次の文章にいう「第二段の論理の操作」についての説明として、妥当なものはどれか。
成文法規の解釈は、まず「文理解釈」に始まり、次いで「論理解釈」に移る。文理解釈は、成文法の文章および用語について法規の意義を確定し、論理解釈は、成文法の一般規定をば具体的な事件の上に当てはめるための論理的の筋道を考察する。論理解釈を行うに当っては、第一に「三段論法」が活用される。三段論法による法の解釈は、法規を大前提とし、事件を小前提として、結論たる判決を導き出そうとするのである。しかし、いかに発達した成文法の体系といえども、絶対に完全無欠ではあり得ない。故に、特殊の事件につき直接に三段論法を適用すべき明文の規定が欠けている場合には、更に第二段の論理の操作が必要となる。
- 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「反対解釈」である。
- 乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「勿論解釈」である。
- 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
- 乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「拡大解釈」である。
- 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「縮小解釈」である。
【解説】
1.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「反対解釈」である。
1・・・誤り
反対解釈とは、法規の定めた事項の反面から、定めていない事項について反対の結果を引き出すことです。
例えば、「自動車は進入禁止」という法規の反対解釈は、「自転車の進入は禁止されていない」と反対の結果を引き出す解釈のことです。本肢の「甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとする」のは、類似解釈(選択肢3参照)です。
反対解釈とは、法規の定めた事項の反面から、定めていない事項について反対の結果を引き出すことです。
例えば、「自動車は進入禁止」という法規の反対解釈は、「自転車の進入は禁止されていない」と反対の結果を引き出す解釈のことです。本肢の「甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとする」のは、類似解釈(選択肢3参照)です。
2.乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「勿論解釈」である。
2・・・誤り
勿論解釈(もちろん解釈)とは、類推解釈の一種で、ある法令の規定の立法目的、趣旨等からみて、他の場合には明文の規定はないけど、それと同じ趣旨の規定があると解釈することが当然である解釈のことを言います。
例えば、狭い道があり、「オートバイは進入禁止」というルールがあった場合、道が狭くて、オートバイが運転するには危ないから禁止している、というのが目的です。
この目的から考えれば、もちろん、四輪自動車も進入禁止であるのは当然のことです。
これが勿論解釈です。
勿論解釈(もちろん解釈)とは、類推解釈の一種で、ある法令の規定の立法目的、趣旨等からみて、他の場合には明文の規定はないけど、それと同じ趣旨の規定があると解釈することが当然である解釈のことを言います。
例えば、狭い道があり、「オートバイは進入禁止」というルールがあった場合、道が狭くて、オートバイが運転するには危ないから禁止している、というのが目的です。
この目的から考えれば、もちろん、四輪自動車も進入禁止であるのは当然のことです。
これが勿論解釈です。
3.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
3・・・正しい
類推解釈とは、ある事柄について直接規定する条文がない場合に、似たような類似の規定を、そのある事柄にも適用することです。例えば、「自転車の通行禁止」という法規があって、オートバイについては法規がない場合に、オートバイの通行も上記ルールを適用させることが、類推解釈です。
類推解釈とは、ある事柄について直接規定する条文がない場合に、似たような類似の規定を、そのある事柄にも適用することです。例えば、「自転車の通行禁止」という法規があって、オートバイについては法規がない場合に、オートバイの通行も上記ルールを適用させることが、類推解釈です。
4.乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「拡大解釈」である。
4・・・誤り
拡大解釈(拡張解釈)とは、条文の意味を日常一般に用いられる意味よりも拡張することを言います。例えば、「車の通行禁止」の「車」の解釈について、「車」を自動車に限らず、オートバイ、自転車、一輪車も含むと解釈することが拡張解釈です。
拡大解釈(拡張解釈)とは、条文の意味を日常一般に用いられる意味よりも拡張することを言います。例えば、「車の通行禁止」の「車」の解釈について、「車」を自動車に限らず、オートバイ、自転車、一輪車も含むと解釈することが拡張解釈です。
5.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「縮小解釈」である。
5・・・誤り
縮小解釈とは、条文の意味を厳格に制限し、普通の意味よりも狭く解釈することを言います。例えば、「車の通行禁止」の「車」の解釈について、「車」は自動車の中でも四輪自動車のみと解釈して、オートバイや自転車などは含まないという解釈が縮小解釈です。
縮小解釈とは、条文の意味を厳格に制限し、普通の意味よりも狭く解釈することを言います。例えば、「車の通行禁止」の「車」の解釈について、「車」は自動車の中でも四輪自動車のみと解釈して、オートバイや自転車などは含まないという解釈が縮小解釈です。
平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 法の下の平等 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法と私法上の行為 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 権力分立 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法・精神的自由 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正のより削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・政治 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |