いわゆる空き家に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 空家特措法では、「空家」とは居住その他の使用が10年以上なされていない家屋のことであると規定されている。
- 小規模宅地は、更地と比べて、固定資産税が最大で4分の1にまで優遇されるが、これは、住宅が空き家となっている宅地についても適用される。
- 都道府県は、「空家」に関するデータベースを整備し、「空家」の状況を把握、管理することが、空家特措法で義務づけられている。
- 自治体のなかには、空家特措法が制定される以前から、空き家に関する条例を制定し、その管理や活用を図る取組みを行っている例がある。
- 人口減少とともに空き家は年々増加しており、その割合は全国の住宅の3割を超えている。
(注)空家等対策の推進に関する特別措置法
【解説】
1.空家特措法では、「空家」とは居住その他の使用が10年以上なされていない家屋のことであると規定されている。
1・・・妥当ではない
「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって、「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」をいいます(空家特措法2条1項)。
「居住その他の使用が10年以上なされていない家屋」が妥当ではありません。
正しくは「居住その他の使用がなされていないことが常態(常にその状態)である家屋等」です。
「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって、「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」をいいます(空家特措法2条1項)。
「居住その他の使用が10年以上なされていない家屋」が妥当ではありません。
正しくは「居住その他の使用がなされていないことが常態(常にその状態)である家屋等」です。
2.小規模宅地は、更地と比べて、固定資産税が最大で4分の1にまで優遇されるが、これは、住宅が空き家となっている宅地についても適用される。
2・・・妥当ではない
住宅用地については、その税負担を軽減する必要から固定資産税の課税標準の特例措置が設けられています(地方税法349の3の2)。
軽減割合は下記の小規模住宅用地と一般住宅用地に分けて特例が適用されます。
住宅用地については、その税負担を軽減する必要から固定資産税の課税標準の特例措置が設けられています(地方税法349の3の2)。
軽減割合は下記の小規模住宅用地と一般住宅用地に分けて特例が適用されます。
- 小規模住宅用地
→200㎡以下の住宅用地について、価格は1/6となる - 一般住宅用地
→200㎡超の部分の住宅用地について、価格は1/3となる
本肢は「最大4分の1まで優遇」が誤りです。
正しくは「最大6分の1まで優遇」です。
単に住宅が空き家になっているだけであれば、上記特例は使えますが
「特定空き家」に指定されて、「是正勧告」を受けると、上記特例から除外され
住宅用地の価格は通常の価格(1/6ではない)となります。
3.都道府県は、「空家」に関するデータベースを整備し、「空家」の状況を把握、管理することが、空家特措法で義務づけられている。
3・・・妥当でない
市町村は、空家等に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとします(空家特措法11条)。
まず、空家等に関するデータベースを整備するのは「市町村」です。
本肢は「都道府県」となっているので妥当ではありません。
また、この整備は、義務ではなく「努力義務」です。
この点も妥当ではありません。
市町村は、空家等に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとします(空家特措法11条)。
まず、空家等に関するデータベースを整備するのは「市町村」です。
本肢は「都道府県」となっているので妥当ではありません。
また、この整備は、義務ではなく「努力義務」です。
この点も妥当ではありません。
4.自治体のなかには、空家特措法が制定される以前から、空き家に関する条例を制定し、その管理や活用を図る取組みを行っている例がある。
4・・・妥当
空家対策特別措置は「平成26年11月」に成立しました。
一方、埼玉県所沢市では、「空き家等の適正管理に関する条例」を、平成22年10月に施行しています。
つまり、「空家特措法」より前に、「空家条例」が制定されています。
したがって、本肢は妥当です。
空家対策特別措置は「平成26年11月」に成立しました。
一方、埼玉県所沢市では、「空き家等の適正管理に関する条例」を、平成22年10月に施行しています。
つまり、「空家特措法」より前に、「空家条例」が制定されています。
したがって、本肢は妥当です。
5.人口減少とともに空き家は年々増加しており、その割合は全国の住宅の3割を超えている。
5・・・妥当でない
総務省の発表によると、空家の割合は13.6%(2018年10月現在)です。
よって、「3割を超えている」という記述は妥当ではありません。
総務省の発表によると、空家の割合は13.6%(2018年10月現在)です。
よって、「3割を超えている」という記述は妥当ではありません。
平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 外国人の人権 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 基本的人権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 憲法9条 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 司法の限界 | 問36 | 商法 |
問7 | 財政 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政立法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |