設立の種類
株式会社の設立には、発起設立と募集設立の2つがあります。
発起設立とは、発行する株式のすべてを発起人が引き受ける設立です。
募集設立とは、発起人と募集した株主の両方が株式を引き受ける設立です。
発起設立の流れ
発起設立の大まかな流れは下記の通りです。
- 発起人による出資の履行
- 設立時取締役等の選任
- 設立時取締役等による設立に関する調査
- 設立登記
1.発起人による出資の履行
まず、設立の際の株式(設立時発行株式)に関する事項のうち、下記3つについて発起人全員の同意により定めます(会社法32条)。
- 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
- 発起人が割当てを受ける設立時発行株式と引き換えに払い込む金銭の額
- 成立後の株式会社の資本金および資本準備金に関する事項
発起設立の場合、発起人が上記設立時発行株式をすべてを引き受けます。
そして、
発起人は引き受け後遅滞なく、金銭の全額を払い込み、
現物出資をする発起人は金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません(34条1項)。
例えば、設立時発行株式の数を1000株(1株1万円)、発起人がAとBの2人いて、それぞれ500株ずつ引き受けるとすると、発起人AとBはそれぞれ500万円ずつ払い込むということです。
発起人は、金銭ではなく500万円相当の土地で現物出資をすることも可能です。
そして、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後に行ってもよい(34条2項)。
つまり、「土地で出資した発起人」は、土地の移転登記は株式会社成立後に行えばよい、ということです。
発起人はこの出資を履行すれば、会社成立時に株主となります(50条1項)。
2.設立時取締役等の選任
出資の履行が完了すると、会社の機関を確定させていきます。
会社の機関とは、会社の「意思決定」「業務執行」「取引」などを実際に行う「自然人(ヒト)、自然人の集まり」です。
発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく設立時取締役等を選任しなければなりません(38条1項)。
この選任は、発起人の議決権の過半数を持って決定します(40条1項)。
3.設立時取締役等による設立に関する調査
設立時取締役はその選任後遅滞なく、出資の履行が完了しているか等の設立事項の調査をしなければなりません(46条1項)。
あくまでも、設立時取締役は、調査をするだけで、設立登記によって会社が成立するまでの間に色々な仕事を行うのは(執行機関は)発起人です。
※設立時取締役は、通常の会社の取締役とは異なり、業務の執行機関(実際の業務に携わる機関)ではない!
設立時取締役の調査により、法令違反や定款違反、不当な事項があれば、発起人にその旨を通知しなければなりません(46条2項)。
4.設立登記
株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(49条)。
もし、定款に「発行可能株式総数」を定めていない場合は、この設立登記の時までに、発起人全員の同意によって定款変更して定める必要があります。
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