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令和7年・2025|問17|行政事件訴訟法

抗告訴訟の対象に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 関税定率法(当時)の規定に基づく輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある旨の税関長による通知は、いわゆる観念の通知と見るべきものであるが、当該通知があった場合には、輸入申告者は貨物を適法に輸入する道を閉ざされるのであって、これは当該通知によって生ずるに至った法律上の効果と見るのが相当であり、当該通知は行政処分にあたる。
  2. 交通反則金の納付の通告は、通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務を生じさせるものであるから、行政処分にあたる。
  3. 地方公共団体の水道事業において、水道料金を条例の適用範囲全域につき一律に値上げすることを内容とする水道給水条例が制定された場合、水道の利用者はかかる条例の施行によって値上げされた水道料金の支払義務を負うこととなるため、当該条例の制定行為は行政処分にあたる。
  4. 登録免許税を過大に納付して登記を受けた者が、登記機関に対して税務署長への還付通知を行うように登録免許税法に基づいて請求した場合、当該通知を拒否する旨の登記機関による通知は、登記等を受けた者の手続上の地位を否定する法的効果を有さないため、行政処分にあたらない。
  5. 都市計画法に基づく都市計画決定としてなされる工業地域指定は、これによって当該地域内において、建築物の建築を制限する法的効果が土地所有者等に対して生じることとなるため、具体的な権利侵害を伴うものであるから、行政処分にあたる。

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【答え】:1
【解説】
1.関税定率法(当時)の規定に基づく輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある旨の税関長による通知は、いわゆる観念の通知と見るべきものであるが、当該通知があった場合には、輸入申告者は貨物を適法に輸入する道を閉ざされるのであって、これは当該通知によって生ずるに至った法律上の効果と見るのが相当であり、当該通知は行政処分にあたる。

1.妥当である

税関長による「輸入禁制品に該当する相当の理由がある旨の通知」は、通知があると輸入申告者が適法に輸入できなくなるという法律上の効果を直接発生させます。判例は、このような通知は単なる観念の通知にとどまらず、法律上の効果をもたらすものとして行政処分にあたると判示しています。通知の性質を形式ではなく法的効果の有無で判断するという処分性判断の基本的考え方が示された事例です。

2.交通反則金の納付の通告は、通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務を生じさせるものであるから、行政処分にあたる。

2.妥当でない

交通反則金の納付通告は行政処分にあたりません(最判昭和57年7月15日)。通告を受けた者は、反則金を納付するか、納付しないで刑事手続に委ねるかを選択できる立場にあります。反則金の納付は任意であり、通告によって法律上の義務が確定的に生じるわけではないため、処分性が否定されます。「支払義務を生じさせるから処分にあたる」という論理が誤りです。

※「処分性」とは、抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に該当するかどうかの問題です。

3.地方公共団体の水道事業において、水道料金を条例の適用範囲全域につき一律に値上げすることを内容とする水道給水条例が制定された場合、水道の利用者はかかる条例の施行によって値上げされた水道料金の支払義務を負うこととなるため、当該条例の制定行為は行政処分にあたる。

3.妥当でない

水道料金を一律に値上げする条例の制定行為は、特定の個人に向けた処分ではなく一般的・抽象的なルールの制定であり、処分性が否定されます(最判平成18年7月14日)。条例制定は「行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視できない」とされ、抗告訴訟の対象となる行政処分にはあたりません。支払義務が発生しても、その根拠が法規の制定である場合は処分性が認められない点を押さえましょう。

4.登録免許税を過大に納付して登記を受けた者が、登記機関に対して税務署長への還付通知を行うように登録免許税法に基づいて請求した場合、当該通知を拒否する旨の登記機関による通知は、登記等を受けた者の手続上の地位を否定する法的効果を有さないため、行政処分にあたらない。

4.妥当でない

登録免許税の過大納付者が還付通知を求めたにもかかわらず、登記機関がこれを拒否した場合、判例(最判平成17年4月14日)は当該拒否通知は抗告訴訟の対象となる行政処分にあたると判示しています。拒否通知は申請者が法的手続を通じて還付を受けるための手続上の地位を否定する法的効果を有するため、処分性が肯定されます。「法的効果を有さないため処分にあたらない」という記述が誤りです。

5.都市計画法に基づく都市計画決定としてなされる工業地域指定は、これによって当該地域内において、建築物の建築を制限する法的効果が土地所有者等に対して生じることとなるため、具体的な権利侵害を伴うものであるから、行政処分にあたる。

5.妥当でない

都市計画における用途地域の指定は、土地の利用制限という法的効果を生じさせますが、特定の個人に向けた具体的な法律関係の変動ではなく、地域一般に対する抽象的・一般的な規制であるため、処分性が否定されます。判例は用途地域指定を抗告訴訟の対象となる行政処分にはあたらないとしています。具体的な権利侵害があっても、その発生原因が一般的規制の設定である場合は処分性が認められない点が重要です。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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