令和8年度版、行政書士試験対策の個別指導はこちら
個別指導の値上げまで あと

令和7年・2025|問28|民法

代理人の行う代理行為に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.任意後見契約に基づく任意代理人は、任意後見契約で定められた被後見人の財産に関する代理行為を行うのに対し、家庭裁判所の審判により選任された法定代理人である後見人は、家庭裁判所の審判において定められた被後見人の特定の財産行為についてのみ代理行為を行う。

イ.法定代理人は、任意代理人と異なり、いつでも復代理人を選任することができるが、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任および監督についての責任のみを負う。

ウ.法定代理人も任意代理人も、本人が死亡した場合には当然に代理権を失うが、任意代理については、本人と任意代理人との間に本人が死亡した後も代理権が存続する旨の合意がある場合には、本人が死亡した後も代理権が存続する。

エ.代理人であった者がその代理権が消滅した後に、その代理権の範囲内において代理行為を行った場合、その者が当該代理人が任意代理人であったか法定代理人であったかを問わず、本人は、代理権の消滅について善意・無過失の第三者に対して、その責任を負う。

オ.代理人が制限行為能力者であったとしても、当該代理人の代理行為を制限行為能力を理由として取り消すことはできず、これは当該代理人が他の制限行為能力者の法定代理人である場合でも同様である。

  1. ア・エ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・オ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】
ア.任意後見契約に基づく任意代理人は、任意後見契約で定められた被後見人の財産に関する代理行為を行うのに対し、家庭裁判所の審判により選任された法定代理人である後見人は、家庭裁判所の審判において定められた被後見人の特定の財産行為についてのみ代理行為を行う。

ア.妥当でない

家庭裁判所の審判により選任された後見人は、被後見人の財産に関するすべての法律行為について広範な代理権を持ちます(民法859条1項)。「家庭裁判所の審判において定められた特定の財産行為についてのみ代理権を持つ」という記述は誤りです。特定の行為に代理権が限定されるのは後見人ではなく、保佐人・補助人において家庭裁判所が代理権の範囲を定める場合(民法876条の4・876条の9)に当たります。

※「任意後見契約」とは、本人が将来の判断能力低下に備え、信頼できる者に財産管理等の代理権を付与する公正証書による契約です(任意後見契約法2条)。

イ.法定代理人は、任意代理人と異なり、いつでも復代理人を選任することができるが、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任および監督についての責任のみを負う。

イ.妥当である

法定代理人はいつでも自己の責任で復代理人を選任できます(民法105条本文)。ただし、やむを得ない事由がある場合は、選任と監督についての責任のみを負います(民法105条ただし書)。これに対して、任意代理人は本人の許諾またはやむを得ない事由がある場合のみ復代理人を選任できます(民法104条)。法定代理人は本人の指示なく広範な権限を持つため復代理人選任が自由である一方、責任範囲が重くなる仕組みです。

※「復代理人」とは、代理人が自己の権限内で本人を代理するために選任した代理人のことです。復代理人は本人を直接代理し、元の代理人の代理人ではありません(民法106条)。

ウ.法定代理人も任意代理人も、本人が死亡した場合には当然に代理権を失うが、任意代理については、本人と任意代理人との間に本人が死亡した後も代理権が存続する旨の合意がある場合には、本人が死亡した後も代理権が存続する。

ウ.妥当である

本人の死亡は原則として代理権を消滅させます(民法111条1項1号)。しかし、任意代理については本人死亡後も代理権を存続させる旨の合意がある場合、死亡後も代理権は存続します(最判昭和31年6月1日)。これは委任契約における特約として有効と解されており、遺産整理・事業継続などの実務上の必要性に対応するものです。法定代理と任意代理でルールが異なる点を押さえておきましょう。

エ.代理人であった者がその代理権が消滅した後に、その代理権の範囲内において代理行為を行った場合、その者が当該代理人が任意代理人であったか法定代理人であったかを問わず、本人は、代理権の消滅について善意・無過失の第三者に対して、その責任を負う。

エ.妥当でない

代理権消滅後の表見代理(民法112条)は任意代理には適用されますが、法定代理には原則として適用されません。法定代理は法律の規定または裁判所の審判によって生じるものであり、第三者が代理人の権限の外観を信頼することに合理的な根拠が乏しいためです。「任意代理人であったか法定代理人であったかを問わず」という記述が誤りです。

※「表見代理(民法112条)」とは、代理権が消滅した後もその代理権の範囲内でされた行為について、善意・無過失の第三者を保護するために本人がその責任を負う制度です。取引の安全を保護する趣旨です。

オ.代理人が制限行為能力者であったとしても、当該代理人の代理行為を制限行為能力を理由として取り消すことはできず、これは当該代理人が他の制限行為能力者の法定代理人である場合でも同様である。

オ.妥当でない

民法102条本文は、代理人が制限行為能力者であっても代理行為を行為能力の制限を理由として取り消せないと定めています。しかし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでないとする例外があります(民法102条ただし書)。例えば、成年被後見人が未成年の子の親権者として代理行為をした場合には取り消すことができます。「法定代理人である場合でも同様」という記述は民法102条ただし書を無視した誤りです。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

【勉強の仕方等、お気軽にご相談ください!】
  • メールアドレス
  • お名前(姓・名)
  • 姓と名はスペースで区切ってください
  • 郵便番号
  • 例:123-4567
  • 住所(都道府県)
  • 住所(市町村以下)
  • ご相談はこちら

  
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。