするのに対し、集団行進取締条例は集団デモ等の特有の秩序維持を目的としており、目的・規制内容が異なるため両立が認められます。「道路交通法と同一行為を処罰するだけで違憲」という断定が誤りです。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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