行政手続法が規定する申請に対する処分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない。
- 行政庁は、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが要件とされている処分を行う場合には、それらの者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
- 行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況および当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。
- 行政庁は、申請をしようとする者の求めに応じ、申請書の記載および添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。
- 行政庁は、申請者の求めに応じ、申請の処理が標準処理期間を徒過した理由を通知しなければならない。
【解説】
1.行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない。
1・・・正しい
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければなりません。
そして、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、行政庁は、速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければなりません(行政手続法7条)。つまり、「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない」ので、本肢は正しいです。
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければなりません。
そして、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、行政庁は、速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければなりません(行政手続法7条)。つまり、「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない」ので、本肢は正しいです。
2.行政庁は、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが要件とされている処分を行う場合には、それらの者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
2・・正しい
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが 当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、 必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により 当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。
よって、正しいです。
本肢「公聴会の開催等」については「努めなければならない:努力義務」である点に注意しましょう!
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが 当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、 必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により 当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。
よって、正しいです。
本肢「公聴会の開催等」については「努めなければならない:努力義務」である点に注意しましょう!
3.行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況および当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。
3・・・正しい
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければなりません(行政手続法9条1項)。
よって、正しいです。
本肢「審査状況の提供」については「努めなければならない:努力義務」である点に注意しましょう!
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければなりません(行政手続法9条1項)。
よって、正しいです。
本肢「審査状況の提供」については「努めなければならない:努力義務」である点に注意しましょう!
4.行政庁は、申請をしようとする者の求めに応じ、申請書の記載および添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。
4・・・正しい
行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければなりません(行政手続法9条2項)。
よって、正しいです。
本肢「記載事項等の情報提供」については「努めなければならない:努力義務」である点に注意しましょう!
行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければなりません(行政手続法9条2項)。
よって、正しいです。
本肢「記載事項等の情報提供」については「努めなければならない:努力義務」である点に注意しましょう!
5.行政庁は、申請者の求めに応じ、申請の処理が標準処理期間を徒過した理由を通知しなければならない。
5・・・誤り
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備え付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。
そして、申請の処理が標準処理期間を超える場合については、規定がないので、通知も不要です。
よって、本肢は誤りです。
ちなみに、「標準処理期間の設定」は「努力義務」で、「設定した場合、公にすることは義務」なので注意しましょう!
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備え付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。
そして、申請の処理が標準処理期間を超える場合については、規定がないので、通知も不要です。
よって、本肢は誤りです。
ちなみに、「標準処理期間の設定」は「努力義務」で、「設定した場合、公にすることは義務」なので注意しましょう!
平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 法の下の平等 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法と私法上の行為 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 権力分立 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法・精神的自由 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正のより削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・政治 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |