日本の地方自治に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 明治憲法のもとでは地方自治は認められておらず、市町村は国の行政区画であった。そのため、市町村長は、市町村会の推薦と府県知事の内奏をもとに、内務大臣によって任命されていた。
- 全国的な規模で市町村合併が大幅に進められたのは、明治維新以降4回ある。それぞれの時期に合わせて、「明治の大合併」「大正の大合併」「昭和の大合併」「平成の大合併」と呼ばれることがある。
- 第二次世界大戦中には、激しい空襲により市役所・町村役場は機能を喪失したため、市町村は廃止された。それに代わり、防空・配給や本土決戦のために、都市部には町内会、農村部には系統農会が組織された。
- 第二次世界大戦後の自治体は、住民から直接公選される首長・議会を有しているが、首長その他の執行機関が国の指揮監督のもとに国の機関として行う機関委任事務があった。しかし、機関委任事務制度は地方自治法の改正により廃止された。
- 1990年代後半以降、市町村合併や公共事業などについて、住民が自ら投票によって意思を表明する住民投票が、条例に基づいて行われた。こうした流れを受けて、条例なしでも住民投票が行えるように、住民投票法が制定された。
【答え】:4
【解説】
1.明治憲法のもとでは地方自治は認められておらず、市町村は国の行政区画であった。そのため、市町村長は、市町村会の推薦と府県知事の内奏をもとに、内務大臣によって任命されていた。
1・・・妥当ではない
明治憲法には地方自治に関する規定はなく、憲法上の保障はありませんでした。しかし、地方自治自体は認められていました。そして、市町村長の選出方法については
明治憲法には地方自治に関する規定はなく、憲法上の保障はありませんでした。しかし、地方自治自体は認められていました。そして、市町村長の選出方法については
- 市長は市会の推薦を受けて内務大臣が任命し
- 町村長は町村会において推薦し府県知事が任命していました。
よって、本肢は「地方自治は認められておらず」「町村長は内務大臣によって任命」の2つが妥当ではないです。
2.全国的な規模で市町村合併が大幅に進められたのは、明治維新以降4回ある。それぞれの時期に合わせて、「明治の大合併」「大正の大合併」「昭和の大合併」「平成の大合併」と呼ばれることがある。
2・・・妥当ではない
明治維新以降3回の市町村の大合併がありました。それは、「明治の大合併」「昭和の大合併」「平成の大合併」の3回で、
明治維新以降3回の市町村の大合併がありました。それは、「明治の大合併」「昭和の大合併」「平成の大合併」の3回で、
「大正の大合併」はありません。
よって、妥当ではありません。
3.第二次世界大戦中には、激しい空襲により市役所・町村役場は機能を喪失したため、市町村は廃止された。それに代わり、防空・配給や本土決戦のために、都市部には町内会、農村部には系統農会が組織された。
3・・・妥当ではない
第二次世界大戦中に、市町村が廃止された事実はありません。よって、妥当ではないです。ちなみに、「系統農会」とは、今でいう「農協」です。1899年の農会法によって公認された農業団体で、町村・郡・府県と系統的に設けられたことから、系統農会とも言います。
第二次世界大戦中に、市町村が廃止された事実はありません。よって、妥当ではないです。ちなみに、「系統農会」とは、今でいう「農協」です。1899年の農会法によって公認された農業団体で、町村・郡・府県と系統的に設けられたことから、系統農会とも言います。
4.第二次世界大戦後の自治体は、住民から直接公選される首長・議会を有しているが、首長その他の執行機関が国の指揮監督のもとに国の機関として行う機関委任事務があった。しかし、機関委任事務制度は地方自治法の改正により廃止された。
4・・・妥当
第二次世界大戦後の自治体は、住民から直接公選される首長・議会を有しています。そして、地方公共団体の首長(都道府県知事、市町村長)等が法令に基いて国から委任され、「国の機関」として処理する事務(機関委任事務)がありました。
第二次世界大戦後の自治体は、住民から直接公選される首長・議会を有しています。そして、地方公共団体の首長(都道府県知事、市町村長)等が法令に基いて国から委任され、「国の機関」として処理する事務(機関委任事務)がありました。
しかし、平成11年(1999)の地方自治法改正により、機関委任事務は廃止され、
現在、地方公共団体の事務は「法定受託事務」と「自治事務」の2つとなりました。
5.1990年代後半以降、市町村合併や公共事業などについて、住民が自ら投票によって意思を表明する住民投票が、条例に基づいて行われた。こうした流れを受けて、条例なしでも住民投票が行えるように、住民投票法が制定された。
5・・・妥当ではない
住民投票法という法律はありません。よって、本肢は妥当ではありません。
住民投票法という法律はありません。よって、本肢は妥当ではありません。
平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
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問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 新しい人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 参政権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正により削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |