処分についての審査請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査請求の審理は、書面によるのが原則であるが、申立人の申立てがあった場合には、審理員は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
- 審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、一般概括主義がとられており、国会および裁判所が行う処分以外には、適用除外とされている処分はない。
- 審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、対象となる処分に利害関係を有さない者であっても、不服申立てができる期間であれば、これを行うことができる。
- 審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求が行われた場合には、処分の効力は、裁決が行われるまで停止する。
- 審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求に対する審査庁の判断が一定期間内に示されない場合、審査請求が審査庁によって認容されたとみなされる。
【解説】
1.審査請求の審理は、書面によるのが原則であるが、申立人の申立てがあった場合には、審理員は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
1・・・正しい
審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立人等に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければなりません(行政不服審査法31条)。
ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
よって、本肢は原則の話なので、正しいです。
審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立人等に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければなりません(行政不服審査法31条)。
ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
よって、本肢は原則の話なので、正しいです。
2.審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、一般概括主義がとられており、国会および裁判所が行う処分以外には、適用除外とされている処分はない。
2・・・誤り
次に掲げる処分及びその不作為については、審査請求の規定は、適用されません(行政不服審査法7条)。
次に掲げる処分及びその不作為については、審査請求の規定は、適用されません(行政不服審査法7条)。
- 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
- 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
- 検査官会議で決すべきものとされている処分
上記以外にも適用除外となるものはあります。
よって、「国会および裁判所が行う処分以外」でも、審査請求の規定について適用除外となるものはあるので誤りです。
3.審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、対象となる処分に利害関係を有さない者であっても、不服申立てができる期間であれば、これを行うことができる。
3・・・誤り
判例によると
不服申し立てができる者とは、「当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者」をいう、としています。
したがって、「処分に利害関係を有さない者」については、不服申し立てを行うことはできません。
判例によると
不服申し立てができる者とは、「当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者」をいう、としています。
したがって、「処分に利害関係を有さない者」については、不服申し立てを行うことはできません。
4.審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求が行われた場合には、処分の効力は、裁決が行われるまで停止する。
4・・・誤り
審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げません(行政不服審査法25条)。
これを、「執行不停止の原則」と言います。
したがって、審査請求が行われたとしても、処分の効力は、停止することはないので、本肢は誤りです。
審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げません(行政不服審査法25条)。
これを、「執行不停止の原則」と言います。
したがって、審査請求が行われたとしても、処分の効力は、停止することはないので、本肢は誤りです。
5.審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求に対する審査庁の判断が一定期間内に示されない場合、審査請求が審査庁によって認容されたとみなされる。
5・・・誤り
本肢のようなルールはありません。
よって、誤りです。
本肢のようなルールはありません。
よって、誤りです。
平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 外国人の人権 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 基本的人権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 憲法9条 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 司法の限界 | 問36 | 商法 |
問7 | 財政 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政立法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |