2015年過去問

平成27年・2015|問5|憲法・9条

次の文章は、自衛隊基地建設のために必要な土地の売買契約を含む土地取得行為と憲法9条の関係を論じた、ある最高裁判所判決の一部である(原文を一部修正した。)。ア~オの本来の論理的な順序に即した並び順として、正しいものはどれか。

ア 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範は、私法的な価値秩序とは本来関係のない優れて公法的な性格を有する規範である。

イ 私法的な価値秩序において、憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範が、そのままの内容で民法90条にいう「公ノ秩序」の内容を形成し、それに反する私法上の行為の効力を一律に否定する法的作用を営むということはない。

ウ 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範は、私法的な価値秩序のもとで確立された私的自治の原則、契約における信義則、取引の安全等の私法上の規範によつて相対化され、民法90条にいう「公ノ秩序」の内容の一部を形成する。

エ 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範にかかわる私法上の行為については、私法的な価値秩序のもとにおいて、社会的に許容されない反社会的な行為であるとの認識が、社会の一般的な観念として確立しているか否かが、私法上の行為の効力の有無を判断する基準になるものというべきである。

オ 憲法9条は、人権規定と同様、国の基本的な法秩序を宣示した規定であるから、憲法より下位の法形式によるすべての法規の解釈適用に当たつて、その指導原理となりうるものであることはいうまでもない。

  1. ア イ ウ エ オ
  2. イ ウ エ オ ア
  3. ウ エ オ ア イ
  4. エ オ ア イ ウ
  5. オ ア イ ウ エ

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【答え】:5

【解説】

選択肢をすべて確認すると
「アイウエオ」
の順番で、一つずつずれているだけです。
なので、どれが一番最初になるのか?、どれが一番最後になるのか?を考えれば答えは導けます。

「オ」を見ると「憲法9条は、を宣示した規定であるから、であることはいうまでもない。」
という文章になっており、
憲法9条の全体像を示しています。

そこから、細かい内容に話が進んでいくので

オ→ア→イ→ウ→エ

が正しいのではないかを考え、内容を確認すれば、妥当だと判断できます。

判決文の内容は下記の通りです。

(オ)憲法9条は、人権規定と同様、国の基本的な法秩序を宣示した規定であるから、憲法より下位の法形式によるすべての法規の解釈適用に当たつて、その指導原理となりうるものであることはいうまでもないが、
憲法9条は、前判示のように私法上の行為の効力を直接規律することを目的とした規定ではないから、自衛隊基地の建設という目的ないし動機が直接憲法9条の趣旨に適合するか否かを判断することによつて、本件売買契約が公序良俗違反として無効となるか否かを決すべきではないのであって、自衛隊基地の建設を目的ないし動機として締結された本件売買契約を全体的に観察して私法的な価値秩序のもとにおいてその効力を否定すべきほどの反社会性を有するか否かを判断することによって、初めて公序良俗違反として無効となるか否かを決することができるものといわなければならない。

すなわち、
(ア)憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範は、私法的な価値秩序とは本来関係のない優れて公法的な性格を有する規範であるから、

(イ)私法的な価値秩序において、右規範がそのままの内容で民法90条にいう『公ノ秩序』の内容を形成し、それに反する私法上の行為の効力を一律に否定する法的作用を営むということはないのであって、

(ウ)右の規範は、私法的な価値秩序のもとで確立された私的自治の原則、契約における信義則、取引の安全等の私法上の規範によつて相対化され、民法90条にいう『公ノ秩序』の内容の一部を形成するのであり、

したがって
(エ)私法的な価値秩序のもとにおいて、社会的に許容されない反社会的な行為であるとの認識が、社会の一般的な観念として確立しているか否かが、私法上の行為の効力の有無を判断する基準になるものというべきである

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問4|憲法・基本的人権

次の文章は、基本的人権の分類についてかつて有力であったある考え方を整理・要約したものである。1~5は、この分類ではいずれも「生存権的基本権」と関係があるが、その本来的な特徴を備えているとはいえないものが一つだけ含まれている。それはどれか。

我妻栄は、基本的人権を、大きく、「自由権的基本権」と「生存権的基本権」に二分し、憲法25条から28条までの権利を生存権的基本権に分類するとともに、自由権的基本権には、各種の自由権や法の下の平等のほか、請願権、国家賠償請求権、刑事補償請求権、公務員の選定・罷免権などが、「自由権的基本権を確保するための諸権利」として一緒に分類されている。「自由権的基本権」と「生存権的基本権」とを区別するにあたっては、基本的人権の歴史的推移に着目し、第一に、基本的人権の内容について、前者が「自由」という色調をもつのに対して、後者は「生存」という色調をもつという差異があること、第二に、基本的人権の保障の方法について、前者が「国家権力の消極的な規制・制限」であるのに対して、後者は「国家権力の積極的な配慮・関与」であることを指摘している。
(中略)
我妻説が、19世紀的自由権的基本権と20世紀的生存権的基本権とを截然と二分し、両者が異質の権利であるという面を強調したのに対して、今日では、社会権と自由権との区分の有用性を認めたうえで、社会権と自由権の区別が相対的であり、社会権に自由権的な側面が存在することは、一般的に認められるに至っている。

(中村睦男『社会権の解釈』(1983年)4-9頁)

  1. 国による生活保護の給付
  2. 無償による義務教育の提供
  3. 勤労条件の法律による保障
  4. 争議行為の刑事免責
  5. 社会保障制度の充実

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【答え】:4

【解説】

問題文に
「憲法25条から28条までの権利を生存権的基本権に分類する」ということから、
問題文の内容自体。憲法25条~28条の内容だと分かります。

また、問題文に
『この分類ではいずれも「生存権的基本権」と関係がある』
と記述されているので、選択肢の1~5はすべて「生存権的基本権」ということも分かります。

1.国による生活保護の給付
1・・・備えている
生活保護」は、「生存権」に関する内容なので、憲法25条に関する内容です。

憲法25条
1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

2.無償による義務教育の提供
2・・・備えている
無償による義務教育の提供」は、「教育を受ける権利」に関する内容なので、憲法26条に関する内容です。

憲法26条2項
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

3.勤労条件の法律による保障
3・・・備えている
勤労条件の法律による保障」は、「勤労の権利」に関する内容なので、憲法27条に関する内容です。

憲法27条2項
賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

4.争議行為の刑事免責
4・・・備えていない
「争議行為の刑事免責」は、「労働組合法」に関する内容なので、問題文の本来的な特徴を備えていないと判断できます。「争議行為の刑事免責」とは、「ストライキをしても刑事責任は免れる」という内容です。

労働組合法1条2項
刑法第35条の規定(法令又は正当な業務による行為は、罰しない、というルール)は、労働組合の団体交渉その他の行為であって前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。

5.社会保障制度の充実
5・・・備えている
社会保障制度の充実」は、「生存権」に関する内容なので、憲法25条に関する内容です。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問2|基礎法学・裁判制度

裁判には、「判決」、「決定」および「命令」の形式上の区別がある。これらの裁判の形式上の区別に関する次の記述のうち、明らかに妥当でないものはどれか。

  1. 「判決」とは、訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる。以下同じ。)に基づいて行われる。
  2. 「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
  3. 「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
  4. 「判決」には、家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる。
  5. 「判決」の告知は、公開法廷における言渡し、または宣告の方法により行われるが、「決定」および「命令」の告知は、相当と認められる方法により行うことで足りる。

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【答え】: 4

【解説】

判決・決定・命令の違い

判決・決定・命令の違い

1.「判決」とは、訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる。以下同じ。)に基づいて行われる。
1・・・妥当
判決」とは、「訴訟事件の終局的判断」「その他の重要な事項」について、裁判所がする裁判です。
そして、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる)に基づいて、判決は行われます。
よって、本肢は妥当です。
2.「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
2・・・妥当
決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項及び付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判です。
そして、口頭弁論を経る必要はありません
3.「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
3・・・妥当
命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判です。
決定」が「裁判所」がする裁判であり
命令」は「裁判官」がする裁判である点で異なります。そして、命令も「決定」と同じく、口頭弁論を経る必要はありません
4.「判決」には、家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる。
4・・・明らかに妥当ではない
「判決」に、「家庭裁判所がする審判」は含まれません。
また、「審判」は「決定」に含まれるため、口頭弁論も不要です。
この点も妥当ではありません。
5.「判決」の告知は、公開法廷における言渡し、または宣告の方法により行われるが、「決定」および「命令」の告知は、相当と認められる方法により行うことで足りる。
5・・・妥当
「判決」の告知(判決をどのように伝えるかについて)は、公開法廷における言渡し、または宣告
の方法により行われます。
一方、「決定と命令」の告知方法は、相当と認められる方法で行えば何でもよいです。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問3|憲法・外国人の人権

外国人の人権に関する次の文章のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反するが、この自由の保障はわが国に在留する外国人にまで及ぶものではない。
  2. わが国に在留する外国人は、憲法上、外国に一時旅行する自由を保障されているものではない。
  3. 政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。
  4. 国の統治のあり方については国民が最終的な責任を負うべきものである以上、外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することはわが国の法体系の想定するところではない。
  5. 社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によってこれを決定することができる。

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【答え】: 1

【解説】

1.国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反するが、この自由の保障はわが国に在留する外国人にまで及ぶものではない。
1・・・妥当ではない
判例では
「指紋は、誰一人同じものはなく、一生涯変わらない。搾取された指紋の利用方法次第では、プライバシーの侵害の危険性もある。
そのため、何人もみだりに「指紋押捺を強制されない自由」を有しているといえる。
したがって、国家機関が正当な理由なく指紋押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反して許されない。
そして、指紋押捺を強制されない自由は、外国人にも等しく及ぶ。」
と判示しています。
したがって、本肢の「外国人にまで及ぶものではない」が妥当ではないです。
2.わが国に在留する外国人は、憲法上、外国に一時旅行する自由を保障されているものではない。
2・・・妥当
判例によると
我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されていない。 」
と判示しています。
よって、本肢は妥当です。
3.政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。
3・・・妥当
判例では
原則、外国人にも政治活動の自由を認めています
ただし、例外として、わが国の政治的意思決定または、その実施に影響を及ぼす活動などは、政治活動の自由の保障は及ばない、としています。
よって、本肢は妥当です。
4.国の統治のあり方については国民が最終的な責任を負うべきものである以上、外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することはわが国の法体系の想定するところではない。
4・・・妥当
判例では、
「国民主権の原理に基づいて、国・地方公共団体による統治のあり方は、国民が最終的な責任を負うべきものである」ことに照らして、原則、日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されている。」
と判示しており、
本肢の通り、前半部分だけでなく、「外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することはわが国の法体系の想定するところではない」という点も妥当です。
5.社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によってこれを決定することができる。
5・・・妥当
判例では、
社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、
国は、特別の条約の存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済・社会的諸事情等に照らしながら、その政治的判断によりこれを決定することができる
そして、限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも、許される」
と判示しています。
よって、本肢は妥当です。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問1|基礎法学

第二次世界大戦後に日本で生じた法変動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 敗戦後の住宅難に対応するため借地法と借家法が制定された。
  2. 労働者の権利を拡張するものとして労働組合法が制定された。
  3. 公正で自由な経済的競争を促進する目的で独占禁止法* が制定された。
  4. 地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された。
  5. 英米法的な観点を加えた新しい刑事訴訟法が制定された。

(注)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

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【答え】: 1

【解説】

1.敗戦後の住宅難に対応するため借地法と借家法が制定された。
1・・・誤り
借地法、借家法が制定されたのは、戦前1921年(大正10年)
第二次世界大戦後(敗戦後)とは、1945年以降です。よって、借地借家法(借地法と借家法)は「戦前」に制定されているので誤りです。
2.労働者の権利を拡張するものとして労働組合法が制定された。

2・・・正しい
労働組合法が制定されたのは、戦後の1945年(昭和20年)です。

そして、労働組合法の目的は

  • 労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより
  • 労働者の地位を向上させること、
  • 労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出すること
  • その他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること
  • 使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成すること(労働組合法1条)

です。
これらをまとめると、労働者の権利を拡張するものと言えます。
よって正しいです。

3.公正で自由な経済的競争を促進する目的で独占禁止法が制定された。
3・・・正しい
独占禁止法が制定されたのは、戦後の1947年(昭和22年)です。そして、独占禁止法の目的は
  • 私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、
  • 事業支配力の過度の集中を防止して、
  • 結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、
  • 公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、
  • 以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること(独占禁止法1条)

です。
よって、「公正で自由な経済的競争を促進する目的」である点は正しいです。

4.地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された。
4・・・正しい
地方自治法が制定されたのは、戦後の1947年(昭和22年)です。そして、地方自治法の目的は、
  • 地方自治の本旨に基いて、
  • 「地方公共団体の区分」並びに「地方公共団体の組織及び運営」に関する事項の大綱を定め、
  • 併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、
  • 地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、
  • 地方公共団体の健全な発達を保障すること(地方自治法1条)

です。

よって、「地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された」という記述は正しいです。

5.英米法的な観点を加えた新しい刑事訴訟法が制定された。
5・・・正しい
刑事訴訟法が制定されたのは、戦後の1948年(昭和23年)です。
日本国憲法の人権規定を受けて、英米法的な原理を大幅に採用しています。
よって、本肢は正しいです。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略