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令和7年・2025|問6|憲法

内閣総理大臣に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていたが、実際の運用では、他の国務大臣と対等な地位にあるものとして扱われていた。
  2. 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名されるが、衆参両院で指名の議決が異なった場合には、衆議院の議決が優越する。
  3. 内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行うが、その場合でも、衆議院の解散のような内閣総理大臣に一身専属的な権限は行使できないと解されている。
  4. 国務大臣は、内閣総理大臣の同意がなければ、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国務大臣は、内閣総理大臣の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
  5. 法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

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【答え】:5
【解説】
1.内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていたが、実際の運用では、他の国務大臣と対等な地位にあるものとして扱われていた。

1.妥当でない

大日本帝国憲法(明治憲法)には、内閣や内閣総理大臣に関する規定はなく、内閣総理大臣の地位は「内閣官制」(明治22年の勅令)によって定められていました。

内閣官制上、内閣総理大臣は各大臣の「首班」と位置づけられてはいましたが、これは手続き的な意味での首位にすぎず、実質的には「同輩中の首席」に過ぎませんでした。天皇への輔弼(助言)関係では、内閣総理大臣も他の国務大臣と同格の扱いであり、現行憲法のような強い内閣の首長としての地位は認められていませんでした

本肢は「内閣の首長と位置づけられていた」としている点が誤りです。

2.内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名されるが、衆参両院で指名の議決が異なった場合には、衆議院の議決が優越する。

2.妥当でない

憲法67条1項は、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と定めています。「衆議院議員の中から」指名するとは規定されておらず、参議院議員から指名することも憲法上は認められています(戦後は実例がありませんが)。

また、衆参両院で指名の議決が異なった場合に衆議院の議決が優越することは正しい(同条2項・3項)ですが、前段の「衆議院議員の中から」という記述が誤りであるため、本肢全体として妥当ではありません。

3.内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行うが、その場合でも、衆議院の解散のような内閣総理大臣に一身専属的な権限は行使できないと解されている。

3.妥当でない

内閣法9条は、内閣総理大臣に事故があるときは、あらかじめ指定された国務大臣が臨時に職務を行うと規定しています。

一般論としては、臨時代理は内閣総理大臣のすべての職務を行うことになります。ただし、国会において指名されたという内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限については、臨時代理は行使できないとも解されています。

もっとも、衆議院の解散は内閣総理大臣の一身専属的な権限ではなく、閣議決定に基づく内閣の行為(天皇の国事行為:憲法7条3号)であることから、これを「一身専属的な権限」と分類した点が正確ではありません。臨時代理による衆議院の解散も実務上は認められ得るとされています。

※「一身専属的な権限」の典型例としては、国務大臣の任命・罷免(憲法68条)や閣議の主宰などが挙げられます。

4.国務大臣は、内閣総理大臣の同意がなければ、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国務大臣は、内閣総理大臣の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

4.妥当でない

本肢の記述は、国会議員の不逮捕特権憲法50条)を国務大臣に転用したような内容ですが、憲法には国務大臣についてこのような規定はありません

不逮捕特権は、議会の審議権を保護するために国会議員に認められたものです。国務大臣が国会議員を兼ねている場合は議員としての不逮捕特権が及びますが、内閣総理大臣の同意や要求を要件とする国務大臣独自の不逮捕・釈放規定は憲法に存在しません

5.法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

5.妥当である

憲法74条は、「法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し内閣総理大臣が連署することを必要とする」と定めています。

主任の国務大臣の署名は、当該法律・政令の執行について担当大臣が責任を負うことを明示するものです。内閣総理大臣の連署は、内閣全体としての意思決定を確認する意味を持ちます。

「法律および政令」のすべてに署名・連署が必要とされている点が重要で、例外はありません。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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