地方自治法

長の専決処分

長は、執行機関として、議会で決めたことしか、執行することができません。しかし、長は、一定の場合に議決を経ずに、処分をすることができます。これを専決処分と言います。

専決処分には法定の専決処分議会委任の専決処分の2つがあります。

法定の専決処分

法定の専決処分とは、法律で定められた事由に該当する場合に行える専決処分です。

法律で定められた事由とは、下記の通りです。

  1. 議会が成立しないとき(在任議員の総数が議員定数の半数に満たない場合)
  2. 議員の定数の半数以上の議員が出席しないなどが原因で会議を開くことができないとき
  3. 特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないとき
  4. 議決事件を議決しないとき

上記4つのいずれかに該当する場合、長は議会の決議なく処分を行えます。

※ 「副知事・副市町村長の選任の同意」および「指定都市の総合区長の専任の同意」については専決処分の対象外

そして、長が処分をした場合、長は、次の会議で、議会に報告(事後報告)し、議会の承認を求めなければなりません。

もし、議会が承認しなくても、長の処分の効力に影響はありません。

議会委任の専決処分

議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、長は専決処分ができます。

議会の委任による専決処分は、議会への事後報告は必要ですが、議会の承認は不要です。なぜなら、議会で指定された事項だから、議会は長が行うことは事前に分かっているからです。

地方公共団体の会計と予算、収入と支出、決算

会計年度

地方公共団体の会計年度は、毎年4月1日~翌年3月31日までを指し、原則、各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって充てなければなりません。分かりやすく言うと、会計年度の歳入(収入)の中で、その年度の歳出(支出)をしなければならないということです。これを会計年度独立の原則と言います。この原則は、翌年に渡って支出を認めると、その年度における財務関係が不明確になることを防ぐためにあります。

ただし、例外として、継続費繰越明許費等は、翌年に渡ってもよいとしています。

継続費 公共事業等、事業が完了するまでに数年を要する費用
継続費は、予算を定めるところにより、数年度に渡って支出できる
繰越明許費 予算に計上したが、その後、非常事態などの特別な事情により、その年度内に支出が終わらなかった費用
繰越明許費は、翌年度に繰り越してその予算を使用することができる

会計の区分

地方公共団体の会計は、一般会計と特別会計に区分されます。

一般会計とは、一般会計は「特別会計に属さないすべての会計」ですが、分かりやすく言うと、一般的な行政にかかる歳入(収入)と歳出(支出)です。

特別会計とは、特定の事業に関する歳入(収入)と歳出(支出)で、例えば、市営バス事業や市立病院事業、水道事業等が挙げられます。そして、特別会計は条例で設置することができます。

予算

予算とは、一般会計年度内の歳入(収入)と歳出(支出)の見積もりです。分かりやすく言うと、どれくらいの収入があり、どれくらいの支出がありそうかということをまとめたものです。

そして、会計年度内の一切の収入および支出はすべて予算に編入しなければなりません。これを総計予算主義と言います。これは、収支のバランスを把握するためです。

予備費の計上と支出

また、地方公共団体の一般会計には、必ず予備費を計上しなければなりません。特別会計には予備費を計上しないこともできます

予備費 予算外の支出又は予算超過の支出に充てるための費用。

予備費の支出は、議会の議決を必要とせず、長の権限で行うことができます。しかし、議会で否決したことに使うことはできません。

国の予算における予備費はこちら>>

予算の手続き(調整と執行)

普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければなりません。この場合において、普通地方公共団体の長は、年度開始前までに当該予算(予算案)を議会に提出するようにしなければなりません。

予算の提出を受けた議会は、予算案について、議会で修正することができます。
ただし、増額してこれを議決することはできますが、普通地方公共団体の長の予算の提出の権限を侵すことはできません。また、減額して議決することは、規定されていませんが可能とされています。

地方公共団体の長は、政令で定める基準に従って予算の執行に関する手続きを定め、これに従って、予算を執行しなければなりません。

債務負担行為

債務負担行為とは、「歳出予算で計上した金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額」以外の将来にわたる債務を負担する行為を指します。分かりやすく言うと、将来に発生する見込みはあるけれど、今年中には支払う予定がない費用のことです。継続費と似ていますが、継続費は、各年度の支出がある程度確定している場合に使い、債務負担行為は、各年度の支出に変動が生じる可能性が高い場合に使います。例えば、大規模工事で、3年間で20億円の契約をしたとします。1年目に歳出5億円とした場合、債務負担行為15億円を計上します。2年目に歳出6億円とした場合、債務負担行為9億円(15-6億円)を計上します。3年目に歳出9億円とした場合、債務負担行為0円となります。

このように、債務負担行為も予算で定めなければなりません。

地方債と一時借入金

地方債 地方公共団体が、一定の経費を調達するための、地方公共団体の借入金で、その償還(債権者への返済)が会計年度を超えて行われるもの。
地方債を発行する場合、一定事項を予算で定める必要がある。
一時借入金 会計年度内に借入をして、その年度内に償還するもの。
借入れの最高限度は、予算で定めるものとされています。

収入と支出

収入

普通地方公共団体の収入には、地方税分担金使用料加入料手数料地方債があります。

分担金使用料加入料および手数料に関する事項は、条例で定めなければなりません。

一方、地方債については、予算で定めなければなりません。

支出

支出とは、歳出予算に基づいて、執行を命じる行為(お金を支払う行為)を支出と言います。支払いは、長の支出命令を受け、会計管理者がその適法性を確認した上で行います。

公金の収納・支払い

公金の収納とは、地方公共団体がお金を受け取ることを言い、公金の支払いは、地方公共団体が、お金を払うことを言います。

そして、地方公共団体は、公金の収納・支払いについて、都道府県と市町村で、金融機関の指定が必要かどうかが分かれます。

都道府県は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、都道府県の公金の収納又は支払の事務を取り扱わせなければなりません(義務)。一方、市町村は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、市町村の公金の収納又は支払の事務を取り扱わせることができます(任意)。

都道府県 金融機関を指定しなければならない(義務)
市町村 金融機関を指定することができる(任意)

決算

決算とは、毎会計年度の歳入と歳出について、執行の結果の実績を示した計算書です。分かりやすく言うと、実際のどれだけの収入があって、どれだけ支出したかを表示したものです。

そして、決算の手続きの流れが行政書士の勉強では重要なので、その点をお伝えします。

  1. 会計管理者は、毎会計年度、決算を調製し、出納の閉鎖後3か月以内に、一定の書類と併せて、普通地方公共団体の長に提出しなければならない。
  2. 普通地方公共団体の長は、決算及び前項の書類を監査委員の審査に付さなければならない。
  3. 普通地方公共団体の長は、上記監査委員の審査に付した決算を監査委員の意見を付けて次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならない。
  4. 普通地方公共団体の長は、議会の認定に付した決算の要領を住民に公表しなければならない。

議会の権限(①議決権、②選挙権、③監査権、④自律権)

地方公共団体の議会には、普通地方公共団体の意思決定機関としての①議決権と、②選挙権、③監査権、④自律権といった権限があります。

議決権

普通地方公共団体の議会が行う議決事件は、必ず議決しなければならない必要的議決事件と、必要に応じて条例で議決事項に定めることができる任意的議決事件があります。

必要的議決事件

必要的議決事項は15項目に限定されています(制限列挙)。その中でも、行政書士の試験で出題されやすいものは、下記5つなので、それだけでも頭に入れておきましょう!

  1. 条例の制定と改廃
    条例の提案権は、一般的には、議会と長の双方にある。特定の場合のみいずれかのみに専属する。
  2. 予算の議決
    議会は、予算を増額修正できるが、長の予算発案権の侵害となるような修正は許されない。
    減額修正はできない。
  3. 決算の認定
  4. 地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること
  5. 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること

任意的議決事件

上記以外にも条例で普通地方公共団体に関する事件につき、議会の議決すべきものを定めることができます。

そして、自治事務については、すべて任意的議決事件の対象となります。

一方、法定受託事務については、国の安全に関することなど普通地方公共団体の議会で議決すべきでないもの以外は、任意的議決事件の対象となります。

選挙権

議会は、議長副議長選挙管理員等の選挙を行わなければなりません。

監査権

住民の代表機関である議会は、長などの執行機関の行為が適正に行われているかを監視する権限(同意権、調査権、書類の検閲・検査権、監査請求権)を持っています。

同意権

地方公共団体の長が、「副知事副市町村長、監査委員、教育委員会の委員、都道府県公安委員会の委員」などを選任する場合、議会の同意が必要となります。

調査権(100条調査権)

地方公共団体の議会は、地方公共団体の事務に関する調査を行うことができ、地方自治法第100条に規定された権利なので、100条調査権と言います。

ほとんどの事務が100条調査権の対象になりますが、
自治事務については、労働委員会、収用委員会の権限に属する事務」は対象外となり、「法定受託事務については、国の安全、個人の秘密にかかわるもの」は対象外となります。

調査を行うために特に必要がると認めるときは、選挙人その他の関係人の出頭および証言ならびに記録の提出を請求することができます。

この100条調査権については、2013年、当時の東京都知事であった猪瀬直樹知事が徳洲会グループより5000万円を受け取った事件で使われています。ただし、東京都議会が百条委員会の設置を決定し、百条調査権を行使しようとする前に、猪瀬知事は辞職しました。

書類の検閲・検査権

議会は、普通地方公共団体の事務に関して書類等を検閲し、執行機関の報告を請求して、事務の管理、議決の執行および出納を検査することができます。

分かりやすく言えば、議会で決めたとおりに仕事をしているか、検査・調査するわけです。

この検査の対象についても、100条調査権同様下記については検査の対象外となっています。

自治事務については、労働委員会、収用委員会の権限に属する事務」は検査権の対象外となり、「法定受託事務については、国の安全、個人の秘密にかかわるもの」は検査権の対象外となります。

監査請求権

議会は、監査委員に対し、普通地方公共団体に関する監査を求め、監査の結果に対する報告を請求することができます。

この監査請求の対象についても、100条調査権同様下記については検査の対象外となっています。

自治事務については、労働委員会、収用委員会の権限に属する事務」は監査請求の対象外となり、「法定受託事務については、国の安全、個人の秘密にかかわるもの」は監査請求の対象外となります。

自律権

議会の自律権とは、議会自らの意思で、議会の組織・運営の決定や処理する権利のことを言い、「会議規則の制定権、会期の決定権、懲罰権、自主的に解散する権利」等があります。

懲罰権の判例(最判昭35.10.19)(最大判令2.11.25)

地方議会議員の除名処分・地方議会議員の議会への出席停止処分は議会の内部規律の問題に当たらないため司法審査が及ぶ

条例と規則

条例と規則の大きな違いは、
条例は、地方公共団体(議会)が定めるルールで、
規則は、地方公共団体の長や委員会が定めるルールです。

条例

条例と国の法令との効力関係

国の法秩序は、憲法→法律→命令→条例の順に、階層構造を有しており、上位の法に抵触する下位の法は、その部分について無効となります。つまり、憲法や法令に違反する条例は無効となります。

都道府県の条例と市町村の条例の関係

都道府県と市町村は、原則として独立・対等な関係にあります。

ただし、都道府県と市町村の事務の配分上、市町村(特別区も含む)は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならず、違反して行った地方公共団体の行為は無効となります。

条例制定・改廃の流れ

  1. 普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があったときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。
  2. 普通地方公共団体の長は、上記条例の送付を受けた場合は、その日から20日以内にこれを公布しなければならない。ただし、再議その他の措置を講じた場合は、この限りでない。
  3. 条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して10日を経過した日から、これを施行する。

条例案の発案

条例案は、①議員が発案と②長が発案と③住民による発案(直接請求)があります。

①議員による発案は、議員定数の12分の1以上の賛成が必要

③住民により条例制定を請求する場合、選挙権を有する者外国人は除く)の総数の50分の1以上の連署が必要

条例案の議決

条例は、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長が決めます(議会による議決:多数決の原則)。

また、例外的に、長の専決処分によって成立することもあります。

条例制定の限界

憲法94条では、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」としています。

そして、上記憲法を受けて、地方自治法14条1項では、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定しています。

条例による財産権の規制

条例により財産権を規制することも許される最大判昭38.6.26:奈良県ため池条例事件

条例による罰則

相当な程度に具合的であり、限定されていれば、条例で罰則を設けることもできる(最大判昭37.5.30:大阪市売春取締条例事件

そして、地方自治法14条3項で「普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる」と規定しています。

上乗せ条例

国の法令が規定している事項と同じ事項について、同一目的で、法令よりも厳しい規制にする条例を上乗せ条例と言います。

例えば、ある化学物質の排出基準について、法律で、10ppm以下とされている場合に、条例で、5ppm以下とする場合、法律よりも条例が厳しい規制になっています。

横出し条例

国の法令が規定している事項よりも、対象範囲を広げる条例を横出し条例と言います。

例えば、法律で、有害物質のホルムアルデヒドのみを対象としている場合に、条例で、ホルムアルデヒドのみならず、トルエンやキシレンといった物質も対象する場合、条例により規制対象が広がっています。

横出し条例の判例

河川法は、普通河川(比較的小さい河川)は、適用河川や準適用河川(比較的大きい河川)に対する管理よりも強力な河川管理は行わない趣旨の定めです。そのため、地方公共団体の条例で、普通河川の管理に関する定めをする場合、適用河川の管理の定め以上に
強力な河川管理の定めをすることは、河川法に違反し、許されない。(最判昭53.12.21)

規則

普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができます。

普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、5万円以下の過料(行政罰:秩序罰を科する旨の規定を設けることができます。

上記の通り、過料を定めることができるが、刑罰を定めることはできません

規則は、施行期日の定めがあるものを除き、公布の日から起算して10日を経過した日から施行されます。

地方自治体の概要と種類


地方自治体の一番分かりやすい具体例が都道府県や市町村です。しかし、行政書士で勉強する地方自治体は、もっと深い部分まで勉強していきます。まず、地方自治とは、地方の住民が、その地域を自主的に運営していくことを言います。そして、地方自治体は、国とは別の固有の法人格を持ち、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を持っています。

固有の法人格を持つため、例えば、地方自治体(例えば、都道府県や市町村)が、不動産の所有権を持ったり、裁判で、原告や被告となることができます。

地方公共団体の種類

上図の通り、普通地方公共団体は、都道府県と市町村の2つに分けることができるのですが、市町村の中の「市」には「政令で指定された都市(政令指定都市)」と「中核市」の2つと、それ以外の小さい市があります。行政書士の試験で出題されるのは、政令指定都市と中核市の違いなので、この辺りを勉強しておきます。

政令指定都市

政令指定都市とは、政令で指定する人口50万人以上の市で、都道府県に近い権限が与えられます。政令指定都市の具体例として、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、静岡市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、岡山市、広島市、福岡市、熊本市等があります。

政令指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させる(分ける)ため、条例で、その区域を分けて、区(行政区)を設ける義務があります。例えば、横浜市は、政令指定都市なので、西区、中区、南区といった感じで分けられています。そして、上記区にその事務所の長として区長を置く義務があります。

注意が必要なのは、この区は、東京都23区のような特別区とは違います。実際、横浜市西区と東京都中央区は、文字だけ見ると似ていますが、前者は特別区ではなく(法人格がない)、後者は特別区(法人格がある)です。

さらに、指定都市は、その行政の円滑な運営を確保するため必要があると認めるときは、市長の権限に属する事務のうち特定の区の区域内に関するものを総合区長に執行させるため、条例で、当該区に代えて総合区を設け、総合区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置くことができる

行政区と総合区の違い

行政区 総合区
位置づけ 指定都市の内部組織
法人格 なし
議会 なし
選挙管理委員会 必ず設置しなければならない
法人格 なし
長の名称 区長 総合区長
長の身分 一般職(市の職員) 特別職(市の職員でなくてもよい)
長の専任 市長が職員から任命 市長が議会の同意を得て選任
任期 なし 4年
リコール なし あり

リコールとは、解職請求を指し、住民が、「この総合区長ではダメだ!」といった場合に、有権者総数の3分の1の連署により、選挙管理員会に解職請求をし、有権者による投票の過半数の同意により、総合区長をやめさせることができます。この点については、住民による「直接請求」の部分で解説します。

中核市

中核市とは、人口20万人以上の市で、政令で定める市を言います。指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを、中核市で処理します。

※「特例市」は平成27年の改正地方自治法により廃止された。

特別地方公共団体

ここからは特別地方公共団体に入っていきます。特別地方公共団体とは、普通地方公共団体以外のある特定の目的を達成するために設置されている組織を言います。

これには特別区地方公共団体の組合財産区の3つがあります。

特別区

特別区とは、東京都の区(23区)です。この特別区は固有の法人格を持ち、行政主体として、市に近い特徴を持っています。

そして、特別区は、原則、一般的に市町村が処理するものとされている事務を処理します。例外として、都(東京都)が一体的に処理するものとされているものは、都が処理します。

地方公共団体の組合

この地方公共団体の組合が非常にややこしいです。しかし、行政書士試験で出たら、得点したい部分です。

まず、地方公共団体の組合は、2つ以上の地方公共団体が事務を共同で処理するために設置するものです。例えば、「介護保険事業の認定や給付」、「ごみ処理事業」「消防事業」「上下水道事業」等です。

そして、地方公共団体の組合は一部事務組合と広域連合の2つがあり、この違いが頻出です。

一部事務組合と広域連合の違い
一部事務組合区 広域連合
種類 特別地方公共団体
構成団体 都道府県・市町村・特別区
※複合的一部事務組合は都道府県は加入できない
都道府県・市町村・特別区
設置許可 都道府県が加入する場合、総務大臣の許可
その他が加入する場合、知事の許可
が必要
解散 総務大臣または知事の「届出」が必要 総務大臣または知事の「許可」が必要
議会 必ず「議会」を設置する
議会の議員 規約で定める 選挙人の投票 or 議会の選挙
兼任 一部事務組合の議会の議員等は、当該一部事務組合の構成団体の議員・長・その他職員と兼ねることができる 広域連合の議会の議員等は、当該広域連合を組織する地方公共団体の議員・長・その他職員と兼ねることができる
長は不要 長は必ず設置する
選挙人の投票 or 議会の選挙
条例 独自の条例を制定できる
住民監査請求
住民訴訟
住民監査請求や住民訴訟の対象
知事の勧告 知事は、公益上必要と認める場合、「市町村・特別区」に「一部事務組合や広域連合」を設けるべきことを勧告できる

複合的一部事務組合とは?

一部事務組合は、共同処理する事務が1種類に限定されますが、複合的一部事務組合は、共同処理する事務が関連する複数のものを対象とします。例えば、「A市とB市の上水道事務」と「A市とB市の下水道事務」を共同で処理する場合です。

財産区

財産区とは、市町村や特別区が、「財産(山林、用水池、宅地等)を有し」若しくは「公の施設を設けている」場合、「その財産又は公の施設」の管理及び処分又は廃止の権限を持つ特別地方公共団体です。

住民訴訟

住民訴訟は、住民監査請求をしたにも関わらず、①その監査結果に不服あるときや、②監査委員が勧告したが、議会や長等がその勧告に従わない場合に、裁判所に訴えを提起するものです。

この訴えは、「自己の法律上の利益に関わらないことで訴えを提起する」ことから客観訴訟(民衆訴訟)に当たります。

例えば、地方公共団体の長が、違法に公金を使っていて、裁判の結果、認容判決(勝訴)を得たとしても、住民訴訟をする住民自身の法律上の利益は何もありません。
そのため主観訴訟(抗告訴訟等)ではないことが分かります。

住民監査請求と住民訴訟の違い


住民訴訟の対象

住民訴訟は、「訴訟」なので、法律に違反したこと(違法なこと)しか対象になりません。

そのため、住民監査請求の対象となり、かつ違法であることが要件となるため、地方公共団体の執行機関における財務会計上の違法な行為または怠る事実があるときに住民訴訟を提起できます。

住民訴訟の出訴権者

住民訴訟を提起できるのは、住民監査請求をした住民に限られます。

したがって、その住民であることが要件ですし、また、事前に住民監査請求を行っている必要があります(住民監査請求前置主義)。

住民訴訟の出訴先

住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属します。つまり、地方裁判所に訴訟提起します。

そして、ある事件で、住民訴訟が係属している場合、別訴をもって、同一の請求をすることはできません(別訴禁止)。分かりやすく言うと、ある事件で住民訴訟手続きが進んでいる場合、同じ事件について、同じ請求(訴訟)を重ねて行うことはできないということです。

住民訴訟の出訴期間

住民訴訟は、下記期間内に提起しなければなりません。

  1. 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合は、当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があった日から30日以内
  2. 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合は、当該措置に係る監査委員の通知があった日から30日以内
  3. 監査委員が請求をした日から60日を経過しても監査又は勧告を行なわない場合は、当該60日を経過した日から30日以内
  4. 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合は、当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内

住民訴訟の請求内容(類型)

住民訴訟の請求内容は、下記4つに限られます。それ以外の請求はできません。

  1. 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
  2. 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
  3. 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
  4. 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求

住民訴訟に関する判例

  1. 贈収賄容疑で逮捕・起訴され、有罪判決が確定した場合において、懲戒免職処分をせずに、分限免職処分により退職手当の支給をしたとしても、違法な公金の支出に当たるということはできない。なぜなら、職員に懲戒事由が存する場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分をするときにいかなる処分を選ぶかは、任命権者の裁量にゆだねられており、このことから考えて、収賄事実のみが判明していた段階において、懲戒免職処分に付さなかったことが違法であるとまで認めることは困難だから。(最判昭60.9.12)
  2. 教育委員会が公立学校の教頭で勧奨退職に応じた者を校長に任命して昇給させるとともに同日退職を承認する処分をした場合(1日だけ校長に昇給させ、翌日退職承認の処分をした場合)において、右処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するものといえないときは、知事がした右の者の昇給後の号給を基礎とする退職手当の支出決定は、財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえない。(最判平4.12.15)
  3. 県議会議長が、野球大会に参加する議員に出した旅行命令が違法の場合に、その命令を前提として知事の補助職員がした、議員への旅費の支出負担行為と支出命令は、財務会計法規上の義務に違反する違法なものではない。なぜなら、県議会議長が行った議員に対する旅行命令は違法なものではあるが、旅行命令の経緯等に関する事実関係の下において、県議会議長が行った旅行命令が、著しく合理性を欠き、そのために予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があるとまでいうことはできないから。(最判平15.1.17)

 

 

 

監査委員・外部監査契約

監査委員については、特に行政書士で出題されやすいので細かく解説します。

監査委員は、地方公共団体の監査について、長から独立した独任制の執行機関であり、普通地方公共団体には必ず置かなければなりません。

定数 都道府県および人口25万人以上の市にあっては4人
その他の市および町村にあっては2人
選任 長が、議会の同意を得て、選任
罷免 長が、議会の同意を得て、罷免
※罷免できるのは、心身故障など職務遂行ができない場合に限り監査委員の意に反して罷免することはできない

監査委員の職務

監査委員の職務については、大きく分けて一般監査特別監査があり、
一般監査は、財務監査行政監査にわけることができ、
特別監査は、事務監査請求による監査議会請求による監査長の要求監査があります。


一般監査(財務監査と行政監査)

監査委員は、「①普通地方公共団体の財務に関する事務の執行」および「②普通地方公共団体の経営に係る事業の管理」を監査します(=財務監査)。

財務監査には、必ず行わないといけない「定期監査」と、必要があると認めるときに行う「臨時監査」とがあります。

また、監査委員は、財務監査以外に、一般行政事務に関する「行政監査」も行います。

この行政監査は必要があると認めるときに行う臨時監査として行います。

特別監査

事務監査請求による監査

簡単に言えば、住民からの請求により行う監査です。
住民は、有権者総数の50分の1以上の連署により、監査委員に請求をします。

議会請求による監査

議会は、監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務に関する監査を求め、監査の結果に関する報告を請求することができます。
ただし、「自治事務にあっては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務」および「法定受託事務にあっては国の安全を害するおそれがあること」は監査請求できません。

長の要求監査

監査委員は、当該普通地方公共団体の長から当該普通地方公共団体の事務の執行に関し監査の要求があったときは、その要求に係る事項について監査をしなければなりません。

外部監査契約

外部監査とは、都道府県や市町村などの地方公共団体が外部の専門家等からの監査を受けることを言います。平成9年(1997)に「地方自治法の一部を改正する法律」により外部監査制度が創設され、外部監査契約には、包括外部監査契約個別外部監査契約があります。

包括外部監査契約

普通地方公共団体の長は、政令の定めるところにより、毎会計年度、当該会計年度に係る包括外部監査契約を、速やかに、外部監査人と締結しなければなりません。(毎年、必ず締結する)

個別外部監査契約

条例に定めがある場合、事務監査請求に関する監査があったときに、監査委員の監査に代えて個別の事案ごとに外部監査人と監査契約を締結します。

これには、条例の定めが必要な点に注意しましょう!

地方公共団体の長の再議請求権

議会の議決について、①地方公共団体の長に異議がある場合、または②違反がある場合、再度審議および議決を要求する制度があり、これを「再議」と言います。

再議には、一般的再議請求権(一般的拒否権)と特別的再議請求権(特別拒否権)の2つがあります。

一般的再議請求権(一般的拒否権)→一般再議

一般的再議請求権(一般的拒否権)は、①長に異議があるときに長が理由を示して再議に付す制度です。これは、異議があるときに請求すればよいので再議に付すかどうかは任意です。

そして、再議に付す要件が、「条例の制定改廃・予算に関する議決」と「それ以外の議決」とで異なります。


条例の制定改廃・予算に関する議決

条例の制定や改廃、予算に関する議決について、長に異議がある場合、長はその送付を受けた日から10日以内に、理由を示して再議に付し、再議の結果、出席議員の3分の2以上の多数で再議に付された議決と同じ議決がなされたときは、その議決は確定します。

例えば、条例の制定案が可決され、長が再議に付し、再度可決されたら、条例は制定されるということです。再議で否決となれば、条例は制定されません。

それ以外の議決

条例の制定改廃・予算以外に関する議決については、議決の日から10日以内に、理由を付して再議し、再議の結果、出席議員の過半数で、再議に付された議決と同じ議決がなされたときは、その議決は確定します。

例えば、議員Aを除名処分の決議が可決され、それに対して、長が再議にかけ、再度過半数の賛成があれば、除名処分の議決は確定します。

特別的再議請求権(特別拒否権)→違法再議

特別的再議請求権(特別拒否権)は、②議会の議決選挙が、その権限を超えまたは法令・会議規則に違反すると認められるとき、長は、理由を付して再議または再選挙をしなければなりません(義務)。

※特別拒否権は、一般的拒否権と異なり、期間制限はありません。

収支不能議決

普通地方公共団体の議会の議決が、収入または支出に関し、執行することができないものがあるとき(収支不能の場合)、2012年の法改正前は、違法再議として、再議に付すことが義務となっていたが、改正後は、権限を超えたり、法令や会議規則に違反する場合は、違法再議ですが、そうでなければ一般再議となります。

義務費の削除減額議決

義務費とは法令により負担する経費のことです。簡単に言えば、人件費や公債費(地方債の返済にかかる元利償還金と利息)等です。そして人件費等を削減する議決がされた場合、長は、理由を付して、必ず再議に付さなければなりません(特別拒否権の対象)。

予算を削るということは、必要な事業を行えない可能性があるから、再議に付すことが義務となっています。

非常災害対策・感染症予防費の削除減額議決

非常災害対策費とは、災害に対する応急、復旧の施設のための費用です。

感染症予防費とは、感染症患者に対して、法に基づく入院勧告又は入院措置を実施した場合において、医療費は公費負担となり、その費用のことです。

これらの経費を削除したり、削減したりする議決をしたときは、長は、理由を付して、必ず再議に付さなければなりません(特別拒否権の対象)。

もし、再議で再度、経費の削除・減額の議決がなされた場合、長は、その議決を不信任の議決をみなすことができます

国地方係争処理委員会と自治紛争処理委員

係争処理手続

①国と地方公共団体との間に、または②都道府県と市町村との間に争いが生じた場合、公平・中立な第三者機関によって紛争の解決を図り、違法行為については、高等裁判所の判断によって解決を図ります。これが地方自治法における係争処理手続です。

そして、①国と地方公共団体との間での争いについては、国地方係争処理委員会が第三者機関として紛争解決に努め、②都道府県と市町村との間に争いについては自治紛争処理委員が第三者機関として紛争解決に努めます。

国地方係争処理委員会

  1. 国が地方公共団体に関与します。
  2. 国が地方公共団体に対して関与し、その関与に不服があるときは、関与の日から30日以内に、国地方係争処理委員会に対して、審査の申出をすることができます。
  3. 申出を受けた国地方係争処理委員会は、審査の申出があった日から90日以内に、関与の妥当性と違法性を審査します。
  4. 違法な関与にも関わらず、国地方係争処理委員会の判断に不服がある場合、高等裁判所に対し、違法な関与の取消し、または、不作為の違法確認の訴えを提起できます。(行政機関同士の争いなので、機関訴訟に該当)

国地方係争処理委員会が処理する対象

  • 国による是正要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの
  • 国の不作為
  • 法令に基づく国との協議

国地方係争処理委員会の委員

  • 国地方係争処理委員会は、委員5人で組織され、委員は、非常勤とする。
    ただし、そのうち2人以内は、常勤とすることができる。
  • 委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する。

自治紛争処理委員

  1. 都道府県が市町村に関与します。
  2. 都道府県が市町村に対して関与し、その関与に不服があるときは、関与の日から30日以内に、総務大臣に、審査の申出をすることができます。
  3. 申出を受けた総務大臣は、自治紛争処理委員を任命します。
  4. 自治紛争処理委員は、審査の申出があった日から90日以内に、関与の妥当性と違法性を審査します。
  5. 違法な関与にも関わらず、自治紛争処理委員の判断に不服がある場合、高等裁判所に対し、違法な関与の取消し、または、不作為の違法確認の訴えを提起できます。(行政機関同士の争いなので、機関訴訟に該当)

自治紛争処理委員が処理する対象

  • 都道府県による是正要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの
  • 都道府県の不作為
  • 法令に基づく都道府県との協議

自治紛争処理委員の委員

  • 自治紛争処理委員は3人で組織され、委員は、非常勤とする。
  • 委員は、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣又は都道府県知事それぞれ任命する。
  • 委員は、事件終了によって失職する。

関与(助言・勧告、是正要求、是正勧告、是正指示、代執行)

まず、基本的な考え方として、国と地方公共団体は対等・協力の関係があります。

対等ではあるのですが、国の政策を行っていく上で、地方公共団体の事務についても、国の一定の関与が必要となることもあります。

しかし、どんな場合においても関与できるとなると、それは地方自治体の自主性や自立性を壊してしまうので、関与を行うには、法律又はこれに基づく政令の根拠が必要となります(法定主義)。

また、関与をする場合、その目的を達成するために必要最小限のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性および自立性に配慮しなければなりません(比例原則)。

また、その構成・透明性を確保するため、書面の交付、審査基準・標準処理期間の設定等、行政手続法に似た内容を義務付けています(公正・透明の原則)。

関与の形態

関与は、国が都道府県や市町村に関与したり、都道府県が市町村に関与したりします。

そして、関与の形態については、行政書士で重要なものは下記5つです。

  1. 技術的な助言および勧告、資料の提出の要求
  2. 是正の要求
  3. 是正の勧告
  4. 是正の指示
  5. 代執行

1が一番緩い関与で、2、3、4の順に関与がきつくなり、5が一番きつい関与です。

技術的な助言および勧告、資料の提出の要求

各大臣は、都道府県・市町村に対して
都道府県は、市町村に対して
自治事務・法定受託事務の運営について適切と認める技術的な助言勧告をすることができ、また、当該助言・勧告・情報提供をするため必要な資料の提出を求めることができます。

是正の要求

是正要求は、地方公共団体の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に行うことができます。

そして、各大臣は、都道府県・都道府県の執行機関・市町村に対して是正要求が行えますが、是正要求できる対象となる事務が異なります。

  • 都道府県に対しては、都道府県の自治事務
  • 都道府県の執行機関に対しては、市町村の自治事務および第2号法定受託事務
  • 市町村に対しては、市町村の自治事務および第2号法定受託事務

そして、是正要求は、法的拘束力があるため、是正要求を受けた地方公共団体は、是正又は改善のための必要な措置を講じなければなりません。もし、是正要求に不服があれば、国地方係争処理委員会自治紛争処理委員による係争処理手続きを行うことができます。

是正の勧告

是正勧告は、市町村の自治事務の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に都道府県の執行機関が、市町村に対して行う関与です。

この是正勧告は、法的拘束力がないので、国地方係争処理委員会自治紛争処理委員による係争処理手続き行うことができません

是正の指示

是正指示は、地方公共団体の法定受託事務の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に行うことができます。

誰から誰に是正指示ができるかは下記の通りです。

  1. 各大臣→都道府県
  2. 都道府県の執行機関→市町村
  3. 各大臣→都道府県の執行機関(第1号法定受託事務に限る)
  4. 各大臣→市町村(第1号法定受託事務に限る)

代執行

代執行とは、地方公共団体の事務の処理が法令違反のとき、または事務の処理を怠っているときに、是正のための措置を、各大臣が都道府県や市町村に代わって行うことを言います。

そして、代執行の対象となるのは、長の法定受託事務に限られます。(自治事務については代執行できない

代執行の流れ

  1. 各大臣は、都道府県知事の法定受託事務の処理に違反がある場合、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正するよう勧告することができる。
    都道府県は、市町村長に対して、同様の勧告を行うことができる。
  2. 各大臣は、都道府県知事が上記期限までに勧告に従わないときは、文書により、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができる。
    都道府県は、市町村長に対して、同様の指示を行うことができる。
  3. 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもつて、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
    都道府県も同様、高等裁判所に請求できる。
  4. 高等裁判所が、各大臣(都道府県)の請求を認めるときは、各大臣(都道府県)は代執行を行える。