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国家賠償法と民法の関係(国家賠償法4条)

国家賠償法1条では、公務員による公権力の行使によって他人に損害を与えた場合の国または公共団体の賠償責任を規定しており、
国家賠償法2条では、公の営造物の設置・管理の瑕疵によって他人に損害を与えた場合の国または公共団体の賠償責任を規定しています。

そして、今回解説する、国家賠償法4条では、①公権力の行使とは言えない場合の損害や②公の営造物に該当しない場合の損害については、民法のルールが適用されると規定しています。

国家賠償法第四条
国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。

使用者責任の適用

例えば、公務員が、庁舎間を車で移動中に事故を起こしてしまった場合、民法715条の使用者責任が適用されます。
→車の運転は、公権力の行使とは言えないから。

工作物責任の適用

例えば、「老朽化してすでに使用されていない市営住宅」の塀が崩れて、通行人に損害を与えてしまった場合、民法717条の工作物責任が適用されます。
→「老朽化してすでに使用されていない市営住宅」は、公の目的のために使用されているわけではないので、公の営造物に該当しないから。

その他の民法の適用

上記以外にも、過失相殺(民法722条)、不法行為による損害賠償請求権の期間の制限(724条)なども適用されます。

失火法の適用(国賠法5条)

上記民法の中には、失火法といった特別法も含みます。

例えば、消防職員の消火ミスによって火災の再燃について判例(最判昭53.7.17)では「公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、当該公務員に重大な過失のあることを必要とするものといわなければならない。」としています。

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