次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
「『犯罪論序説』は[ ア ]の鉄則を守って犯罪理論を叙述したものである。それは当然に犯罪を[ イ ]に該当する[ ウ ]・有責の行為と解する概念構成に帰着する。近頃、犯罪としての行為を[ イ ]と[ ウ ]性と責任性とに分けて説明することは、犯罪の抽象的意義を叙述したまでで、生き生きとして躍動する生の具体性を捉えて居ないという非難を受けて居るが、…(中略)…[ イ ]と[ ウ ]性と責任性を区別せずして犯人の刑事責任を論ずることは、いわば空中に楼閣を描くの類である。私はかように解するから伝統的犯罪理論に従い、犯罪を[ イ ]に該当する[ ウ ]・有責の行為と見、これを基礎として犯罪の概念構成を試みた。
本稿は、京都帝国大学法学部における昭和7-8年度の刑法講義の犯罪論の部分に多少の修正を加えたものである。既に『公法雑誌』に連載せられたが、このたび一冊の書物にこれをまとめた。」
以上の文章は、昭和8年に起きたいわゆる[ エ ]事件の前年に行われた講義をもとにした[ エ ]の著作『犯罪論序説』の一部である(旧漢字・旧仮名遣い等は適宜修正した。)。
- ア:罪刑法定主義 イ:構成要件 ウ:違法 エ:瀧川
- ア:自由主義 イ:形成要 ウ:相当 エ:矢内原
- ア:罪刑専断主義 イ:侵害要件 ウ:違法 エ:澤柳
- ア:責任主義 イ:構成要件 ウ:違法エ:矢内原
- ア:罪刑法定主義 イ:侵害要件 ウ:必要 エ:瀧川
【解説】
「『犯罪論序説』は[ ア:罪刑法定主義 ]の鉄則を守って犯罪理論を叙述したものである。それは当然に犯罪を[ イ:構成要件 ]に該当する[ ウ:違法 ]・有責の行為と解する概念構成に帰着する。近頃、犯罪としての行為を[ イ:構成要件 ]と[ ウ:違法 ]性と責任性とに分けて説明することは、犯罪の抽象的意義を叙述したまでで、生き生きとして躍動する生の具体性を捉えて居ないという非難を受けて居るが、…(中略)…[ イ:構成要件 ]と[ ウ:違法 ]性と責任性を区別せずして犯人の刑事責任を論ずることは、いわば空中に楼閣を描くの類である。私はかように解するから伝統的犯罪理論に従い、犯罪を[ イ:構成要件 ]に該当する[ ウ:違法 ]・有責の行為と見、これを基礎として犯罪の概念構成を試みた。
本稿は、京都帝国大学法学部における昭和7-8年度の刑法講義の犯罪論の部分に多少の修正を加えたものである。既に『公法雑誌』に連載せられたが、このたび一冊の書物にこれをまとめた。」
以上の文章は、昭和8年に起きたいわゆる[ エ:瀧川 ]事件の前年に行われた講義をもとにした[ エ:瀧川 ]の著作『犯罪論序説』の一部である(旧漢字・旧仮名遣い等は適宜修正した。)。
『犯罪論序説』は[ ア ]の鉄則を守って犯罪理論を叙述したものである。
「伝統的犯罪理論」や「犯罪の概念構成」から、アには「罪刑法定主義」が入ることは想像できます。『犯罪論序説』とは、瀧川幸辰(京都大学教授)著の刑法の教科書です。そして、
罪刑法定主義とは、ある行為を犯罪として処罰するためには、事前に法令によって「犯罪とされる行為の内容」、及び「それに対して科される刑罰」を、明確に規定しておかなければならないとする原則を言います。
『犯罪論序説』は[ ア:罪刑法定主義 ]の鉄則を守って犯罪理論を叙述したものである。それは当然に犯罪を[ イ]に該当する[ ウ ]・有責の行為と解する概念構成に帰着する。
近頃、犯罪としての行為を[ イ ]と[ ウ ]性と責任性とに分けて説明することは、犯罪の抽象的意義を叙述したまでで、生き生きとして躍動する生の具体性を捉えて居ないという非難を受けて居る
ウ・・・違法
刑法学における犯罪は、ドイツの刑法理論を継受する日本においては、
犯罪の成立要件を①構成要件、②違法、③有責の三つの要素に体系化し、
犯罪を「構成要件に該当し違法かつ有責な行為」と定義することが多い。
しかし、他の体系を用いて犯罪を定義する刑法学者もある。
「・・・本稿は、京都帝国大学法学部における昭和7-8年度の刑法講義の犯罪論の部分に多少の修正を加えたものである。既に『公法雑誌』に連載せられたが、このたび一冊の書物にこれをまとめた。」
以上の文章は、昭和8年に起きたいわゆる[ エ ]事件の前年に行われた講義をもとにした[ エ ]の著作『犯罪論序説』の一部である(旧漢字・旧仮名遣い等は適宜修正した。)。
1933年、京都大学教授で刑法学者の滝川は、中央大学での講演やその著『刑法読本』の内容が危険思想であるとの理由で問題とされました。
当時の文部大臣鳩山一郎は、京大総長に対し滝川に辞職勧告を行うよう命じ、一方的に滝川を休職処分にしました。
これに対し、京大法学部教授団や学生らが抗議運動を起こしたが、当局の弾圧により、数名の教授はやめさせることなり、また、滝川の『刑法読本』は発売禁止となりました。
これが瀧川事件です。
平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:物権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 人権 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 経済的自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 内閣 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法の概念 | 問37 | 会社法 |
問8 | 取消しと撤回 | 問38 | 会社法 |
問9 | 無効な行政行為 | 問39 | 会社法 |
問10 | 執行罰 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・社会 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・政治 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・情報通信 |
問25 | 行政法の判例 | 問55 | 基礎知識・その他 |
問26 | 行政不服審査法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:総則 | 問60 | 著作権の関係上省略 |