商法第569条(運送人)
運送人とは陸上又は湖川、港湾において物品又は旅客の運送をなすを業とする者をいう。
運送人とは、物品運送と旅客運送に分かれます。
物品運送は、ヤマトや佐川急便など
旅客運送は、JRや私鉄、バス会社等をイメージすると分かりやすいです。
運送状と貨物引換証
商法第570条
荷送人は運送人の請求により運送状を交付することを要す
2 運送状には下記事項を記載し、荷送人はこれに署名することを要す
一 運送品ノ種類、重量又ハ容積及ヒ其荷造ノ種類、個数並ニ記号
二 到達地
三 荷受人の氏名又は商号
四 運送状の作成地及の作成の年月日
570条を分かりやすくいうと、
荷送人とは「荷物の発送を依頼する人(発送元)」です。
荷送人は、運送人(ヤマト等)から請求されて、上記2項の運送状(宛先などを記載したもの)を、運送人に交付しなければなりません。
これがないと、どこの誰に運んでいいか分からないです。
商法第571条
運送人は荷送人に、請求により貨物引換証を交付することを要す
2 貨物引換証には下記事項を記載し運送人はこれに署名することを要す
一 前条第2項第1号~第3号の事項
二 荷送人の氏名又は商号
三 運送賃
四 貨物引換証の作成地及び作成の年月日
571条を分かり言えば、運送人は、荷送人から荷物を預かった時に、荷送人から請求があれば「貨物引換証」を交付しなければなりません。
運送賃請求権
商法第576条(運送品滅失と運送賃)
運送品の全部又は一部が不可抗力に因りて滅失したるときは、運送人は、其運送賃を請求することを得ず。若し運送人が既に其運送賃の全部又は一部を受取りたるときは之を返還することを要す。
2 運送品の全部又は一部が其性質、若くは瑕疵又は荷送人の過失に因りて滅失したるときは、運送人は運送賃の全額を請求することを得。
576条を分かりやすく言えば、荷物が不可抗力(例えば、津波等)によって無くなった場合、運送人は運送賃を、荷送人(依頼者)に請求できない、ということです。
また、事前に運送人が運送賃を受領している場合は、荷送人に返還しないといけません。
2項を分かりやすく言えば、例えば、液体の運送品で口が閉まっていなくてすべて漏れてしまった場合、荷送人の過失(落ち度)によって運送品がなくなっているので、荷送人が悪いです。そのため、運送人は運送賃の全額を請求できます。
運送人の損害賠償責任
商法第577条
運送人は、自己若くは運送取扱人又は其使用人其他運送の為め使用したる者が運送品の受取、引渡、保管及び運送に関し注意を怠らざりしことを証明するに非ざれば、運送品の滅失、毀損又は延著に付き損害賠償の責を免るることを得ず。
577条を分かりやすく言えば、運送品が無くなったり、壊れたりしたときには、運送人が、運送品を受取るとき、引き渡すとき、保管するとき、運送するときにおいて注意を怠っていないことを証明できなければ、その損害賠償責任を負うとしています。
つまり、運送人がきちんと注意していたことを証明できれば、損害賠償責任を免れるということです。