先に、住民監査請求と事務監査請求の違いの表を示します。
住民監査請求の対象
住民監査請求は、住民が地方公共団体の執行機関または職員の財務会計上の違法または不当な行為または職務を怠る事実について必要な措置をすべきことを監査委員に請求できる制度です。
例えば、違法または不当な「公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約締結、債務その他義務の負担」、公金の賦課徴収を怠ること等が住民監査請求の対象です。
住民監査請求 | 財務会計上の違法または不当な行為、不作為 |
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事務監査請求 | 地方公共団体の事務全般 |
住民監査請求ができる者
住民監査請求は、住民であれば誰でも行えます。年齢、国籍、納税の有無なども問わず、一人でも請求できます。外国人であっても法人も請求できます。
住民監査請求 | 住民であれば、一人でも、外国人でも法人でもよい |
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事務監査請求 | 選挙権を有する者(外国人は除く)で、その総数の50分の1以上の連署 |
住民監査請求の請求先
住民監査請求の期間制限
違法・不当な作為
違法・不当となる財務会計上の行為があった日または終わった日から1年経過したときは、原則、住民監査請求ができなくなります。
ただし、例外として、正当な理由があるときは、1年経過していても住民監査請求を行えます。
違法・不当な不作為
怠る事実(不作為)については、住民監査請求の期間制限はないので、違法・不当な不作為状態が続く限り、住民監査請求を行えます。
監査委員の措置と住民訴訟
住民監査請求があった場合、請求があった日から監査委員は60日以内に監査を行います。
請求に理由がない場合(違法・不当ではないと判断した場合)、理由を付して、書面により請求人に通知するとともに、公表します。
請求に理由がある場合(違法・不当と判断した場合)、議会・長・職員に対し、期間を示して必要な措置を執るべきことを勧告し、その結果を請求人に通知するとともに、公表します。
請求人は、住民監査の結果に不服があるときは、住民訴訟を行うことができます。(住民監査請求前置主義)
つまり、いきなり住民訴訟は行えないということです。