仲立人、問屋、代理商の違い
先に、仲立人、問屋、代理商の違いの表を示して、あとで細かく解説していきます。
仲立人 | 代理商 | 問屋 | |
---|---|---|---|
営業の種類 | 媒介 | 媒介・代理 | 取次 |
契約相手(依頼者) | 不特定 | 特定 | 不特定 |
権利義務の帰属 | 帰属しない | 帰属しない | 帰属する |
仲立人
商法第543条(仲立人)
仲立人とは他人間の商行為の媒介を為すを業とする者をいう。
- 仲立人は、媒介(仲介)するだけで、当事者となって契約することはしません。
分かりやすく言えば、Aさんがモノを買うために、仲立人が媒介を行った場合、代金を支払う義務はAさんにあり、仲立人は支払い義務を負わないということです。
つまり、権利義務の主体はAさんにあり、仲立人は権利義務の主体ではないということです。 - 仲立人は、不特定多数の商人と媒介契約をすることができます。
仲立人の具体例
- 顧客とホテルや旅館の仲を取り持つ旅行業者
- 顧客と不動産オーナーとの仲を取り持つ不動産仲介業者
代理商
代理商とは、特定の商人のために,継続的にその営業の部類に属する取引の「代理または媒介」をなすことを業とする者を言います。
- 代理商は、取引の代理を業とする締約代理商と、媒介を業とする媒介代理商とがある。代理商は、媒介または代理をするだけなので、権利義務の主体にはなりません。分かりやすく言えば、Aさんがモノを買うために、代理商が媒介や代理を行った場合、代金を支払う義務はAさんにあり、代理商は支払い義務を負わないということです。
- 代理商は特定の商人と代理商契約(媒介もしくは代理)を締結する。
代理商の具体例
- 保険代理店
仲立人と代理商の違い
仲立人は、不特定多数の商人等のために活動する者で
問屋(といや)
商法第551条(問屋)
問屋とは自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入を為すを業とする者をいう
- 問屋は、他人のために、自分が売主・買主となって取引を行います。そのため、例えば、Aのために問屋がモノを買った場合、支払い義務は問屋が負います。つまり、権利義務の主体は問屋になるということです。
- 問屋は、不特定多数の者のために取引を行える。
問屋の具体例
- 証券会社(顧客の依頼で、証券市場で株式の売買をする)
問屋(とんや)と問屋(といや)の違い
問屋の読み方は「といや」です。
一般的に知られている「問屋:とんや」とは、違います。一般的な「とんや」は、卸売業を行っている者を言います。例えば、おもちゃ問屋とかです。これらの「とんや」は「といや」ではありません。
法律的にみれば,自己の名で売買をするのは共通しますが、取引の損益が誰に帰属するかが異なります。
「とんや」の場合、とんやAが、商品をBから100円で仕入れて、それをCに120円で売ったとすると、問屋は20円の利益を得ます。これは、他人のために物品を売っているわけではありません。自分のために売ったり買ったりしています。
一方、「といや」の場合、といやD(証券会社)が、委託者Eから、120円で売るよう頼まれて、といやD(証券会社)名義で、それをFに売ります。この場合、といやD(証券会社)は、委託者Eから手数料をもらいます。言い換えると、問屋(といや)は取次を行っています。