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令和7年・2025|問10|行政法

行政行為の附款に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 行政庁は、行政行為に附款を付すことができる旨の法令の根拠が存在しない場合でも、裁量の範囲内で行政行為に附款を付すことができる。
  2. 行政庁は、行政行為について撤回権を留保する附款を付すことができるが、このような附款を付さなかった場合には、法令に根拠のない限り、行政行為を撤回することはできない。
  3. 行政行為の附款は行政庁の意思表示の一部を形成するものであるから、道路占用許可に付された使用料の納付などの負担を課す附款に違反した場合、当該占用許可は許可の時点に遡って無効となる。
  4. 道路の占用許可について、開始と終了の具体的な日付を示す附款は、講学上の「条件」に該当する。
  5. 行政行為の附款において、行政庁が負担として課すことができるのは作為義務に限られ、不作為義務を課すことはできない。

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【答え】:1
【解説】
1.行政庁は、行政行為に附款を付すことができる旨の法令の根拠が存在しない場合でも、裁量の範囲内で行政行為に附款を付すことができる。

1.妥当である

行政行為に附款を付すには、原則として法令上の根拠が必要です。しかし、当該行政行為が行政庁の自由裁量(裁量行為)に委ねられている場合には、法令の明示的な根拠がなくても、裁量の範囲内で附款を付すことができます

これは、裁量行為については行政庁が附款なしに拒否することも可能であることから、附款付きで許可等をする自由も当然に認められるという考え方に基づきます。ただし、裁量の逸脱・濫用は許されず、附款の内容は行政行為の目的に沿った合理的なものでなければなりません。

※「附款」とは、行政行為の効果を制限し、または特別の義務を課すために主たる意思表示に付加される従たる意思表示のことです。

2.行政庁は、行政行為について撤回権を留保する附款を付すことができるが、このような附款を付さなかった場合には、法令に根拠のない限り、行政行為を撤回することはできない。

2.妥当でない

行政行為に撤回権の留保の附款が付されていた場合、行政庁は留保した条件が生じたときに撤回をすることができます。

しかし、撤回権の留保がなかった場合でも、行政行為の撤回が一切できなくなるわけではありません。事後的に行政行為の要件事実が充足されなくなった場合や、公益上の必要性が生じた場合など、撤回を正当化する事由があれば附款がなくても撤回が認められます

撤回権の留保は撤回をより容易にするための附款ですが、その不存在が撤回を禁止するものではありません。

※「撤回」とは、瑕疵のない適法な行政行為について、その後の事情変更を理由に将来に向かって効力を消滅させることをいいます。遡及効を持つ「取消し」とは区別されます。

3.行政行為の附款は行政庁の意思表示の一部を形成するものであるから、道路占用許可に付された使用料の納付などの負担を課す附款に違反した場合、当該占用許可は許可の時点に遡って無効となる。

3.妥当でない

附款の一種である「負担」とは、主たる行政行為に付随して相手方に作為・不作為等の特別の義務を課す意思表示をいいます(例:道路占用許可における使用料納付義務)。

負担は、主たる行政行為(占用許可)の効果を直接制限するものではないため、相手方が負担に違反しても、許可の効力が当然に失われることはなく、遡及して無効となるわけでもありません

負担違反があった場合、行政庁は行政上の強制執行や許可の撤回といった別途の対応を取ることになります。この点が、条件(条件の成就で当然に効果が消滅する)と大きく異なります。

4.道路の占用許可について、開始と終了の具体的な日付を示す附款は、講学上の「条件」に該当する。

4.妥当でない

開始と終了の具体的な日付を示す附款は、講学上「期限」に該当します。「条件」ではありません。

条件は、将来の不確実な事実の成否に行政行為の効果の発生・消滅をかからせるものです。これに対し、期限将来確実に到来する日時に行政行為の効果の発生・消滅を結びつけるものです。

附款の種類 内容 具体例
条件 不確実な事実の成否に効果を依存 「〇〇が完成したとき許可する(停止条件)」
期限 確実に到来する日時に効果を依存 「〇月〇日から〇月〇日まで占用を許可する」
負担 特別の義務を課す 「使用料〇万円を納付すること」
撤回権の留保 一定の場合に撤回できる旨を留保 「公益上必要が生じた場合は許可を撤回できる」
5.行政行為の附款において、行政庁が負担として課すことができるのは作為義務に限られ、不作為義務を課すことはできない。

5.妥当でない

附款における「負担」は、行政行為の相手方に対して作為義務のみならず不作為義務を課すことも含まれます

不作為義務の例としては、営業許可を付与する際に「一定地区内では営業を行わないこと」を条件として課すケースが挙げられます。負担として課し得る義務の種類に「作為」と「不作為」の区別はなく、どちらも附款として認められます。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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