行政計画とは、文字通り、行政機関が定める計画です。そして、行政計画には、「国民を拘束する行政計画」と「国民を拘束しない行政計画」の2つがあります。
拘束的計画と非拘束的計画
拘束的計画とは、特定の個人に対して、一定の権利を制限してしまう計画です。例えば、土地区画整理事業計画です。この計画内の土地所有者は、区画整理事業を行うため、一定期間、自分の土地であっても、使うことができなくなってしまいます。つまり、「自分の土地を使用できる権利」に制限がかかってしまうので、拘束的計画と言えます。このように、国民の権利を制限してしまうため、行政機関が勝手に計画することはできません。拘束的計画の策定には、法律の根拠が必要です。つまり、法律に従って、拘束的計画を策定しないといけないです。
非拘束的計画とは、国民の権利を制限しない計画です。非拘束的計画は、国民の権利を制限しないので、法律の根拠は不要です。例えば、池田内閣が打ち出した「国民所得倍増計画」です。国民総生産(GNP)を「10年以内に26兆円に倍増」させて、国民の生活水準を西欧先進国並みに到達させるという経済成長目標を設定し、内政と外交を結びつけることで、完全雇用の達成と福祉国家の実現、国民各層間の所得格差の是正をはかることを目指した計画です。これは、国民の権利を制限するのではなく、むしろ、公共事業に投資していきました。
※池田内閣が「国民所得倍増計画」を打ち出したことは、行政書士試験の「基礎知識」でも出題される部分なので、覚えておきましょう!
行政計画に関する判例
- 地方公共団体が定めた一定内容の継続的な施策(行政計画)が、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その特定内容の活動が相当長期にわたる右施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合において、右勧告等に動機づけられて右活動又はその準備活動に入った者が右施策(行政計画)の変更により社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被ることとなるときは、これにつき補償等の措置を講ずることなく右施策を変更した地方公共団体は、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、右の者に対する不法行為責任を免れない(=不法行為責任を負う)。(最判昭56.1.27:宜野座工場誘致事件)