行政不服審査法

行政不服審査法40条:審理員による執行停止の意見書の提出

意見書とは、行政不服審査法42条で勉強するのですが、審理手続が終結したときに、審理員が作成する書類です。これは、「審査庁がどのような裁決をすべきか」という審理員の意見をまとめた書類です。

その意見書に、「処分庁が行った処分について、執行停止すべきです!」という意見書を、審査庁に提出することができます。

行政書士試験のポイントでいうと「審査庁に意見をすることはできる」が、「審査庁に命令はできない」という点です。

(審理員による執行停止の意見書の提出)
行政不服審査法第40条 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる。

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行政不服審査法39条:審理手続の併合又は分離

複数の審査請求があり、関連している内容であれば、審理員は、必要に応じて、審理手続きを併合することができます。

また、併合した審査請求における審理手続きを分離することもできます。

この点は、行政書士試験では深い理解は不要なので、そのまま覚えればよいでしょう!

(審理手続の併合又は分離)
行政不服審査法第39条 審理員は、必要があると認める場合には、数個の審査請求に係る審理手続を併合し、又は併合された数個の審査請求に係る審理手続を分離することができる。

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行政不服審査法38条:審査請求人等による提出書類等の閲覧等

行政不服審査法38条の「審査請求人等による提出書類等の閲覧等」について、行政書士試験で出題されるポイントは、「閲覧請求や交付請求は、審理手続きが終結するまでの間に行える」「第三者の利益を害するおそれがあると認めらる等の場合に限って閲覧請求や交付請求を拒むことができる」といった点です。この点をしっかり頭に入れましょう!

審査請求人等による提出書類の閲覧・交付請求

審査請求人又は参加人は、審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧又は当該書類等の交付請求ができます。

上記閲覧請求や交付請求があった場合、審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき等正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができません

言い換えると、
正当な理由があれば、閲覧請求や交付請求を拒むことができ
正当な理由がない場合、閲覧請求や交付請求を拒むことができない
ということです。

閲覧日時の指定

審理員は、上記閲覧について、日時及び場所を指定することができます。

交付における手数料

提出書類の写し(コピー)の交付を受ける審査請求人又は参加人は、一定額の手数料を納めなければなりません。

そして、審理員は、経済的困難等の理由があると認めるときは、上記手数料を減額し、又は免除することができます。

閲覧・交付前に提出人の意見を聴く

上記閲覧請求や交付請求があり、審理員は、閲覧をさせたり、交付をしようとするときは、原則、事前に、提出書類等の提出人の意見を聴かなければなりません

ただし、審理員が、その必要がないと認めるときは、提出人の意見を聴く必要はないです。

 

(審査請求人等による提出書類等の閲覧等)
行政不服審査法第38条 審査請求人又は参加人は、第41条第一項又は第二項の規定により審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等(第29条第四項各号に掲げる書面又は第32条第一項若しくは第二項若しくは第33条の規定により提出された書類その他の物件をいう。次項において同じ。)の閲覧(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)にあっては、記録された事項を審査庁が定める方法により表示したものの閲覧)又は当該書面若しくは当該書類の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができる。この場合において、審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない。
2 審理員は、前項の規定による閲覧をさせ、又は同項の規定による交付をしようとするときは、当該閲覧又は交付に係る提出書類等の提出人の意見を聴かなければならない。ただし、審理員が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
3 審理員は、第一項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
4 第一項の規定による交付を受ける審査請求人又は参加人は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。
5 審理員は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。
6 地方公共団体(都道府県、市町村及び特別区並びに地方公共団体の組合に限る。以下同じ。)に所属する行政庁が審査庁である場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「政令」とあるのは、「条例」とし、国又は地方公共団体に所属しない行政庁が審査庁である場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「政令で」とあるのは、「審査庁が」とする。

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行政不服審査法37条:審理手続の計画的遂行

行政不服審査法28条は「審理手続の計画的進行
行政不服審査法37条は「審理手続の計画的遂行」。

「進行」と「遂行」の違いで、この違いは分からなくても大丈夫です。

まとめて覚えていただいてもよいでしょう。

今回解説するルールは、審理が複雑な場合に、内容を整理するために、審理関係に対して意見聴取できる旨のルールです。

審理員による意見聴取

審査請求に係る事件について、審理すべき事項が多数であり又は錯綜しているなど事件が複雑であることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、必要があると認める場合には、審理員は、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができます。

また、審理関係人が遠隔地に住んでいる場合には、審理員及び審理関係人が音声の送受信により通話をすることができる方法(電話等)によって、審理員は意見の聴取を行うことができます。

上記意見聴取を行った時は、審理員は、遅滞なく、「審理手続の期日及び場所」並びに「審理手続の終結の予定時期」を決定し、これらを審理関係人に通知しなければなりません。また、当該予定時期を変更したときも、同様に通知が必要です。

(審理手続の計画的遂行)
行政不服審査法第37条 審理員は、審査請求に係る事件について、審理すべき事項が多数であり又は錯綜しているなど事件が複雑であることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、第31条から前条までに定める審理手続を計画的に遂行する必要があると認める場合には、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができる。
2 審理員は、審理関係人が遠隔の地に居住している場合その他相当と認める場合には、政令で定めるところにより、審理員及び審理関係人が音声の送受信により通話をすることができる方法によって、前項に規定する意見の聴取を行うことができる。
3 審理員は、前二項の規定による意見の聴取を行ったときは、遅滞なく、第31条から前条までに定める審理手続の期日及び場所並びに第41条第一項の規定による審理手続の終結の予定時期を決定し、これらを審理関係人に通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

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行政不服審査法36条:審理関係人への質問

審査請求の審理の途中で審理員が疑問に思った場合、審理員は審査請求人や参加者、処分庁に対して質問をすることができます

これは、審査請求人若しくは参加人申立てがあった場合も行えますし、職権でも行えます。

行政書士試験でも出題されるので、しっかり頭に入れましょう!

(審理関係人への質問)
行政不服審査法第36条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる。

<<行政不服審査法35条:検証 | 行政不服審査法37条:審理手続の計画的遂行>>

行政不服審査法35条:検証

審査請求人又は参考人から、検証の申立てがあった場合は、または職権で、必要な場所で、検証をすることができます。

検証とは?

検証とは、ある場所の状況を確認し判断の材料を得る必要があるときに、当該「場所」に赴き、確認を行うものです。

そして、審理員は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を当該申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければなりません。

(検証)
行政不服審査法第35条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。
2 審理員は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を当該申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。

<<行政不服審査法34条:参考人の陳述及び鑑定の要求 | 行政不服審査法36条:審理関係人への質問>>

行政不服審査法34条:参考人の陳述及び鑑定の要求

参考人の陳述

審査請求人若しくは参加人の申立てがある場合、または、職権で、審理員は、事実を知っている者を参考人として陳述を求めることができます。

鑑定の要求

また、審査請求人若しくは参加人の申立てがある場合、または、職権で、提出された書類等を鑑定人に鑑定を求めることができます。

(参考人の陳述及び鑑定の要求)
行政不服審査法第34条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、適当と認める者に、参考人としてその知っている事実の陳述を求め、又は鑑定を求めることができる。

<<行政不服審査法33条:物件の提出要求 | 行政不服審査法35条:検証>>

行政不服審査法33条:物件の提出要求

審査請求人若しくは参加人の申立てがあった場合、または職権で、審理員は、書類等の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件(書類等)の提出を求めることができます。

そして、審理員は、その提出された物件を留め置くことができます。

【注意】申立てによっても書類等を提出することができます!

(物件の提出要求)
行政不服審査法第33条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審理員は、その提出された物件を留め置くことができる。

<<行政不服審査法32条:証拠書類等の提出 | 行政不服審査法34条:参考人の陳述及び鑑定の要求>>

行政不服審査法32条:証拠書類等の提出

審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができます。

一方、処分庁は、「処分の理由となる事実を証する書類」等を提出することができます。

つまり、審査請求人・参加人も処分庁もそれぞれの言い分を主張するための書類を提出できるということです。

そして、審理員が期間を定めた場合、その期間内に提出しないといけません。

証拠書類とは?

証拠書類等とは、自らの主張を根拠付ける事実が存在することを明らかにするものを証拠といい、契約書帳簿等といった、その証拠が記載されている文書などを証拠書類等といいます。 審査請求人や、原処分庁に所属する担当者等が、担当審判官等からの質問に対して話した内容(答述)も証拠となります。

(証拠書類等の提出)
行政不服審査法第32条 審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。
2 処分庁等は、当該処分の理由となる事実を証する書類その他の物件を提出することができる。
3 前二項の場合において、審理員が、証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

<<行政不服審査法31条:口頭意見陳述 | 行政不服審査法33条:物件の提出要求>>

行政不服審査法31条:口頭意見陳述

行政不服審査法の審査請求を行うと、審査請求人や参加人は「口頭で意見を述べさせてください!」と申立てをすれば、原則、審理員は、意見を述べる機会を与えなければなりません。(義務

ただし、例外として、申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合は、意見を述べる機会を与える必要はありません

例えば、感染症により、病院から出ることができない場合、口頭意見陳述の機会を与えなる必要はありません。

原則 審理員は、口頭意見陳述の機会を与えなければならない
例外 審理員は、口頭意見陳述の機会を与えることが困難な場合、機会を与えなくてもよい

意見陳述の場所と期日

上記の通り、口頭意見陳述をしたい旨の申立てがあった場合、審理員は、口頭意見陳述を行う場所日時(期日)を定めて、処分庁や審査請求人や参加人等の審理関係人全員を招集しなければなりません。

補佐人と出頭

補佐人とは、審査請求人に付き添って意見陳述の期日に出頭し、その陳述を補佐する者をいいます。自分の意見をうまくまとめられない場合等に弁護士等を補佐人として一緒に、意見陳述の場所に行って、補佐人に助けを求めることができます。

この補佐人と出頭する場合、審理員の許可を得る必要があります。

口頭意見陳述の制限

申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合、審理員は意見陳述を制限することができます。

つまり、審理員は、申立人が関係ないことを話す場合は意見陳述をやめてもらうことができます。

処分庁への質問

審理員の許可を得れば、申立人は、口頭意見陳述に際し、審査請求に係る事件に関し、処分庁に対して、質問できます。

(口頭意見陳述)
行政不服審査法第31条 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第41条第2項第2号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
2 前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。
3 口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
4 口頭意見陳述において、審理員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。
5 口頭意見陳述に際し、申立人は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる。

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