行政不服審査法9条の審理員の指名について行政書士試験でも非常に重要です。しっかり押さえておきましょう!
審理員の指名
まず、審査請求をされた行政庁(審査庁)は、原則、審査庁に所属する職員の中から審査手続を行う者(審理員)を指名します。
もし、審理員となるべき者の名簿があるのであれば、その名簿に記載されている者の中から選びます。
審理員を指名したことの通知
審査庁が審理員を指名したら、審査庁は、原則、その旨を審査請求人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に通知しなければなりません。
例えば、処分庁が、市町村長で、審査庁が都道府県知事の場合、都道府県知事が審理員を指名し、審理員を指名したことを、知事は、審査請求人と市町村長に通知しなければなりません。
例外として、「内閣府」や「各省の外局である委員会や審議会」、「普通地方公共団体の執行機関としての委員会(行政委員会)」が審査庁となる場合は、審理員の指名は不要です。その理由は、これらの機関は有識者で構成される機関なので、公正かつ慎重な審理を行うことができるとされているので、あえて審理員を指名する必要はないとされています。この場合、上記審査庁が審理手続きを行います。
審理員になれない者
下記の者は審理員になることができません。
- 利害関係人
- 審査請求人
- 審査請求人の配偶者および一定の親族
- 審査請求人の代理人
- 審査請求人の元配偶者および一定の親族、並びに元代理人
- 審査請求人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人等
行政書士試験では、上記まで勉強していれば大丈夫です!
(審理員)
行政不服審査法第9条 第四条又は他の法律若しくは条例の規定により審査請求がされた行政庁(第十四条の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。以下「審査庁」という。)は、審査庁に所属する職員(第17条に規定する名簿を作成した場合にあっては、当該名簿に記載されている者)のうちから第三節に規定する審理手続(この節に規定する手続を含む。)を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に通知しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる機関が審査庁である場合若しくは条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合又は第二十四条の規定により当該審査請求を却下する場合は、この限りでない。
一 内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項又は国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会
二 内閣府設置法第三十七条若しくは第五十四条又は国家行政組織法第八条に規定する機関
三 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百三十八条の四第一項に規定する委員会若しくは委員又は同条第三項に規定する機関
2 審査庁が前項の規定により指名する者は、次に掲げる者以外の者でなければならない。
一 審査請求に係る処分若しくは当該処分に係る再調査の請求についての決定に関与した者又は審査請求に係る不作為に係る処分に関与し、若しくは関与することとなる者
二 審査請求人
三 審査請求人の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
四 審査請求人の代理人
五 前二号に掲げる者であった者
六 審査請求人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
七 第十三条第一項に規定する利害関係人
3 審査庁が第一項各号に掲げる機関である場合又は同項ただし書の特別の定めがある場合においては、別表第一の上欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとし、第十七条、第四十条、第四十二条及び第五十条第二項の規定は、適用しない。
4 前項に規定する場合において、審査庁は、必要があると認めるときは、その職員(第二項各号(第一項各号に掲げる機関の構成員にあっては、第一号を除く。)に掲げる者以外の者に限る。)に、前項において読み替えて適用する第三十一条第一項の規定による審査請求人若しくは第十三条第四項に規定する参加人の意見の陳述を聴かせ、前項において読み替えて適用する第三十四条の規定による参考人の陳述を聴かせ、同項において読み替えて適用する第三十五条第一項の規定による検証をさせ、前項において読み替えて適用する第三十六条の規定による第二十八条に規定する審理関係人に対する質問をさせ、又は同項において読み替えて適用する第三十七条第一項若しくは第二項の規定による意見の聴取を行わせることができる。
<<行政不服審査法8条:特別の不服申立ての制度 | 行政不服審査法10条:法人でない社団又は財団の審査請求>>