株式会社の設立手続における創立総会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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- 設立時取締役は、募集株式の払込期日または払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならない。
- 創立総会においては、株主総会で認められている書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない。
- 創立総会における普通決議は、株主総会における普通決議と同じく、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する。
- 発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
- 創立総会での決議により定款が変更された場合には、当該決議に反対した設立時株主は、会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。
【答え】:4【解説】
1.設立時取締役は、募集株式の払込期日または払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならない。
1・・・誤り
募集設立の場合には、発起人は、払込みの期日又は払込み期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければなりません(会社法65条)。よって、創立総会を招集するのは「設立時取締役」ではなく、「発起人」です。また、「設立登記の前までに」ではなく、「遅滞なく」です。
2.創立総会においては、株主総会で認められている書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない。
2・・・誤り
創立総会において、書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、一定の時までに当該議決権行使書面を発起人に提出して行います(会社法75条)。
また、電磁的方法による議決権の行使も認めています(同法76条)。よって、本肢は「書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない」となっているので誤りです。
3.創立総会における普通決議は、株主総会における普通決議と同じく、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する。
3・・・誤り
創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行います(会社法73条)。したがって、「議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する」は誤りです。
この点は、理解できていない人・勘違いしている人が多いので、個別指導で詳しく解説します。
4.発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
4・・・正しい
「出資額の不足により発起人又は設立時取締役の負う義務」及び「任務懈怠による発起人、設立時取締役又は設立時監査役の負う責任」は、総株主の同意がなければ、免除することができません(会社法55条)。本肢は、任務懈怠の内容であり、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできないので正しいです。任務懈怠による損害賠償責任を免除するには、「総株主の同意」が必要です。
5.創立総会での決議により定款が変更された場合には、当該決議に反対した設立時株主は、会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。
5・・・誤り
創立総会において、定款の変更の決議をした場合には、当該創立総会においてその変更に反対した設立時株主は、当該決議後2週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができます(会社法97条)。本肢は「会社成立後」が誤りです。正しくは「当該決議後2週間以内に限り」です。詳細解説は「行書塾」で解説します。
平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
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問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 新しい人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 参政権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正により削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
