株式と社債の違い
株式を発行する場合も、社債を発行する場合も、どちらもお金を調達するために使います。 しかし、違いもあります。地位の違い
株式の場合、会社の社員たる地位(オーナー)であるのに対し 社債の場合、会社の債権者です。株主総会における議決権
株主(株主を有する者)は、株主総会で議決権を行使して、経営にかかわることもできますが 社債権者(社債を有する者)は、そのような権利はありません。出資金の払い戻し
株主は、会社が存続している間は、原則として会社から出資の払い戻しを受けることができません。 社債権者は、あらかじめ決められた期間(償還期間)が到来すると、その払い戻しを受けることができます。配当と利息
株主は、剰余金の配当決議があって初めて配当を受けることができます。(剰余金がない場合、無配当の場合もある) 社債権者は、剰余金の有無にかかわらず、あらかじめ定められた額の利息の支払いを受けることができる。発行限度
株式は、公開会社では発行可能株式総数は発行済株式の4倍以下でないといけません。非公開会社ではそのような制限はありません。 社債は、発行限度はないので、どれだけでも発行して借入ができます。分割払込み
株式は分割して払込むことは認められていません。 社債は、払込は、全額の払込が原則ですが、分割して払込む方法を定めることも可能です。社債の発行の手続き
社債を発行する場合、会社は、募集社債に関する下記事項を決定しなければなりません。 この募集社債に関する決定は、業務の執行にあたるため、取締役が決定します(取締役会設置会社では取締役会の決議による)(348条、362条4項5号)。- 募集社債の総額
- 各募集社債の金額
- 募集社債の利率
- 償還方法
- 償還期限等
新株予約権付社債
新株予約権付社債とは、新株予約権がついた社債で、「社債の堅実性」と「株式の投機性」の両方を併せ持ちます。 どういうことかというと、会社の業績が悪い時は社債として持っておき、利息を確実にもらっていきます。その後、業績が上がって、株価も上昇したのであれば、新株予約権を行使して、株主になり、その後株式を売却して売却益を得るということも可能です。 行政書士のポイントとしては、下記事項です。- 新株予約権と社債を分離していずれか一方を譲渡することはできません。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、新株予約権のみを譲渡できます(254条2項3項)。
- 新株予約権付社債の発行については、新株予約権の募集に関する規定が適用される(248条)。つまり、原則として、公開会社では取締役会の決議で、非公開会社では株主総会の特別決議で募集事項を決定します。