行政不服審査法7条は、下記事項は「2条・3条の規定を適用しない」としています。どういうことかというと、下記事項については、審査請求できないということです。
審査請求ができない場合
- 国会若しくは地方議会の議決によってされる処分
- 裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
- 国会若しくは地方議会の議決又は同意等を経てされる処分
- 検査官会議で決すべきものとされている処分
- 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴え(形式的当事者訴訟)においてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
- 刑事事件に関する検察官等がする処分
- ①国税又は地方税の犯則事件に関する処分
②金融商品取引の犯則事件に関する処分 - 学校、講習所、訓練所又は研修所で、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
- 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
- 外国人の出入国又は帰化に関する処分
- 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分(例えば、行政書士試験の結果等)
- 行政不服審査法に基づいて行われる処分
この点については、行政手続法で適用除外になっているものと、行政不服審査法で適用除外になっているものの違いを覚えるとよいでしょう!
行政手続法と行政不服審査法の適用除外の違い
手続法のみ適用除外 | ① 公務員の懲戒処分 ② 利害の反する者の利害調整を目的とした処分 ③ 難民認定 ④ 報告または物件提出等の情報収集を目的とした処分 ⑤ 公衆衛生・環境保全・防疫・保安のための処分 ⑥ 不服申立て(審査請求・再調査請求)による裁決・決定 ⑦ 聴聞・弁明の機会付与手続き(意見陳述の手続き)において法令に基づいてされる処分 |
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不服審査法のみ適用外 | 形式的当事者訴訟によるべきとされている処分 |
行政不服審査法における国の機関または地方公共団体等の適用除外
「国の機関」又は「地方公共団体」その他の「公共団体」若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、行政不服審査法の規定は、適用しません。
これは、行政手続法と同様に行政不服審査法も適用しないことを意味します。
イメージとしては、国の機関や地方公共団体に対する処分については、審査請求できないということです。
(適用除外)
第7条 次に掲げる処分及びその不作為については、第2条及び第3条の規定は、適用しない。
一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四 検査官会議で決すべきものとされている処分
五 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
六 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分
七 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分
八 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
九 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
十 外国人の出入国又は帰化に関する処分
十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二 この法律に基づく処分(第五章第一節第一款の規定に基づく処分を除く。)2 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。
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