持分会社とは、合同会社、合名会社、合資会社の3種類を指します。どれも持分会社です。
持分会社を設立する流れについて解説していきます。
持分会社を設立するには下記3つのステップを踏みます。
1.定款作成
持分会社(合名会社、合資会社又は合同会社)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません(575条1項)。
株式会社との違い
2.出資
出資については、無限責任社員と有限責任社員によって異なります。
無限責任社員とは、会社に対して無限に責任を負う社員のことを言います。つまり、 会社が倒産し、さらに債務を会社の財産だけでは弁済できなかった場合、無限責任社員は自己の財産を使って弁済しなければなりません。一方、
有限責任社員とは、自分が出資した分だけ会社に対して責任を負う社員のことを言います。つまり、会社が倒産し、会社に債務が残っていても、有限責任社員は、その残債について責任を負わなくても大丈夫です。
無限責任社員 | 金銭だけでなく、労務、信用で出資してもよい |
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有限責任社員 | 金銭等の出資に限られ、労務や信用で出資はできない |
持分会社の社員の違い
合同会社 | 有限責任社員のみ |
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合名会社 | 無限責任社員のみ |
合資会社 | 無限責任社員と有限責任社員が混在 |
出資の時期
合名会社と合資会社については、社員の出資の時期について制限はありません。一方、
合同会社については、社員になろうとするものは、定款作成後、合同会社の設立登記の時までに、その出資額の全額を払込みまたは給付しなければなりません(578条)。
上記の違いは、合名会社や合資会社の社員は無限責任社員がいるため、万一会社が倒産等しても、会社債権者は、無限責任社員に対して弁済を求めることができます。一方、合同会社の場合、社員は全員、有限責任社員なので、会社が倒産しても有限責任社員に対して請求をすることができません。そのため、設立登記までに全額払込みをさせるルールになっています。
3.設立行為
持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(579条)。
持分会社の設立無効の訴え
設立無効の原因がある場合、株式会社同様、設立無効の訴えにより設立無効を主張できます(828条1項)。
持分会社の設立取消しの訴え
持分会社には、設立取消しの訴えという独自の制度があります(832条)。これは、株式会社にはありません。
設立取消しの原因となるのは下記2つです。
- 社員が民法などの法律の規定により設立に係る意思表示を取り消すことができるとき
- 社員がその債権者を害することを知って持分会社を設立したとき
そして、1の場合、当該社員が設立取消しを主張でき、2の場合、債権者が設立取消を主張できます。
設立取消しの訴えは、持分会社の成立の日から2年以内に、行う必要があります。
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