地方自治法の規定する普通地方公共団体の執行機関に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 地方自治法は、普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、条例の定めるところにより、委員会又は委員を置くと規定している。
- 地方自治法における執行機関は、行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関をいう。
- 執行機関として置かれる委員会は、法律の定めるところにより法令又は当該普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、規則その他の規程を定めることができる。
- 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限の帰属につき疑義が生じたときは、自らその権限を行使することができる。
- 執行機関としての長、委員会及び委員は、一定の場合、議会において議決すべき事件について専決処分を行うことができる。
【答え】:3【解説】
1.地方自治法は、普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、条例の定めるところにより、委員会又は委員を置くと規定している。
1・・・誤り
普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置きます(地方自治法138条の4の1項)。
よって「条例の定めるところ」が誤りで、正しくは「法律の定めるところ」です。
普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置きます(地方自治法138条の4の1項)。
よって「条例の定めるところ」が誤りで、正しくは「法律の定めるところ」です。
2.地方自治法における執行機関は、行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関をいう。
2・・・誤り
普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う機関です(地方自治法138条の2)。「行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関」とは、警察官や消防署員、自衛官などを指し、行政講学上(法律の条文の内容ではなく、学問上の話)の「執行機関」です。
普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う機関です(地方自治法138条の2)。「行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関」とは、警察官や消防署員、自衛官などを指し、行政講学上(法律の条文の内容ではなく、学問上の話)の「執行機関」です。
地方自治法における執行機関は、上記条文の内容の通りです。
よって、誤りです。
3.執行機関として置かれる委員会は、法律の定めるところにより法令又は当該普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、規則その他の規程を定めることができる。
3・・・正しい
普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができます(地方自治法138条の4の2項)・よって、本肢は正しいです。
普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができます(地方自治法138条の4の2項)・よって、本肢は正しいです。
簡単に言えば、普通地方公共団体の委員会は、法律の定めに従って、当該委員会の事務の範囲内の規則を定めることができる、ということです。
4.普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限の帰属につき疑義が生じたときは、自らその権限を行使することができる。
4・・・誤り
普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限につき疑義が生じたときは、これを調整するように努めなければなりません(地方自治法138条の3の3項)。
つまり、長みずからが権限を行使するのではなく、権限の調整を行う、ということです。よって、誤りです。
普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限につき疑義が生じたときは、これを調整するように努めなければなりません(地方自治法138条の3の3項)。
つまり、長みずからが権限を行使するのではなく、権限の調整を行う、ということです。よって、誤りです。
5.執行機関としての長、委員会及び委員は、一定の場合、議会において議決すべき事件について専決処分を行うことができる。
5・・・誤り
普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、「普通地方公共団体の長」において、これを専決処分にすることができます(地方自治法180条1項)。
つまり、専決処分を行うことができるのは「長(知事や市町村長)」であって、「委員会、委員」は行うことはできません。よって、誤りです。
普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、「普通地方公共団体の長」において、これを専決処分にすることができます(地方自治法180条1項)。
つまり、専決処分を行うことができるのは「長(知事や市町村長)」であって、「委員会、委員」は行うことはできません。よって、誤りです。
平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 新しい人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 参政権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正により削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |