企業が発展していくために、新たに資金を必要とする場合があります。そのような場合、募集株式を発行したり、社債を発行したりします。
募集株式の発行の方法
募集株式を発行する場合、新たに株式引受人を募集し、その払込金により資金を調達します。この場合、株式引受人に割り当てる株式について、①新たに株式を発行する場合と②自己株式を処分する(売却する)場合の2つがあります。
そして、募集株式の発行については、「公開会社と非公開会社」、「株主割当てと第三者割当」で手続きが異なります。
この手続きが行政書士の試験で出題されるのでしっかり頭に入れましょう!
第三者割当の手続き
第三者割当とは、既存株主または既存株主でない人を募集して、その人に株式を割当てるものです。
公開会社の場合
公開会社が、第三者割当により募集株式の発行を行う場合、募集事項の決定を原則として取締役会で決議して行います(199条2項)。
ただし、募集株式の払込金額が特に有利な金額である場合(例えば、安い価格で株式を割当てる場合)は、既存株主は文句をいうでしょう。そのため、株主総会の特別決議が必要です。
非公開会社の場合
非公開会社では、株主総会の特別決議が必要です(199条2項、309条2項5号)。
非公開会社の株主は、通常、会社の経営権を持つ方が多いです。そのため、第三者割当をして、新たに株主を募集する場合、経営権を揺るがすことにもなりかねないため、株主総会の特別決議を必要としています。
ただし、株主総会の特別決議により、取締役(取締役会設置会社の場合は取締役会)に委任することはできます(200条1項)。
株主割当ての手続き
株主割当てとは、既存の株主に対して、その持株数に応じて募集株式を割当てる権利を与えることを言います。
例えば、株主Aが1万株、株主Bが5000株を持っていたとします。そして、1株あたり、0.5株を与える場合、株主Aは5000株、株主Bは2500株の割当を受けることになります。
この場合、株主Aと株主Bの持株比率は変わらないため、株主として権力に変化はありません。
公開会社の場合
公開会社では、募集事項の決定を取締役会の決議で行います(202条3項3号)。
非公開会社の場合
非公開会社の場合、原則、株主総会の特別決議により行います(202条3項4号、309条2項5号)。
ただし、定款の定めにより、「取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会の決議)による」旨の記載があれば、その定めに従います。
株主割当と第三者割当の対比表
上記内容をまとめると下記の通りです。
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