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条例と規則の大きな違いは、
条例は、地方公共団体(議会)が定めるルールで、
規則は、地方公共団体の長や委員会が定めるルールです。
条例
条例と国の法令との効力関係
国の法秩序は、憲法→法律→命令→条例の順に、階層構造を有しており、上位の法に抵触する下位の法は、その部分について無効となります。つまり、憲法や法令に違反する条例は無効となります。
都道府県の条例と市町村の条例の関係
都道府県と市町村は、原則として独立・対等な関係にあります。
ただし、都道府県と市町村の事務の配分上、市町村(特別区も含む)は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならず、違反して行った地方公共団体の行為は無効となります。
条例制定・改廃の流れ
- 普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があったときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。
- 普通地方公共団体の長は、上記条例の送付を受けた場合は、その日から20日以内にこれを公布しなければならない。ただし、再議その他の措置を講じた場合は、この限りでない。
- 条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して10日を経過した日から、これを施行する。
条例案の発案
条例案は、①議員が発案と②長が発案と③住民による発案(直接請求)があります。
①議員による発案は、議員定数の12分の1以上の賛成が必要
③住民により条例制定を請求する場合、選挙権を有する者(外国人は除く)の総数の50分の1以上の連署が必要
条例案の議決
条例は、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長が決めます(議会による議決:多数決の原則)。
また、例外的に、長の専決処分によって成立することもあります。
条例制定の限界
憲法94条では、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」としています。
そして、上記憲法を受けて、地方自治法14条1項では、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定しています。
条例による財産権の規制
条例により財産権を規制することも許される(最大判昭38.6.26:奈良県ため池条例事件)
条例による罰則
相当な程度に具合的であり、限定されていれば、条例で罰則を設けることもできる(最大判昭37.5.30:大阪市売春取締条例事件)
そして、地方自治法14条3項で「普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる」と規定しています。
上乗せ条例
国の法令が規定している事項と同じ事項について、同一目的で、法令よりも厳しい規制にする条例を上乗せ条例と言います。
例えば、ある化学物質の排出基準について、法律で、10ppm以下とされている場合に、条例で、5ppm以下とする場合、法律よりも条例が厳しい規制になっています。
横出し条例
国の法令が規定している事項よりも、対象範囲を広げる条例を横出し条例と言います。
例えば、法律で、有害物質のホルムアルデヒドのみを対象としている場合に、条例で、ホルムアルデヒドのみならず、トルエンやキシレンといった物質も対象する場合、条例により規制対象が広がっています。
横出し条例の判例
河川法は、普通河川(比較的小さい河川)は、適用河川や準適用河川(比較的大きい河川)に対する管理よりも強力な河川管理は行わない趣旨の定めです。そのため、地方公共団体の条例で、普通河川の管理に関する定めをする場合、適用河川の管理の定め以上に
強力な河川管理の定めをすることは、河川法に違反し、許されない。(最判昭53.12.21)
規則
普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができます。
普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、5万円以下の過料(行政罰:秩序罰)を科する旨の規定を設けることができます。
上記の通り、過料を定めることができるが、刑罰を定めることはできません。
規則は、施行期日の定めがあるものを除き、公布の日から起算して10日を経過した日から施行されます。