行政手続法による意見公募手続につき、妥当な記述はどれか。
- 意見公募手続に関する規定は、地方公共団体による命令等の制定については適用されないこととされているが、地方公共団体は、命令等の制定について、公正の確保と透明性の向上を確保するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
- 意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、結果を公示しなければならないが、意見の提出がなかったときは、その旨の公示は必要とされない。
- 意見公募手続においては、広く一般の意見が求められ、何人でも意見を提出することができるが、当該命令等について、特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない。
- 意見公募手続において提出された意見は、当該命令等を定めるに際して十分に考慮されなければならず、考慮されなかった意見については、その理由が意見の提出者に個別に通知される。
- 意見公募手続の対象である命令等には、法律に基づく命令又は規則のほか、審査基準や処分基準など、処分をするかどうかを判断する基準は含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。
【解説】
1.意見公募手続に関する規定は、地方公共団体による命令等の制定については適用されないこととされているが、地方公共団体は、命令等の制定について、公正の確保と透明性の向上を確保するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
1・・・妥当
地方公共団体の機関がする
地方公共団体の機関がする
- 処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)
- 行政指導、
- 地方公共団体の機関に対する届出(根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)
- 地方公共団体の機関が命令等を定める行為
については、行政手続法の規定(申請に対する処分、不利益処分、行政指導、届出、意見公募手続等)は、適用されません(行政手続法3条3項)。
よって、「意見公募手続に関する規定は、地方公共団体による命令等の制定については適用されないこととされている」という部分は妥当です。
ただし、地方公共団体は、上記処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(努力義務)(行政手続法46条)。
よって、後半部分も妥当です。
2.意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、結果を公示しなければならないが、意見の提出がなかったときは、その旨の公示は必要とされない。
2・・・妥当ではない
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければなりません(行政手続法43条)。
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければなりません(行政手続法43条)。
- 命令等の題名
- 命令等の案の公示の日
- 提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)
- 提出意見を考慮した結果(意見公募手続を実施した命令等の案と定めた命令等との差異を含む。)及びその理由
上記3号の内容から、「提出意見がなかった場合にあっては、提出意見がなかった旨」を公示しなければなりません。
よって、本肢は妥当ではありません。
3.意見公募手続においては、広く一般の意見が求められ、何人でも意見を提出することができるが、当該命令等について、特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない。
3・・・妥当ではない
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該「命令等の案」及び「これに関連する資料」をあらかじめ公示し、「意見の提出先」及び「意見の提出のための期間(意見提出期間)」を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条)。
本肢のように、「命令等について、特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない」というルールはないので、妥当ではありません。
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該「命令等の案」及び「これに関連する資料」をあらかじめ公示し、「意見の提出先」及び「意見の提出のための期間(意見提出期間)」を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条)。
本肢のように、「命令等について、特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない」というルールはないので、妥当ではありません。
4.意見公募手続において提出された意見は、当該命令等を定めるに際して十分に考慮されなければならず、考慮されなかった意見については、その理由が意見の提出者に個別に通知される。
4・・・妥当ではない
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見を十分に考慮しなければなりません(行政手続法42条)。
しかし、本肢のように「考慮されなかった意見については、その理由が意見の提出者に個別に通知される」というルールはないので妥当ではありません。
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見を十分に考慮しなければなりません(行政手続法42条)。
しかし、本肢のように「考慮されなかった意見については、その理由が意見の提出者に個別に通知される」というルールはないので妥当ではありません。
5.意見公募手続の対象である命令等には、法律に基づく命令又は規則のほか、審査基準や処分基準など、処分をするかどうかを判断する基準は含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。
5・・・妥当ではない
「命令等」とは、内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいいます(行政手続法2条8号)。
「命令等」とは、内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいいます(行政手続法2条8号)。
- 法律に基づく命令又は規則
- 審査基準
- 処分基準
- 行政指導指針
よって、「行政指導に関する指針は含まれない」は妥当ではありません。
平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 外国人の人権 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 基本的人権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 憲法9条 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 司法の限界 | 問36 | 商法 |
問7 | 財政 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政立法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |