行政立法についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 省令は、各省大臣が発することとされているが、政令は、内閣総理大臣が閣議を経て発することとされている。
- 各省の外局として置かれる各庁の長や各委員会は、規則その他の特別の命令を発することができるが、これについては、それぞれの設置法などの法律に別の定めを要する。
- 内閣に置かれる内閣府の長である内閣官房長官は、内閣府の命令である内閣府令を発することができる。
- 各省大臣などは、その所掌事務について公示を必要とするときは、告示を発することができるが、これが法規としての性格を有することはない。
- 政令及び省令には、法律の委任があれば、罰則を設けることができるが、各庁の長や各委員会が発する規則などには、罰則を設けることは認められていない。
【答え】:2【解説】
1.省令は、各省大臣が発することとされているが、政令は、内閣総理大臣が閣議を経て発することとされている。
1・・・妥当ではない
各省大臣は、主任の行政事務について、それぞれその機関の命令として省令を発することができます(国家行政組織法12条)。
一方、内閣は、この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定します(憲法73条6号)。
また、内閣は、閣議によって職権を行います(内閣法4条)。つまり、本肢は「内閣総理大臣」が誤りで、
各省大臣は、主任の行政事務について、それぞれその機関の命令として省令を発することができます(国家行政組織法12条)。
一方、内閣は、この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定します(憲法73条6号)。
また、内閣は、閣議によって職権を行います(内閣法4条)。つまり、本肢は「内閣総理大臣」が誤りで、
「政令は、内閣が閣議を経て発することとされている」が正しいです。
2.各省の外局として置かれる各庁の長や各委員会は、規則その他の特別の命令を発することができるが、これについては、それぞれの設置法などの法律に別の定めを要する。
3.内閣に置かれる内閣府の長である内閣官房長官は、内閣府の命令である内閣府令を発することができる。
4.各省大臣などは、その所掌事務について公示を必要とするときは、告示を発することができるが、これが法規としての性格を有することはない。
4・・・妥当ではない
各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができます(国家行政組織法14条1項)。告示とは、公の機関が決定した事項を公式に一般に知らせることをいいます。
そして、告示の方法は、国の場合は官報に、地方公共団体の場合は公報で行います。
各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができます(国家行政組織法14条1項)。告示とは、公の機関が決定した事項を公式に一般に知らせることをいいます。
そして、告示の方法は、国の場合は官報に、地方公共団体の場合は公報で行います。
そして、高等学校学習指導要領(告示の一種)は、法規としての性質を有する、とした判例もあります。
よって、「これ(告示)が法規としての性格を有することはない」は妥当ではありません。
5.政令及び省令には、法律の委任があれば、罰則を設けることができるが、各庁の長や各委員会が発する規則などには、罰則を設けることは認められていない。
5・・・妥当ではない
政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができません(憲法73条6号)。また、
省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができません(国家行政組織法12条3項)。
政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができません(憲法73条6号)。また、
省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができません(国家行政組織法12条3項)。
つまり、前半部分は正しいです。
各庁の長や各委員会が発する規則には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができません(国家行政組織法13条2項)。
よって、後半部分が妥当ではありません。
平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 新しい人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 参政権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正により削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
