行政不服審査法18条では、「審査請求はいつまで行えるか?」について規定しています。いつまで経っても審査請求ができるというルールだと、10年後に処分の取消しなどが行われたりします。そうなると法律関係が不安定になります。そのため、法律関係を早期に安定させるために、不服申立ての期間(審査請求の期間)を設けています。
そして、この審査請求の期間制限は、処分と不作為の2つに分けて考えます。どちらも行政書士試験では頻出なので、必ず頭に入れましょう!
また、この点は今後勉強する行政事件訴訟法も似た期間制限があるので、対比して覚えるのがコツです。
処分についての審査請求期間
主観的請求期間
処分があったことを知った日の翌日から3か月を経過したとき、審査請求ができなくなります。ただし、正当な理由がるときは、3か月を経過しても審査請求は可能です。
正当な理由とは、例えば、東日本大震災のように交通や通信が途絶えてしまった場合や、審査請求期間の教示(行政庁から教えてらった内容)に誤りがあった場合等があります。
もし、再調査請求をしている場合、再調査の決定があったことを知った日の翌日から1か月を経過したときに審査請求ができなくなります。この場合も、正当な理由がるときは、1か月を経過しても審査請求は可能です。
※「主観的」とは、個人の内面のことで、その人がその処分の存在を知ったかどうかを基準とすることを言います。上記の通り、「処分があったことを知った日の翌日から」という風に、処分を受けた人が、処分の事実を知った場合に、いつまで審査請求ができるかを指します。
客観的請求期間
また、処分があった日の翌日から1年を経過したときも審査請求ができなくなります。ただし、正当な理由がるときは、1年を経過しても審査請求は可能です。
もし、再調査請求をしている場合、再調査の決定があった日の翌日から1年経過したときに審査請求ができなくなります。この場合も、正当な理由がるときは、1年を経過しても審査請求は可能です。
※「客観的」とは、個人の問題ではなく、「処分があった」という客観的な事実を基準とすることを言います。上記の通り「処分があった日」という風に、処分を受けた人が処分の事実を知ったか否かに関わらず、客観的事実から、いつまで審査請求ができるかを指します。
そして、この期間制限については、行政事件訴訟法と異なるので対比して覚えておきましょう!
行政不服審査法 | 行政事件訴訟法 | |
---|---|---|
主観的期間 | 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内 | 処分または裁決があったことを知った日から6か月以内 |
客観的期間 | 処分があった日の翌日から1年以内 | 処分または裁決があった日から1年以内 |
不作為についての審査請求
不作為状態が継続している限り、いつでも審査請求をすることができます。
これは、行政事件訴訟法も同じ期間です。
行政不服審査法 | 行政事件訴訟法 |
---|---|
不作為状態が継続している限り、いつでも | 不作為状態が継続している限り、いつでも (不作為の違法確認訴訟) |
審査請求書を郵送する場合の日数計算の方法
法律上、郵便や宅急便などで送る場合の送付に要した日数は、算入しません。つまり、審査請求書を11月11日までに提出しなければいけない場合、11月11日の消印有効ということです。11月11日までに審査庁に到達する必要はありません。
(審査請求期間)
行政不服審査法第18条 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3 次条に規定する審査請求書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便で提出した場合における前2項に規定する期間(以下「審査請求期間」という。)の計算については、送付に要した日数は、算入しない。
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