株式については、消却したり(消滅させたり)、併合したり(2つ以上の株式を1つに合体させたり)、株式分割(1つの株式を2つに分けたり)、株式無償割当て(新株を発行して、既存株主に無償でプレゼント)したりできます。
自己株式の消却
株式の消却とは、会社が保有する株式を消滅させることを言います。他人が持っている株式を消滅させることはもちろんできません。自己株式についてのみ消却ができます。
自己株式の消却は、下記手続きで償却する自己株式の数を定めて行います(178条)。
- 取締役会設置会社:取締役会の決議
- 取締役会非設置会社:取締役の過半数で決議
※自己株式とは、株式会社自身が保有する、自社の株式。
株式併合
株式の併合(へいごう)とは、数個の株式を合わせてそれよりも少ない株式にすることを言います(180条)。
例えば、10株を1株にしたり、2株を1株にすることが株式併合です。
これにより、最低出資額の引き上げを行うことができ、株主管理コストを抑えることができます。
例えば、もともと1株1万円だったものを、10株を1株に併合すると、1株10万円となります。
これまで、最低1万円で出資できたのですが、併合後は、最低10万円ないと出資できません。そうなると、必然と株主の数も減ります。それにより、株主の管理を楽にすることができます。
10株を1株にするということは、もともと5株しか持っていない人は、株主の地位を失うこととなります。つまり、株主の権利利益に関わる重要なことなので、株式併合を行うには、株主総会の特別決議が必要となります(309条2項4号)。
株主総会の特別決議とは?
議決権をもつ株主の過半数を定足数とし(過半数の出席により)、出席した者の3分の2以上の賛成によって成立する。
株式分割
株式の分割とは、既存の株式を細分化して、従来よりも多数の株式とすることを言います(183条1項)。
例えば、1株を10株にしたりすることが株式分割です。
これにより、高騰しすぎた株式の株価の引き下げを行うことができ、(最低出資額の引き下げを行うことができ)、株式の流動性を高めることができます。
例えば、もともと1株100万円だった場合、1株を100株に分割することで、1株1万円となり、取引がしやくするなるわけです。
ちなみに、既存株主の利益に実質的な影響はありません。例えば、もともと1株(100万円)持っていた場合、株式分割により、1万円の株を100株持つこととなり、分割前も後も100万円分の株式を持つからです。
既存株主の権利利益に影響はないことから、下記手続きにより株式分割を行えます(183条2項)。
- 取締役会設置会社:取締役会の決議
- 取締役会非設置会社:株主総会の普通決議
株主総会の普通決議とは?
議決権を持つ株主の過半数を定足数とし、出席株主の過半数の賛成によって成立する。
株式無償割当て
株式の無償割当てとは、既存株主に対して、無償で新株の割当をすることを言います(185条)。
定款に別段の定めがない場合に限り、その都度、下記手続きによって株式の無償割当を行います(186条3項)。
- 取締役会設置会社:取締役会の決議
- 取締役会非設置会社:株主総会の普通決議
株式分割と株式無償割当の違い
株式分割 |
株式無償割当 |
同一の種類の株式が増加する |
同一または異なる種類の株式を割り当てることができる |
自己株式の数も増加する |
自己株式には割当てができない |
- |
自己株式を使って他の株主に割当てができる |
※自己株式とは、株式会社自身が保有する、自社の株式。
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