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令和7年・2025|問12|個人情報保護法

個人情報保護法* によれば、個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が同法の定める一定の規定に違反した場合において個人の権利利益を保護するため必要があると認めるときは、当該事業者に対し、必要な措置をとるべき旨を勧告することができ(個人情報保護法148条1項)、そして、当該事業者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるときは、当該事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずること(以下「命令」という)ができる(個人情報保護法148条2項)。 上記の勧告と命令に関する次のア~エの記述のうち、行政手続法の定めに照らし、妥当なものの組合せはどれか。なお、上記勧告は処分(行政手続法2条2号)ではなく行政指導であり(行政手続法2条6号)、命令は処分であることを前提にする。 (注)* 個人情報の保護に関する法律

ア.勧告は、命令を行う前に執られる弁明の機会の付与のための通知に該当する。

イ.勧告に携わる者は、その相手方に対し、勧告の趣旨および内容並びに責任者を明確に示さなければならない。

ウ.勧告を受けた者は、これに続く命令が個人情報保護法に規定する要件に適合しないと思料する場合、個人情報保護委員会に対し、行政手続法の定めに従って、当該命令をしないよう求めることができる。

エ.個人情報保護委員会は、命令をする場合、その名宛人に対し、原則として、同時にその理由を示さなければならない。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:4

【解説】
ア.勧告は、命令を行う前に執られる弁明の機会の付与のための通知に該当する。

ア.妥当でない

弁明の機会の付与のための通知は、行政手続法30条が定めるもので、行政庁が不利益処分をしようとする場合に、その名あて人となるべき者に対して行われるものです。

本問の勧告は行政指導(行政手続法2条6号)であり、弁明の機会の付与のための「通知」ではありません。行政指導は相手方の任意の協力を前提とするものであり、不利益処分の前置手続である弁明通知とは法的性質が全く異なります。

勧告(行政指導)を受けた者がそれに従わなくても、直ちに不利益を受けることはなく、命令(処分)は勧告とは別個の行為として行われます。

※「弁明の機会の付与」とは、不利益処分をしようとする場合に、相手方に口頭または書面で意見を述べる機会を与える手続のことです(行政手続法29条・30条)。聴聞よりも簡易な手続として位置づけられています。

イ.勧告に携わる者は、その相手方に対し、勧告の趣旨および内容並びに責任者を明確に示さなければならない。

イ.妥当である

行政手続法35条1項は、「行政指導に携わる者は、その相手方に対し、当該行政指導の趣旨および内容並びに責任者を明確に示さなければならない」と定めています。

本問において勧告は行政指導と前提されていることから、この規定が直接適用されます。行政指導の相手方が不当な不利益を被らないよう、何のために・何を求める指導なのか・誰が責任者なのかを明示することが義務づけられています。本肢の記述は35条1項と合致しており、妥当です。

ウ.勧告を受けた者は、これに続く命令が個人情報保護法に規定する要件に適合しないと思料する場合、個人情報保護委員会に対し、行政手続法の定めに従って、当該命令をしないよう求めることができる。

ウ.妥当でない

行政指導の相手方が求めることができるのは、行政指導の「中止その他必要な措置をとること」です(行政手続法36条の2第1項)。すなわち、現在受けている行政指導(勧告)自体をやめるよう求めることはできますが、処分(命令)をしないよう求める制度は行政手続法に規定されていません

36条の2は行政指導の相手方保護のための規定であり、将来の処分の差止めを求める手続ではありません。処分の差止めを求める場合は行政事件訴訟法上の差止訴訟(37条の4)によることになります。

※「行政手続法36条の2」の申出ができるのは、「法令に違反する行為の是正を求める行政指導」の相手方に限られ、かつ当該行政指導が法律の要件に適合しないと思料する場合に限られます。

エ.個人情報保護委員会は、命令をする場合、その名宛人に対し、原則として、同時にその理由を示さなければならない。

エ.妥当である

命令は処分であるとの前提から、それが不利益処分(行政手続法2条4号)に該当するか検討します。命令は「勧告に係る措置をとるべきことを命ずる」ものであり、相手方に義務を課す処分として不利益処分にあたります。

行政手続法14条1項は、「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない」と定めています。

ただし、同項ただし書きにより、理由を同時に示すことができない相当の理由があるときは、処分後「相当の期間内に示す」ことも認められています。したがって、原則として同時に理由を示す義務があるという本肢の記述は妥当です。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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