裁決の拘束力
審査請求に基づいて審理員が審理し、その後、審理員が意見書を審査庁に提出します。
そして、審査庁は、行政不服審査会に諮問し、行政不服審査会が審査庁に答申(意見を述べること)します。
それの答申を考慮して、審査庁は裁決します。
審査庁が裁決すると、関係行政庁は、この裁決の内容に拘束されます。
例えば、申請に基づいて処分を行い、その処分の手続きが違法だ!不当だ!と審査請求(不服申立て)をし、認容裁決がなされる(処分の手続きが違法または不当と判断される)と、処分庁は、この裁決の趣旨に従って、改めて申請に対する処分を行う必要があります。
そして、この裁決の拘束力については、認容裁決にのみ認められ、棄却裁決には認められません。したがって、処分は違法だ!不当だ!と審査請求を行い、棄却裁決(審査請求が認められなかった)によって処分が維持されたとしても、処分庁はその裁決に拘束されることはないので、あとで、職権で処分を取り消すことは可能です。(最判昭33.2.7:農地買収計画変更請求事件)
裁決による処分取消・変更の公示
法令の規定により公示された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。
例えば、Aに対して、営業停止処分を下し、その後、審査請求に対して、裁決で営業停止処分が取消しとなった場合、その旨を公示して国民に伝えなければなりません。
裁決による処分取消・変更の通知
法令の規定により処分の相手方以外の利害関係人に通知された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、その通知を受けた者(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、又は変更された旨を通知しなければなりません。
例えば、Aに対して、営業停止処分を下した場合、Aの取引先等の関係者に対しても営業停止処分した旨を通知しなければなりません。また、処分を「営業停止処分」から「指示処分」に変更した場合も同様に通知が必要です
(裁決の拘束力)
行政不服審査法第52条 裁決は、関係行政庁を拘束する。
2 申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。
3 法令の規定により公示された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。
4 法令の規定により処分の相手方以外の利害関係人に通知された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、その通知を受けた者(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、又は変更された旨を通知しなければならない。
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