このページでは、民衆訴訟と機関訴訟をまとめて解説します。
民衆訴訟も機関訴訟も客観訴訟に当たります。
行政事件訴訟法は大きく分けて主観訴訟と客観訴訟に分けることができます。
主観訴訟は、個人の権利利益の救済を目的とし、自分自身に直接関係する行政活動に対する訴訟を指し、客観訴訟は、行政の適法性の確保を目的とし、自分には直接関係ない行政活動に対する訴訟を指します。つまり、民衆訴訟も客観訴訟も個人(自分自身)には直接関係しない訴訟と言えます。これは具体例を見ていくと分かると思います。
民衆訴訟
民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものを言います。
分かりやすくいうと、住民や選挙人が、国や地方公共団体に対して、「法律違反しているでしょ!だから正しなさい!」というのが民衆訴訟です。
具体的には、「地方自治法に基づく住民訴訟」や「選挙又は当選の効力に関する訴訟」です。
地方自治法に基づく住民訴訟
例えば、市長が、公金を違法に支出してしまい、自治体に損害を与えた場合、監査請求を経たうえで、被害回復を求めて住民が住民訴訟を提訴できます。
選挙又は当選の効力に関する訴訟
例えば、甲市の市議会議員選挙があり、AとBが立候補し、選挙が行われ、Aが当選した。しかし、Aは選挙期間中に、住民にお金を配るなどして、違法な選挙活動を行っていた場合、当選の効力の無効の訴えを提起することができます。
機関訴訟
機関訴訟とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟を言います。
分かりやすく言えば、行政機関同士の争いです。
例えば、市長が「議会の議決が法令に即して手続きをしていないから議決は無効だ!」と訴える場合、市長と議会という行政機関同士で争っているので機関訴訟です。