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令和7年・2025|問31|民法

Aを売主、Zを買主とする売買契約に基づいて発生したAのZに対する売買代金債権(以下「本件債権」という)を、AがBに譲渡し、その旨の債権譲渡通知(以下「本件債権譲渡通知」という)が内容証明郵便によって行われ、Zに到達した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して本件債権を弁済していた場合、Zは、Bから本件債権の弁済を請求されたとしても、これを拒むことができる。
  2. Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達した。Zが、Bから本件債権の弁済を求められた場合、同順位の対抗要件を具備したCの存在を理由として、これを拒むことができる。
  3. Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達したため、Zが、本件債権につき弁済供託を行った場合、Bは、本件債権全額については供託金の還付を請求することはできない。
  4. 本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して貸金債権を有している場合、当該通知の到達後に、Aに対して本件債権と当該貸金債権を相殺する旨の意思表示を行ったとしても、Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。
  5. 本件債権譲渡通知がZに到達した後になって、AZ間の売買契約の履行としてAから引き渡された目的物の品質が契約に適合しておらず、ZのAに対する損害賠償請求権が発生したため、Zは、Aに対して本件債権と当該損害賠償請求権を相殺する旨の意思表示を行った。Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。

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【答え】:2
【解説】
1.本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して本件債権を弁済していた場合、Zは、Bから本件債権の弁済を請求されたとしても、これを拒むことができる。

1.妥当である

債権譲渡の対抗要件(通知のZへの到達)が具備される前にZがAへ弁済していた場合、ZはBからの請求を拒むことができます(民法468条1項)。対抗要件具備時より前にZとAの間で生じた事由(弁済)は、Zが譲受人Bに対抗できます。債権譲渡通知が届く前の弁済は有効であり、Zは二重払いを強いられません。

※「対抗要件」とは、当事者間で生じた法律関係を第三者に主張するために必要な要件のことです。債権譲渡では、譲渡人(A)からの確定日付のある証書による通知または債務者(Z)の承諾が第三者対抗要件となります(民法467条2項)。

2.Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達した。Zが、Bから本件債権の弁済を求められた場合、同順位の対抗要件を具備したCの存在を理由として、これを拒むことができる。

2.妥当でない

BへとCへの債権譲渡通知が同時にZに到達した場合、BとCは同順位の対抗要件を持つ競合譲受人となりますが、Zはこれを理由にBへの弁済を拒むことはできません(最判昭和55年1月11日)。同時到達の場合、ZはBまたはCのいずれかに対して有効に弁済することができ、弁済を拒む権限はありません。ZがどちらへもZが弁済したくない場合は弁済供託(民法494条)を利用することが認められています。「拒むことができる」という記述が誤りです。

※「弁済供託」とは、債権者が誰であるか不明な場合などに、債務者が法務局等に弁済金を供託することで、自己の債務を免れる制度です(民法494条)。

3.Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達したため、Zが、本件債権につき弁済供託を行った場合、Bは、本件債権全額については供託金の還付を請求することはできない。

3.妥当である

BとCへの債権譲渡通知がZに同時到達し、ZがZの選択により弁済供託をした場合、BとCはそれぞれの譲受債権額に応じて供託金を按分した額の還付請求権を分割取得します(最判平成5年3月30日)。本件でAからBへとCへの譲渡はいずれも同一の債権(本件債権)の譲渡ですから、BはC分を含めた債権全額の供託金還付請求権をCと按分することになり、全額の請求はできません

4.本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して貸金債権を有している場合、当該通知の到達後に、Aに対して本件債権と当該貸金債権を相殺する旨の意思表示を行ったとしても、Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。

4.妥当である

対抗要件具備時(通知のZへの到達)より前にZがAに対して取得していた貸金債権は、通知到達後に相殺の意思表示をした場合でも、Bに対して相殺による本件債権の消滅を対抗することができます(民法469条1項)。相殺は「取得した時点」が対抗要件具備時より前であればよく、意思表示の時点が通知到達後であっても構いません。債務者Zを保護するための規定です。

※「相殺」とは、互いに同種の債務を有する場合に、一方的意思表示によってその債務を対当額で消滅させることをいいます(民法505条)。

5.本件債権譲渡通知がZに到達した後になって、AZ間の売買契約の履行としてAから引き渡された目的物の品質が契約に適合しておらず、ZのAに対する損害賠償請求権が発生したため、Zは、Aに対して本件債権と当該損害賠償請求権を相殺する旨の意思表示を行った。Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。

5.妥当である

対抗要件具備時より後に取得した債権であっても、対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権であれば、相殺をもって譲受人に対抗できます(民法469条2項1号)。本件では、AZ間の売買契約(対抗要件具備時より前に締結)から生じた契約不適合による損害賠償請求権であり、発生原因が通知到達前の売買契約であるため、ZはBに対して相殺による本件債権の消滅を主張することができます。「原因の発生時期」が判断基準となる点を押さえましょう。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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