後見および扶養に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
>解答と解説はこちら
- 未成年後見人が選任されている場合、家庭裁判所は、職権で、さらに別の未成年後見人を選任することはできない。
- 後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見監督人がある場合でも、後見人は、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
- 未成年後見については、未成年者に対し親権を行う者がないとき、または親権を行う者が管理権を有しないときに後見が開始し、成年後見については、後見開始の審判があったときに後見が開始する。
- 夫婦、直系血族および兄弟姉妹は、お互いに扶養する義務があるが、姻族間においては、家庭裁判所は、特別の事情がある場合でも、扶養の義務を負わせることはできない。
- 扶養する義務のある者が数人ある場合において、扶養すべき者の順序については、配偶者を先にし、配偶者がないときの親等の異なる血族間では、親等の近い者を先にする。
【答え】:3
【解説】
1.未成年後見人が選任されている場合、家庭裁判所は、職権で、さらに別の未成年後見人を選任することはできない。
1・・・誤り
未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、未成年後見人等の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができる(民法840条2項)。
つまり、未成年後見人は、複数選任できるので本肢は誤りです。
2.後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見監督人がある場合でも、後見人は、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2・・・誤り
「親権を行う父又は母」と「その子」との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません(民法826条1項)。
上記規定は、後見人について準用します。ただし、後見監督人がある場合は、上記規定は準用されず、特別代理人を選任する必要はありません(民法860条)。
よって、本肢は誤りです。
理由については、個別指導で解説します!
3.未成年後見については、未成年者に対し親権を行う者がないとき、または親権を行う者が管理権を有しないときに後見が開始し、成年後見については、後見開始の審判があったときに後見が開始する。
3・・・正しい
未成年後見については、未成年者に対し親権を行う者がないとき、または親権を行う者が管理権を有しないときに後見が開始します(民法838条1号)。
一方、
成年後見については、後見開始の審判があったときに後見が開始します(民法838条2号)。
よって、本肢は正しいです。
4.夫婦、直系血族および兄弟姉妹は、お互いに扶養する義務があるが、姻族間においては、家庭裁判所は、特別の事情がある場合でも、扶養の義務を負わせることはできない。
4・・・誤り
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があります(民法877条1項)。
家庭裁判所は、特別の事情があるときは、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができます(民法877条2項)。
家庭裁判所は、特別の事情がある場合でも、扶養の義務を負わせることはできるので誤りです。
「三親等内の親族間」とは誰にあたるか?
これは、個別指導で解説します!
5.扶養する義務のある者が数人ある場合において、扶養すべき者の順序については、配偶者を先にし、配偶者がないときの親等の異なる血族間では、親等の近い者を先にする。
5・・・誤り
扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定めます(民法878条)。
つまり、扶養する順番は、
①協議で決める→②協議で決まらない場合、家庭裁判所が決める
という流れです。
よって、本肢は誤りです。
理解するためには具体例があった方が良いので、具体例は個別指導で解説します!
平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 新しい人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 参政権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正により削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |